千代田グラビヤとSCREEN、持続可能なパッケージ生産体制構築
水性デジタルインクジェット印刷機「Truepress PAC 830F」による軟包装印刷開始
(株)千代田グラビヤ(佐藤裕芳社長)と(株)SCREENグラフィックソリューションズ(桜井広美社長)は、軟包装印刷市場におけるデジタル化の推進と環境負荷低減を目的として協業し、千代田グラビヤ・潮来第二工場(茨城県潮来市)に導入された水性デジタルインクジェット印刷機「Truepress PAC 830F」を活用した軟包装パッケージの本格的な生産を開始。7月7日には、同工場において導入発表会が行われた。

千代田グラビヤは、軟包装・シュリンクラベル・インモールドラベルなどのパッケージ分野に加え、建材、産業資材、情報出版など、幅広い分野において製品の企画・開発・製造を手掛けている。日本およびベルギーに生産拠点を構え、加飾、機能性付与、3次元加工を組み合わせた「コンバーティング技術」を基に、環境配慮に適した食品向け包装材の設計や、データ活用による生産性・品質の向上の仕組みづくりなど、新たな付加価値創出に積極的に取り組んでいる。
同社の主力市場であるパッケージ市場では、消費者ニーズの多様化や商品のライフサイクルの短期化に伴い、多品種小ロット生産への対応が求められている。また、サステナブルな社会の実現に向けて、製造工程における環境負荷の低減や資源利用の最適化への要求も高まっている。さらに、原材料価格の上昇や調達リスクの顕在化、人材不足といった社会課題への対応も急務となっている。加えてグラビア印刷の分野では小ロット案件の増加に伴い、準備工程や調色、洗浄作業などの負荷が生産性に影響を及ぼしており、業界全体の課題となっている。
こうした市場環境の変化を踏まえ両社は、2023年に軟包装印刷のデジタル化推進に向けた協業を開始し、千代田グラビヤが「Truepress PAC 830F」を潮来第二工場に導入。その後、商業生産に向けた設備の立ち上げおよび品質検証を完了し、小ロットから中ロットを中心とした軟包装パッケージの受注・生産体制を構築し、このほど本格生産を開始した。
冒頭、挨拶した佐藤社長は、「当社は急激に変化するパッケージ市場ニーズへの対応として、従来からのグラビア印刷に加え、デジタル印刷を活用した生産体制の構築を模索してきた。今回、SCREENとの協業によりTruepress PAC 830Fを導入することで顧客の多様なニーズに応えつつ、環境にもやさしい新しいモノづくりに挑戦していく」と「Truepress PAC 830F」を導入した理由について説明。その上でデジタル印刷技術を活用した印刷物および関連サービスを「Eco Smaart」という名称のソリューションとして提供していくことを明らかにした。

「Eco Smaart」は、多品種小ロット生産、短納期対応、在庫最適化、環境負荷低減などの市場ニーズに対応するソリューションでデジタル印刷を活用した新たな価値提供を推進する取り組み。今回の「Truepress PAC 830F」を活用した軟包装パッケージの本格生産は、この取り組みの一環となる。
続いて挨拶した桜井社長は「日本初のTruepress PAC 830Fの本格運用の開始を大変うれしく思う。この印刷機は、軟包装市場におけるデジタル化と環境対応を支援するソリューションとして開発した。今後も協業を通じて、新たな市場価値の創出と持続可能な印刷産業の実現に貢献していく」と述べた。
「Truepress PAC 830F」は、軟包装印刷の多様な市場ニーズに対応する産業用シングルパスインクジェットデジタル印刷機。解像度は、1200×1200dpi。印刷速度は、最大75m/分。インクは、水性顔料CMYK4色に加え、ホワイトを搭載。印刷可能な機材幅は、500から830mm、印刷可能幅は、470から800mm。また、印刷事前処理のためのプライマー機構も標準装備している。

乾燥技術では、革新的な熱風乾燥システムを採用。乾燥部内部で90度の熱風を循環させることで熱使用量を削減しつつ、効率的に乾燥温度を保つ仕組みとなっている。
「Truepress PAC 830F」の導入により千代田グラビヤは、「小ロット生産への対応」「環境負荷の低減」「生産効率の向上」を実現する軟包装パッケージの受注・生産体制を構築。この生産体制を活用し、パッケージサイズを共通化しながらも多様なデザイン展開を可能とし、期間限定や地域限定の商品、テストマーケティング商品などの企画・提案を支援していく。さらに小ロットの案件や多品種展開のニーズに柔軟に応え、顧客におけるブランド価値の向上を貢献する。
また、必要な数量を必要なタイミングで供給できる生産体制を構築することで、顧客における包装材の在庫の最適化とSKU(Stock Keeping Unit)の低減を支援していく。
生産現場では、従来の印刷方式と同等の高品質を維持しながら、版交換や洗浄作業の削減によってオペレーターの負荷を軽減。また、準備時間を従来比約70%削減し、人材確保や技能継承が求められる製造現場において、持続可能な生産体制を構築していく。
環境面では、水性インクの採用と無版印刷の特長を生かし、洗浄作業における溶剤使用量の低減や、必要な数量のみを生産することで在庫ロスを抑制するなど、総合的な環境負荷低減を推進していく。

今後、両社は軟包装市場におけるデジタル印刷の拡大を通じて、多品種小ロット生産への対応、環境負荷低減、生産性向上を推進していく。さらにデジタル印刷と従来のグラビア印刷を適切に組み合わせた最適な生産モデルを確立するとともに、2030年のデジタル印刷比率約10%を目標として、顧客の多様なニーズに応える生産体制の構築を推進し、軟包装業界の持続的な発展に貢献していく。












































