イマイチ：創業100年、さらなる発展へ〜「従業員、顧客に感謝」
印刷ジャーナル 2021年7月25日
今市 靖大 社長
創造を超えるサービスで選ばれる企業へ
大正10年、帳簿製造所として開業した（株）イマイチ（本社/大阪市西区京町堀1-17-4）は今年、創業100周年を迎えた。5代目の今市靖大社長は「当社は従業員と顧客に非常に恵まれてきた。そのお陰でこれまで事業を継続してくることができた」としており、感謝の気持ちで今後も社業のさらなる発展、事業継続に向けて努力していく考えを示している。
「企画力」で競争力を発揮
同社の主要顧客は自動車ディーラー。昭和30年頃から取引があるようで、今市社長は「祖母から聞いた話では、電車でいつも挨拶する人とたまたま税務署で会ったらしく、そのときに、その人が税務署職員であることが分かった。そして、たまたま自動車ディーラーが印刷会社を探しており、紹介してもらったのが始まり」とその経緯について話す。そして以降、半世紀以上にわたり取引が続いており、同社と自動車ディーラーには深い縁があったことを感じさせる。
しかし実際、自動車ディーラーのような優良企業から選ばれ続けるには、縁だけで続くわけはない。普通以上に、競合にはない「強み」が必要になるはずである。同社の場合、それは企画力であるようで、今市社長は「当社は、社内に『企画部』があり、広告代理店にも企画力で負ける気はしない。また、当社には印刷設備があるため、企画から印刷までの一貫生産により、納期で差別化を図ることができる。ここで競争力を発揮している」と、自社の強みを話す。
また、長年にわたり自動車ディーラーと取引しているため、どこよりも自動車ディーラーのことを知っていることも同社の強みであるようだ。「顧客の声を拾うヒアリング力にも自信がある。自動車ディーラーの知見があるため、『1』を聞けば『10』を理解することができる。これにより、顧客の創造を超えるサービスを実現しており、これが選ばれ続けてきた理由だと確信している」（今市社長）。
そして、同じ顧客から半世紀以上にわたって選ばれ続けてきたという実績は、他の顧客にとっても安心できる条件であることは間違いなく、現在、同社は各種メーカーや財団法人、商社など、様々な業種の顧客と取引を行っている。
そんな同社はこのほど、新たな取り組みとして、「待ち時間を幸せにする」をコンセプトに「デジタル縁日システム『電日』」を開発した。スマホでQRコードを読み込めば、その場で金魚すくいや射的、スマートボールなど5種類のゲームで遊ぶことができるというもので、「自動車ディーラーで車検を待っている間や、飲食店など時間のかかる料理を待っている間などに楽しめるシステムとなっている」と今市社長。サブスクでの提供を開始しており、顧客の創造を超えるサービスの一環として普及に期待する。
従業員の「愛社精神」に感謝
今市社長に会社の雰囲気を聞くと「ふわっとしたソフトな雰囲気」。誰も怒る人もいないし、良い人が多いという。そのような社風が働きやすい環境を作っているのか、コロナ禍で厳しい経営環境であっても、社内の空気は明るく、従業員は団結したチームワークで会社のために頑張ってくれるという。
「当社が他社と比べて飛び抜けて良い会社だとは思わないが、ありがたいことに当社の従業員はみんな、『愛社精神』を持って会社のために頑張ってくれている。従業員には本当に感謝している」（今市社長）。
そして、従業員と顧客に恵まれてきたことが100年という長年にわたって事業を継続してくることができた一因であることを深く自覚し、感謝の気持ちを持ち続けていきたいとしている。
「エエヤン!」と言われる企業を目指して
印刷・広告の方法も多様化し、急激なスピードで変化していく中、今市社長が目指すのは「エエヤン!」と言われる企業。「固定概念を捨て、様々な情報を収集し、変化していく。そのためにも、自社の強みを生かせる分野に経営資源を集中させ、お客様に『エエヤン!』と言っていただけるように成長し続けていきたい」（今市社長）
今後の展開について今市社長は「戦前から100年にわたり続いてきた歴史を次の世代に繋げていくため、価格競争に巻き込まれない企画力、また、今後も従業員とお客様に支えられながら、次の100年を目指していきたい」と話す。
未来を恐れず、過去に執着せず、「エエヤン!」を常に創造、提案し続け、世界のお客様に愛されるイマイチになるという同社の今後の取り組みに注目したい。
