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勝田製作所、断裁機の「深化」と特殊機開発で業界貢献へ

特別インタビュー 勝田社長、梶氏、勝田氏に聞く

堅牢性に優れた断裁機は半世紀以上使用できることも

勝田社長 当社の断裁機の特長の1つが、堅牢性に優れていることである。堅牢性については、高精度を確保するのに必須であり、継承するべき最も重要な事項と考えている。とくに、メインフレームの堅牢性は、今後も維持していく。

 また、堅牢性は耐久性にも繋がる。断裁機は20年以上にわたって使用されるものである。また、20~30年使用された断裁機であっても、フレームをはじめ、構造部品としては、摩耗等劣化部分の補修により。また電装や消耗部品を交換して、オーバーホール機としてさらに20年以上使用されるケースも増えてきている。

 印刷業界の中でも、半世紀以上使用できる機械は、堅牢性を持つ断裁機ぐらいだろう。

勝田(真) このように長期に使用できる断裁機であるため、メンテナンス性はとくに重要である。機械を良い状態で長く使用していただくため、お客様の日常メンテナンスが不可欠となる。

 とくに、グリスアップは日常メンテナンスで最も重要になる。勝田断裁機では、お客様が手軽に簡単にグリスアップしていただけるよう、タッチパネル画像を見ながら実施できるようにしている。

 また、部品供給についても、SHシリーズに関しては、平成に入って以降の原則全部品供給可能な状態を続けている。

 電気部品については、部品メーカーの生産終了により部品供給に限界はあるが、生産終了後20年から25年を目標に、修理体制を維持できるように努めている(互換部品の探索や制御ユニット、ソフトウェアの改造によるシステム改造を含む)。

 実態は、過去のシリーズ機について30年レベルで修理できている。

現場の声を反映させながら断裁機の機能を継続的にアップグレード

 断裁機をより良いものにしていくため、当たり前ではあるが、社内外からの意見や要望をいただいている。断裁工程は印刷、製本の重要な後半工程であり、断裁品質、納期対応力が大きく要求される工程で、断裁機とオペレータが一体となってその要求を担うことになるため、断裁オペレーターの意見や要望を伺うことがスタートと考えている。営業・アフターメンテンス・技術がしっかりとお話を伺い、製造工場(加工・組立部門)として、しっかりと吟味しメーカーとして三位一体となって対応していくことが大切と考えている。

 これまで、多くの断裁機メカーとの厳しい競合の中で培われて来たこのお客様志向を今後も社内醸成し継続していきたいと考えている。

無人自動断裁システムは「ライン断裁」と「ロボット断裁」の2方式

 当社はこれまで、断裁機メーカーとして特殊、特注の断裁機も製造・開発してきた。例えば、プラスチックフィルムやシートの重断裁機(刃物トルク、速度を可変)は業界で高い占有率を誇っています。

 また、布の見本帳を切るような「ギザ刃断裁」も当社だけのオプションである。さらに紙や不織布、フィルムなどのロール原反材料を巻取りカットしてシートにするタイコ巻取機と断裁機をシステム化したものなど、断裁機を中心に、様々な特殊断裁機、システムを開発してきた。今後はさらに「カット」をベースとした自動化の引き合い対応に注力していきたい。

勝田社長 以前から自動化として断裁オペレーターの熟練度や労力を省く無人の自動断裁システムについては、種々検討されてきたが、名づけて言うならば「ライン断裁」と「ロボット断裁」のような2つの方式になるのではないかと考えている。

 製品形状の種類が比較的少なく且つ量産性が要求されるものは、複数の断裁ユニットによるライン断裁システム、その一方、量産性よりギャンギング印刷物、多品種や少量生産品などへの対応としてロボット作業による断裁システムが適していると考えており、お客様のご要望ご相談に応じて最適な提案が出来るよう開発を進めていきたい。またライン断裁については、以前から共同精機さんが手掛けられて来た事業を2023年11月より当社が引き継いで取り組んでいる。

 当社はこれまで、断裁機専業メーカーとして業界にお世話になってきた。業界のシュリンクはこれからも続いていくと思われますが、断裁機供給メーカーとしの責任を全うすべくしっかりと改善を含めての開発に努めていく。

 また、今まで積み上げてきた設計製造ノウハウを自動機の開発製造にも転化し、この二つを柱として今後も紙業界を中心に、貢献していきたい。自動化等のご相談お待ちしております。