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FFGS、「シナジー型多角化」から生まれたAI技術搭載[Revoria Press PC2120]

人材不足対策の切り札に〜用紙設定自動化で付加価値提案も

 富士フイルムグラフィックソリューションズ(株)(山田周一郎社長、以下「FFGS」)が今年2月開催の「page2026」で実機を展示したプロダクションプリンターの最新モデル「Revoria Press PC2120」(以下PC2120)。その最大の特長は、AI技術を搭載することで、より高次元の省力化にアプローチしていることだ。今回、富士フイルムグループが展開する「シナジー型多角化」から生まれたPC2120搭載の3つのAI技術について取材した。


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PC2120の技術に携わる金田氏(右)と中田氏


「シナジー型多角化」から生まれるAI技術

 富士フイルムは、2000年頃から事業の多角化を本格的に推進し、現在の事業ポートフォリオ(2024年度現在)は、ヘルスケアが32.0%、エレクトロニクスが13.5%、ビジネスイノベーションが37.5%、イメージングが17.0%となっている。この4つの事業は、それぞれの基盤技術の強みを活かし合う「シナジー型多角化」を展開しており、AI技術もそのひとつである。

 一般社会においてAIが活用できる整理された「構造化データ」は全体の10%程度とされており、例えば売上データや商品在庫リスト、勤怠記録などがそれにあたる。これ以外の90%は「非構造化データ」であり、例えば、提案書や契約書、手書きの指示書、FAXでの修正依頼、曖昧なメール文面、複雑なレイアウトデータなどがある。「この90%を占める『非構造化データ』を如何に『構造化データ』に変換するか」。富士フイルムは、この部分でのAI活用を基本的な考え方としている。

 では、どのように構造化するのか。富士フイルムビジネスイノベーションが持つAIエージェントは「認識・構造化」「効率化」「提案・付加価値化」「機器最適化」「画像・質感表現」の5つ。これらを複合的に組み合わせることで、例えば紙のFAXならば、画像前処理を行い、情報を抽出し、内容を理解し、構造化して活用可能な資産にすることが可能になる。

 では、これらAI技術が印刷工程の課題を如何に解決できるのか。デジタル印刷工程の出力業務において実際に出力している時間はおよそ30%とされており、その他の70%は出力前の設定や準備に費やされている。ここをAIで省力化、スキルレス化し、属人的な運用を排除するとともに、全体の生産効率を上げる。これが今回紹介するPC2120にも搭載された富士フイルムのAI技術が目指すところである。

用紙設定を自動化する「用紙プロファイラー」

 慢性化する人材不足への対応や新たな価値創出が求められている印刷業界。これら課題に対して独自AI技術の活用で印刷業務の自動化と効率化を支援することを命題に開発されたのがPC2120だ。これまでのような印刷品質を中心とした価値軸ではなく、導入企業の新たな印刷ビジネスの創出や印刷現場の作業負荷低減といった視点が背景にある。

 PC2120が標準搭載するAI技術は大きく分けて3つある。まず、最も関心が高いとされるのが、用紙設定の自動化を実現する「用紙プロファイラー」である。


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用紙プロファイラー


 従来の用紙設定作業では、細かな設定項目を手入力するため時間と手間がかかり、転写電圧確認用パッチを印刷する必要もある。設定自体もノウハウや経験値が必要なケースが多く、調整の試行錯誤にも時間がかかる。また、静電気の力を利用しているため、用紙のロットや工場環境、さらに季節によっても、仕上がり品質に誤差が生じる。

 そこで用紙プロファイラーが、用紙をセットするだけで用紙特性を解析し、最適な設定を提案。一般的な用紙だけでなくアルミ蒸着紙やフィルムなどにも対応し、また登録済みの中から物性の近い用紙を検索することも可能だ。

 最大のメリットは、事前作業にかけていた手間と時間が短縮され、新しい紙でも迷わないこと。FFGSデジタルソリューション営業部技術グループの金田明子氏は、「社内検証では、7分の1の時間短縮を実証できた」とその効果を強調する。

 また、誰でも均一な設定ができることで「スキルレス化」に貢献することのほか、転写電圧確認用パッチの印刷が不要となることから、枚数が限られている紙や高額な紙でも設定時の不要な紙の使用を抑えられる。

 自動設定の精度について金田氏は、「社内検証にて、市場で使われていると想定される様々な用紙を用いて、全面ベタ、グラデーション、細線、肌物、グレー再現など、画質に差が出やすいような印刷物を使って手動と比較したところ、手動で自分達が時間を掛けて設定したものと同等の品質を得ることができた」と明かしている。

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