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躍進企業REPORT

あけぼの印刷社:エコスリーブランド「アズーラ」国内第1号導入

印刷ジャーナル 2023年11月25日
エコスリー・岡本社長から記念品を受け取る山田社長(右)
倉原部長(左)と木村主任
ガム洗浄方式で環境対応と高い印刷適性
速乾印刷で品質要求の高い美術系の印刷受注も視野に

速乾印刷で品質向上へ〜印刷コンサル「E-SAP」も採用


 茨城県水戸市に本社を構える(株)あけぼの印刷社(山田周社長)は、エコスリージャパン(株)(岡本勝弘社長)の速乾印刷対応現像レスCTPプレート「アズーラ」を導入。今回「アグフア」から「エコスリー」へブランド変更してから初めての採用となるため、エコスリージャパン・岡本社長から山田社長に記念品が贈られた。同社はアズーラ導入に加え、速乾印刷効果を最大限に発揮するためにエコスリーが注力する印刷コンサルティングプログラム「E-SAP(ECO3 Sustainable Assist Program)」の取り組みも開始。今回、山田社長をはじめ、製造部の倉原秀基部長、印刷グループの木村達也主任に採用の経緯や効果について聞いた。


アズーラ速乾印刷の導入経緯


 「アズーラ」導入のきっかけについて倉原部長は、「我々の課題のひとつとして印刷の品質を上げたいと考えていた。そこでお付き合いのあるメーカーへ相談、テストしていた中、エコスリーの営業と知り合った」と振り返る。

 「近隣の印刷会社でもエコスリーのプレートを採用していたため、見学したところ非常に品質が良く、刷り出し時の乾きも良かった。詳しく聞くと、エコスリーの『E-SAP』で指導してもらっているということで、我々の抱えている課題解決に向けて提案してもらいテストを実施。その結果も良く、導入に至った」(倉原部長)


シャロウバレー砂目技術×ガム洗浄方式プレートによる効果


 アズーラはガム洗浄方式の現像レスCTPプレート。シャロウバレーという浅くて細かなエコスリー独自の砂目構造によって水とインキを極限まで絞って速乾印刷を実現できる。現在あけぼの印刷社では、パウダーを10%削減して運用しており、今後はさらに10~15%削減を目指す。木村主任は「他の会社のように速乾印刷を実現していると自信をもって言えるようになりたい」と話す。

 プレート選定の中で機上処理版を検討したこともあったという。木村主任は「品質向上以前に、うまく運用ができず、メーカーの技術者の指導通りに作業しても現像カスなどの問題が絶えなかった。さらに、そうした問題について納得いく回答も得られない状態で機上処理版に舵を切るのはリスクが高く、ならば現像有のプレートのままでいいとさえ思っていた」と語る。結果として、アルカリ現像を必要としないガム洗浄方式のアズーラが環境対応でありながら高い印刷適正もあることから同社のニーズにマッチした。


信頼と実績のエコスリー営業マンと印刷コンサルティングプログラム


 E-SAPはエコスリーのプレートの性能を最大限に発揮するための印刷コンサルティングプログラム。品質の向上、メンテナンスのレベルを上げたいと考えていたあけぼの印刷社のニーズと、このE-SAPが合致したことも「アズーラ」導入のひとつのきっかけとなった。

 「エコスリーはプレートメーカーでありながら、印刷機周辺まで踏み込んで指導してくれる点で他社とはかなり異なっていた。これまでの実績によるノウハウから我々も安心して任せることができた」(倉原部長)

 アズーラを本格運用して約半年が経過した現在、何ら問題なく運用できている。

 「現像有のプレートとほぼ同様の運用ができている。導入前から『アズーラはプロ向けのプレート』、『扱いづらい』という声を耳にしていた。しかし、テスト印刷の段階で問題なく刷れたため、正直、自分たちが一番驚いたが、これまで自分たちが取り組んできたこと間違いがなかったという裏付けでもあり、自信にもつながった。またE-SAPによって印刷機のメンテナンス方法を初めて教えて学んだ。メンテナンスを続ければ今までのトラブルも解決できると思っている」(木村主任)

 また、「エコスリーの営業や印刷コンサルはトラブルやわからないことがあっても相談するとすぐに対応してくれる。他にはない手厚いサポートが大変ありがたい」(木村主任)とエコスリーのサポート体制も高く評価している。


あけぼの印刷社の速乾印刷への取り組み


 今後も速乾印刷を推進し、印刷品質のさらなる向上を実現することで、美術関係の難しい仕事の受注も目指す考えだ。

 「営業からの期待も大きいため難しい仕事も積極的にこなしていきたい。E-SAPによってオペレーターも学ぶ姿勢が身につき、モチベーションも上がっている。今後はエコスリーのサポートを得ながら、メンテナンスを習慣化していきたい」(倉原部長)


挑戦を続けるあけぼの印刷社


 アズーラを導入し、印刷現場の技術力向上を目指す同社は、1946年の創業以来、情報伝達業として「印刷会社から伝える会社へ」をコンセプトに各種印刷物を中心にデザイン・制作~流通までを一気通貫で手掛けている。近年では新たな事業開拓を目的に小売店の店舗装飾含めたサインディスプレイなど、幅広い事業にも挑戦している。

 山田社長は、「5年ほど前からサインディスプレイ事業を開始している。現在は商業印刷を中心に、サインディスプレイの製作・設置まで対応できるのが弊社の強みである」とした上で、「元々は印刷工程の効率化を目指し、ムダを排除した取り組みを行っていた。しかし、市場の落ち込みが続く中で、ひたすら効率化してコスト削減しても売り上げが回復しない。売上を伸ばしていくには現在のオフセット印刷以外にも力を入れる必要がある。店舗装飾やパネル、POPの需要は高く、さらにオフセット印刷と近い製造方法である。これはチャレンジするしかないと思った」と語る。現在ではサインディスプレイの製造・設置の売り上げは全体の約10%を占めている。

 また、働き方改革においても副業の受け入れなどユニークな取り組みを行っている。日用品メーカー、大手物流会社に勤務するその分野でのプロの社員や個人事業主を招き、電話会議はもちろん、社員と同様に出社し、同じフロアで働いているケースもある。

 「販促物に関するアドバイス、物流事業の立ち上げやWeb制作など、我々だけではできない部分はその分野のプロに入ってもらい指導していただいている。副業、個人事業主の方々との連携をさらに加速するため、事業再構築補助金で本社を一部コワーキングスペースに改装した」(山田社長)

 さらに、社内ではスーパーフレックス制度や独自のセールスインセンティブ制度を導入し、働き方改革にも積極的に取り組んでいる。

 自社の今後の方向性について山田社長は「積極的に設備投資や社内改革に取り組み、さらに上のステージを目指したい。弊社の根幹である印刷を軸にWebを連動させたサービス、デジタルメディアの活用など、情報伝達手段のかけ合わせにより、お客様のニーズに最適な提案を提供できる会社を目指して挑戦し続けていく」と語っている。