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FFGS、機械・材料・サービスを「三位一体」で

「寄り添う」サービス〜営業視点で経営上の提案も

 富士フイルムグラフィックソリューションズ(株)(山田周一郎社長、以下「FFGS」)は2023年、サービス子会社であった富士フイルムGSテクノ(株)を4月1日付けで吸収合併し、「保守・修理等の各種サポートを含め、一層幅広いソリューションをより最適な形で提案し、顧客ニーズに応えていく」という方針のもと、「材料の供給」「機器システム提供」、そして「アフターサポート(サービス)」を「三位一体」で提供している。今回、サービス営業部の橋郷太部長と、サービス統括部カスタマーサポート部の松川茂部長にその背景と具体的なサービス体制について聞いた。


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松川部長(左)と橋部長


分社化による構造的な問題点

 サービス子会社であった旧富士フイルムGSテクノは、2004年にFFGSから分社化した会社(2017年にFFGSテクノサービスから社名変更)。当時は、CTP機器の導入が本格化する中で、機器サービスのレベルアップが急務とされ、料金体系をともなうサービスの事業、いわゆる年間保守契約という概念に対する理解が市場で進み、保守メンテナンスに対する価値が認められはじめた頃だ。これをきっかけに、保守メンテナンスの技術は飛躍的に向上したわけだが、一方で、営業とサービスが別会社となったことで、両社の判断基準の違いなどからスピーディーで効率的な運用の妨げになっていた面もあったという。

 当時について、サービス製品の販売と事業戦略部門を統括する橋部長は、「旧富士フイルムGSテクノは機械販売から発生する二次的サービスを事業とし、その子会社としての構造的な問題点として、製品事業系との接点が薄れ、サービスで発生する改善点や課題点が設計や開発部門にフィードバックされず、次世代製品に反映されにくいという課題があった」と振り返る。

 FFGSはこれらを背景に2023年、このサービス子会社を再び吸収合併し、富士フイルムのすべてのグラフィック製品において「材料の供給」「機器システム提供」「サービス」を1つの窓口、いわゆる「三位一体」で対応するというシンプルな組織にすることで連携を強化し、販売会社としてのトータルレスポンスを高めてきた。

 当時のインタビューの中で山田社長はこの吸収合併について、「変化する技術への対応において、さらにレベルアップでき、質の高いサービスを持続的に提供できると確信している。その先には、変化する市場と、そこに挑戦し続けるお客様に寄り添い、信頼の置ける『相談相手』として、ともに歩んでいくという、我々の強い意志と思いがあることをご理解いただければ幸いである」と語っている。

 この吸収合併により、FFGSのサービス部門は親会社である富士フイルムとの連携も強化。技術的課題の解消や、R&Dを交えた設計への反映がよりスピーディーに行える体制となり、ユーザーにおけるダウンタイムの解消といった部分でも大きな効果を生んでいる。

サービスマンは「多能工」人材

 サービス執行部隊のトップをつとめる松川部長は「三位一体」体制にともなう変化について、次のように振り返る。

 「サービス会社だった旧富士フイルムGSテクノが販売会社であるFFGSに統合されることで、我々は機械修理における技術スキルの習得やコストダウン提案という視点だけでなく、営業的観点の思考や材料サポートまでを含めた技術を持ち合わせる必要があった」

 機械の劣化ポイントの説明、あるいは機械の入れ替えの提案。当然ながら日頃から現場を知るサービスマンの提案には、ある意味「説得力」がある。

 橋部長も「技術営業的な役割を担うサービス部隊は、スーツを着ながらも、いざとなれば目の前で機械を触り、即、問題点の指摘や機械更新の提案ができる。これによりFFGSの技術力もアピールでき、お客様には、これを『納得感』や『安心感』として感じていただいている」と説明する。

 サービス機能を持つ拠点は、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・北陸・福岡・広島・高松・沖縄の計10拠点で、約80名のサービスマンが常駐している。その特徴は、ほとんどが「多能工」な人材であること。

 「当社が扱う機械の種類は多岐にわたるので、当然ながらスペシャリストだけではなく『多能工化』を進め、『ワンストップ』を目指している。育成はスキルレベル別の技術習得カリキュラムを作成し、FFGSで材料サポートを行っていた技術部からの技術移管も進めている」(松川部長)

 従来、東京と大阪から全国をサポートしていたものが、ワンストップで各拠点のサービスマンが対応できれば、当然ながらその解決のスピードや解決率は上がる。

 「従来は分析に1ヵ月かかっていたものが、10日くらいでお客様に結論を提示できるようになった。この部分はお客様からもかなりの評価を得ている」(松川部長)

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