ページの先頭です

スバルグラフィック、オフセットの価値を高める「チャレンジ精神」に共鳴

ガム洗浄タイププレート「ADAMAS」を採用

 (株)スバルグラフィック(松本仁志社長)は、エコスリーのガム洗浄プレート「ADAMAS」に枚葉オフセット印刷機の刷版を切り替え、小ロット・短納期・高品質という顧客ニーズに対し、安定的に製品を提供する体制を強化した。

 同社は1982年に東京都小平市で製版会社として創業し、1988年に法人を設立。1980年代から90年代にかけて、旺盛な印刷需要を背景に製版業界も拡大基調にあった。同社も1990年代にはDTPの普及にともない、いち早くフィルム製版にデジタル技術を取り入れたが、フィルムからCTPへという技術革新が進み始めると、その流れをいち早く読んだ。「製版フィルムがなくなる」という危機意識からCTPを導入し、1999年には菊半裁4×4色印刷機を導入。顧客ニーズの変化に応えるワンストップサービスへの展開を決断した。

 その後も企画・デザインから印刷・加工・配送までを次々と内製化してサービスの幅を拡大し、一般クライアント、同業の印刷会社を問わず幅広い取引先から信頼を得ている。

 松本社長は、「お客様のニーズに応じて、両側にビジネスを広げていった。デザイン工程も取り込み、加工、配送の体制も整えた」と語る。現在の生産拠点は、本社工場(東京都中野区野方)、舟渡工場(東京都板橋区)、戸田工場(埼玉県戸田市)の3拠点。菊半裁から四六全判に対応する3台のUVオフセット印刷機、菊全判4色両面兼用の油性オフセット印刷機を備え、中綴じ、無線綴じ、光沢加工などに対応する加工機も揃える。コロナ禍前には、各拠点で重複していた加工・仕分け・発送機能を舟渡工場に集約し、効率化を図った。


subaru_g_top.jpg
松本社長

 2020年以降のコロナ禍で、松本社長は「強制的にここで大ナタを振る必要がある」と社内改革に着手した。折込チラシや雑誌などの大量生産・大量廃棄型ビジネスの縮小を見据え、「売上至上主義から利益至上主義へ」と評価基準を根本から見直した。さらには同業者向け案件に対応するため、生産販売部工場直販課を新設。依頼から30分~1時間で見積もりを提出するスピード体制を構築するなど、営業体制も刷新した。

 従来は営業担当が案件を受け、生産管理へ確認を行う必要があったが、同部署が窓口となることで確認工程を簡略化した。営業担当は新規開拓や提案業務に集中し、工場直販課が見積もりや生産管理対応を担う分業体制へ移行した。

 「以前は営業担当ごとに案件対応が属人化していたが、今は案件内容を社内で共有できるようになった。レスポンスも早くなり、お客様から評価いただいている」(松本社長)

 こうした体制変更によって、同社の強みである小ロット・短納期案件への対応力もさらに向上。問い合わせへの迅速な返答が評判となり、受注拡大にもつながっている。

 さらに同社には、イベントで販売される限定グッズや高額な冊子など、購入者が手元に大切に残しておくことを前提とした品質要求の厳しい印刷物も多く集まる。「汚れやカスレがあれば即クレームになる。『まあいいか』というわけにはいかない」(松本社長)。この品質への意識は、プリプレスから印刷まで全工程に貫かれている。オフラインで印刷の刷り出しと印刷データの差分を比較する検査機の導入しており、検版の精度管理にも万全を期している。

 こうした改革によって、同社が受注する案件にも変化が現れている。従来の大量印刷中心の仕事だけでなく、制作やデザイン提案を含めた付加価値型の案件が増加。イベント向けグッズや特殊加工を施した印刷物など、仕上がり品質への要求が高い案件も増えている。

 また、顧客が「どこに相談すればいいかわからない」特殊仕様や変わったデザイン案件に対しても、ブログやメールマガジンなどを通じて積極的に情報発信を行うことで接点を拡大。「困りごとに応える会社」としての認知も広がりつつある。

 「以前は『印刷会社』として依頼されることが多かったが、最近は『こういうことできますか?』という相談ベースの案件が増えている」(松本社長)

 このような案件では、色再現性や安定性への要求も一段と高くなる。とくに高付加価値案件では、わずかな汚れや再現性のブレも品質評価に直結するため、版工程における安定運用の重要性が増していった。

注目コンテンツ