価値協創で新たな潮流|三和綜合印刷、「推し活グッズ」が好調
UVオフセットで化成品に特化
長年培ってきたUVオフセット印刷の技術で、化成品に特化したノベルティ商品を数多く展開する三和綜合印刷(株)(広島県福山市曙町6-1-11、近江弘至社長)では、同社の真骨頂とも言える商品開発力を集結し、「推し活グッズ」事業で高い収益率を弾き出している。

テレカ印刷の技術と設備をノベルティ分野に展開
同社は、1990年代に入ってブームとなったテレホンカードの爆発的需要を背景にUV印刷に取り組み、成長を遂げた印刷会社。しかし、周知の通り1990年代末にはポケベルや携帯電話の普及、さらにはテレホンカードの偽造が社会問題となり、その需要は減少の一途を辿ったわけだが、そこで、このテレホンカード印刷事業で培ったUV印刷の技術と設備をノベルティ分野に応用展開することで、見事な業態変革を成し遂げた。
当時について近江社長は、「その頃、紙の印刷の短納期対応を目的にUVオフセットを設備する会社はあったが、化成品への印刷に特化している会社はめずらしかった。ニッチ市場に特化し、その専門技術を磨き、企業価値を高めることで多くの同業者から受け入れられ、紙媒体の需要が頭打ちする中で、『ノベルティ×化成品×UVオフセット印刷』の事業は順調に売上を伸ばした」と振り返る。この業態変革でのひとつのポイントは、同業者をターゲットにしたこと。結果、ローカル企業だった同社の商圏を全国展開へと導くことになった。
「現在では売上の8割以上が県外の同業者または代理店からの仕事となっており、とくに展示会や今年6月にリニューアルしたECサイト『サンプリラボ』をきっかけに関東地区からの問い合わせも伸びている。ノベルティは1社から毎月安定したリピートオーダーがあるわけではない。取引先別の売上比率は高いところでも3%以下。リスクヘッジにはなっているが、それだけにお客様の幅が必要になるビジネスである。とにかく裾野を広げることに注力している」(近江社長)
エコ素材を積極的に採用
以前からエコ素材や代替素材を積極的に商品化することで、その「環境経営」の姿勢もクライアントから高く評価されてきた同社。現在、「選べるエコ素材」として、再生PP・PETといったリサイクルプラスチックをはじめ、石灰石、バイオマスといった素材を配合した商品もラインアップしており、エコ商材の売上比率は全体の15%程度を占めるまでに成長している。
一方、環境保全の観点でプラスチックへの偏ったイメージに懸念を示す近江社長。同社では「脱プラ」の潮流が議論される中、普段の生活に密着しているプラスチックという素材に対し、正しい知識を持ち、不安なく使用してもらうため、その理解を促す一環としてブログでの情報発信も行っている。「今後も限りある資源である石油由来の素材に変わる、あるいは削減できるエコ素材を積極的に採用していく」(近江社長)。同社では、行政の力を借りながら、自社のCO2排出量算出にも着手している。
