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2023年 紙・板紙内需見通し、グラフィック用紙の低迷続く

2023年2月10日

[日本製紙連合会調べ]パッケージング用紙は堅調


 日本製紙連合会は1月20日、2023年の「紙・板紙内需見通し」を発表し、経済活動の正常化で人流および個人消費の回復が見込まれ、インバウンド需要の伸びも期待できることから、パッケージング用紙や衛生用紙の内需は底堅い動きを予想する一方で、情報・広告分野を中心にデジタル化が進展することから、グラフィック用紙は引き続き減少を見込んでいる。


 紙・板紙の内需は、コロナ禍の影響を受けた2020年に前年比9.5%減と、リーマン・ショック直後の2009年(9.2%減)を上回るマイナス幅を記録。2021年は1.6%増と11年ぶりのプラスとなったものの、コロナ禍前を大きく下回る水準にとどまった。2022年は、パッケージング用紙や衛生用紙は前年を上回ったものの、グラフィック用紙の不振が響き、紙・板紙計では1.0%減となっている。

 2023年予想においては、経済活動の正常化や個人消費の回復、さらにインバウンド需要の伸びを背景に、パッケージング用紙や衛生用紙の内需は底堅い動きが見込まれる。一方で、グラフィック用紙は、情報・広告分野を中心にデジタル化が進展することから引き続き減少を見込んでいる。

 品種別見通しを積み上げると、紙・板紙計で2,258万トン、前年比2.1%減。用途別では、グラフィック用紙が7.4%減、パッケージング用紙が0.7%増、衛生用紙が1.0%増と予想。紙・板紙計として、2019年比では11.0%減となり、過去のピークだった2000年に対して7割の水準となる。


グラフィック用紙


 新聞用紙、印刷・情報用紙ともに情報・広告分野を中心にデジタル化が加速することから、内需は引き続き減少を見込む。

 グラフィック用紙合計で740万トン、前年比7.4%減で、17年連続の減少を見込む。2019年比では26.9%減で、過去のピークだった2006年比で5割弱の水準となる。


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【新聞用紙】
 発行部数は引き続き減少が見込まれ、頁数についても広告出稿減等から前年を下回る見通し。スポット要因となるワールド・ベースボール・クラシックの押し上げ効果は極めて限定的と予想。新聞用紙の内需は前年比8.0%減を見込んでいる。

【非塗工印刷用紙】
 上級印刷紙はチラシや目論見書・取扱説明書、学習参考書等、用途は広範囲におよび汎用性は高いものの、構造的な要因に加えて物価高の影響を受け、需要家のコストダウン強化による使用量削減が加速することから前年を下回ると予想。中・下級印刷紙は、主たる需要先である出版業界を取り巻く環境が依然厳しく、全体としては電子化の加速による情報源や娯楽の多様化等により、雑誌を中心に引き続き不振が予想され、非塗工印刷用紙の内需は前年比8.0%減を見込む。2019年比では24.6%減、過去のピークだった1991年比で3割強の水準。

【塗工印刷用紙】
 デジタル化や人口減少といった構造的な要因に加えて、企業のコスト削減姿勢が強いことから販促費は抑制され、カタログ、チラシ、パンフレット等の発行回数や部数の減少、判型縮小等が加速すると見られることから、内需は前年を下回ることが予想される。これらを勘案し、塗工印刷用紙の内需は前年比8.0%減を見込む。2019年比では30.7%減、ピークだった2006年比では4割の水準。

【情報用紙】
 PPC用紙は在宅勤務やWeb会議の定着に加えて、企業や個人のコストダウン強化により、使用量削減が加速すると見られることから減少。フォーム用紙は、DM向けは需要の広がりが期待できるものの、全体としてはデジタル化の進展により減少。複写原紙は、ペーパーレス化等により減少。一方、感熱紙原紙は、人流回復・インバウンド増により、レシート用途等で回復が期待されるほか、通販向け配送ラベル用途の増加等により、需要は引き続き底堅く推移すると予想している。これらを勘案し、情報用紙の内需は前年比5.0%減を見込む。2019年比では18.4%減、ピークだった2008年比では7割強の水準となる。


パッケージング用紙


 包装用紙、段ボール原紙、白板紙ともにインバウンドの増加等により引き続きプラスを見込む。

 パッケージング用紙合計で内需量は1,308万トン、前年比0.7%増で、3年連続の増加を見込む。2019年比では0.8%減、ピークだった1997年比で9割弱の水準となる。

 用途別では、包装用紙は0.3%増、段ボール原紙は0.7%増、白板紙は0.7%増と予想。


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【包装用紙】
 コストダウン強化による省包装・簡易包装や他品種・ポリ袋等の他素材へのシフトの加速が見込まれるが、軽包装が内需を牽引する。軽包装は、角底袋が引き続き堅調、手提袋はインバウンドの増加等により前年を上回る。重包装は、外食向けや合成樹脂向け等の増加、ECの拡大による宅配袋需要が期待できるが、フードロス対策の進展やフレコン化による米麦向けの減少等もあり全体としては前年並み。これらを勘案し、包装用紙の内需は前年比0.3%増を見込む。2019年比では2.4%減で、ピークだった1990年比では6割弱の水準。

【段ボール原紙】
 段ボールシートの生産は1.0%増。主要分野のうち、約4割を占める加工食品向けでは行動制限の撤廃やインバウンドの増加等により飲料や業務用食品が回復し、青果物向けも天候不順の影響で低調であった北海道地区の回復を見込んでいる。電気・機械器具向けは半導体不足が解消して増加、通販・宅配向けはEC需要が堅調を維持すると予測している。これらを勘案し、段ボール原紙の内需は引き続きコロナ禍前を超える前年比0.7%増を見込む。2019年比では0.8%増、ピークだった1997年に迫る。

【白板紙】
 インバウンド回復にともなう人流の増加による需要増が期待される。テイクアウト関連も引き続き堅調に推移すると予想。一方で、コストダウンや巣籠り需要の落ち着きによるレトルト食品等の需要減、デジタル化等を背景とした出版向けの需要減の継続が予想される。全体では回復基調は継続も、コロナ禍前の水準には及ばないと予想。なお、脱プラ・減プラ需要は、食品トレーの切り替え等の動きもみられるが、押し上げ効果は限定的と見ている。これらを勘案し、白板紙の内需は前年比0.7%増を見込む。2019年比では2.7%減で、ピークだった2000年比では9割弱の水準。

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