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音羽印刷、自粛下の校正に効果[Webポータルシステム「EQUIOS Online」導入]

2022年9月15日

安心・安全と効率化を顧客と共有


 音羽印刷(株)(本社/東京都文京区、土屋勝則社長)は、Webポータルシステム「EQUIOS Online」を活用したオンライン校正で校正作業の効率化を実現している。2020年から始まったEQUIOS Onlineによるオンライン校正は、自社業務の効率化というメリットだけでなく、行動制限などが求められていたコロナ禍における校正作業において、同社と顧客企業に大きな成果をもたらした。その結果、リモート勤務を余儀なくされていた顧客企業からは「在宅でも校正確認ができる」など、高い評価を得ている。

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左から、山岸氏、鹿野氏、佐藤氏、水野氏

 同社は1927年(昭和2年)、印刷文化の発展の地である東京都文京区で創業。以来、時代とともに目まぐるしく変化、多様化するニーズに対し、長年にわたって培った技術・経験を活かし「ものづくり」の観点から顧客のビジネス発展に貢献してきた。1967年には、新たな生産拠点として千葉工場(千葉県千葉市)を竣工。現在では、オフセット印刷やビジネスフォーム印刷をはじめ、バーコード印刷やシール印刷など、様々な印刷を手がけている。主な取引先は金融関連の顧客で、約款や帳票などの印刷物を受注している。2017年には、創業90周年を迎えている。

 その同社では、既設ワークフローシステムであるTrueflowが更新期を迎えるにあたり、それに変わるシステムを模索していた。導入にあたり同社では「ペーパーレス化への対応」や「業務効率の改善」を実現できるシステムを採用条件として掲げ、加えてこれら条件の先にオンライン校正の実現を視野に入れていた。

 他社システムも検討対象としていたが、既設のTrueflowとの親和性や同社が求める機能を完全装備したEQUIOSと、オンライン校正ができるEQUIOS Onlineの導入を決定した。

 同社・生産本部プリプレス部ゼネラルマネージャーの山岸弘宜氏は、「当社は、リピートものが多く、システム移行による再現性などを考慮してEQUIOSを選択した」と、EQUIOSを選択した理由について説明する。

 そして同社は、2018年12月にEQUIOSとEQUIOS Onlineを導入。導入後すぐの運用の移管も考えていたが、2019年5月1日の「改元」を控えていたことから、その対応が落ち着いた2019年11月、EQUIOSへのシステム移管およびEQUIOS Onlineのテスト検証に着手することとなった。


コロナ禍を追い風にオンライン校正を展開


 同社が運用を開始したEQUIOS Onlineは、インターネットを介してクライアント・印刷会社・制作会社のスムーズな連携を可能にし、ミスやロスのない業務フローを構築できるWebポータルシステムで、リモートでの効率的な入稿・校正・進捗管理を実現する。これにより、印刷会社本来の営業活動や制作・製版業務のパフォーマンス向上を推進する。

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音羽印刷のEQUIOS Online運用フロー

 2020年初旬に国内でも感染が確認された新型コロナウイルスの猛威は瞬く間に拡がり、2020年4月に首都圏を中心に緊急事態宣言が発出され、社会生活のすべてにおいて活動が制限されることとなった。仕事についても例外ではなく、多くの企業がリモートワークなどにシフトし、職場に出勤すること自体が減少していくこととなった。同社の校正業務もこの影響を受けることとなる。

 最初の緊急事態宣言が発出された当時、同社は、校正紙を出力して顧客に郵送で届けることを実施。顧客側は、赤字を入れた校正紙をスキャンし、メールなどで返送するというもので、同社と顧客の双方に大きな負担がかかっていた。そんな時、オンライン校正の運用を告知していた顧客から、「ぜひ利用したい」といった声が強く寄せられたという。

 同社・営業本部営業企画課マネージャーの鹿野明恵氏は、「コロナ禍は、当社だけの問題ではなく、お客様のビジネス停滞にもつながっていく。そのためオンライン校正の運用は、待ったなしの状況になった」と当時を振り返る。


印刷会社と顧客の双方にメリットを享受


 顧客からのオンライン校正への強い要望を受け、同社はEQUIOS Onlineの顧客とのテスト運用を2020年6月より開始。同年11月には、無事に本格運用に漕ぎ着けている。

 オンライン校正は、外出制限など直接対面が難しい場面において、大きな効果を発揮するとともに、今まで要していた移動時間もなくなり、その分を他の仕事に回すことができた。さらに従来の紙ベースの校正紙が削減できるので、ペーパーレス化を求める顧客からの要望にも応えている。つまり、オンライン校正は、印刷会社と顧客の双方に大きなメリットをもたらすものと言える。

 実際に顧客からは、オンライン校正の導入により、在宅でのリモートワークでも安心して校正確認ができることが高く評価されている。

 生産本部プリプレス部の水野純一氏は、「コロナ禍が追い風となった面もあるが、お客様もオンライン校正に大きな可能性を感じてくれたと思う。当社にとっても他社との差別化ができ、これによりビジネスの囲い込みもできる」と、EQUIOS Onlineのメリットについて説明する。

 さらに水野氏は、「EQUIOS Onlineの導入により、プリプレス部門のオペレータは、原稿などを持ち帰ることなく在宅勤務でも通常業務を行うことができた」と自社におけるリモートワーク対応について説明する。

 山岸氏は、「EQUIOS OnlineからEQUIOSにデータが直接入るので、お客様はRIP処理されたデータを画面上で確認できる。これまで校正紙と実際の印刷物の差異を指摘されることもあったが、オンライン校正では、画面上であるが本印刷と同等の内容を確認できるので、安心感を与えることができる」とまた、生産本部プリプレス部リーダーの佐藤直樹氏も「内容確認の上、承認がでれば、すぐに刷版に移行できるので、当社の作業効率も格段に向上した」と、校正から刷版までの工程における自動化が構築できたと語る。


入稿から下版まで2日間の短納期作業も劇的に改善


 その導入効果を発揮した事例として山岸氏は、入稿から下版まで2日間しかない月刊誌の制作で説明する。

 この事例では、データ変換後、RIP処理をして紙に出力し、その日のうちに社内便で同社・営業に届け、翌日には、顧客に提出するという非常にタイトなスケジュールとなっていた。しかし、「EQUIOS Online」によるオンライン校正移行後は、データ生成、出力、営業および顧客への納品といった一連の作業がすべて画面上で完結できるようになった。その結果、校了がでるタイミングによっても異なるが、従来と比較して作業時間は半減。佐藤氏は、「入稿から下版まで2日間というタイトなスケジュールが当たり前のようにできることで、作業負担を大幅に削減することができた」と「EQUIOS Online」の導入で劇的に改善されたと説明する。

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EQUIOS Online導入で効率化を実現

 導入後の成果として鹿野氏は、「実際のデータで検証はしていないが、EQUIOS Online導入後は、各工程間の待ち時間がなくなり、校了までに時間の余裕ができたと実感している」と具体的な数値はないものの、校了までに生じる不透明な「待ち時間」というタイムロスを完全に解消できたと効果を挙げた。


バックアップ機能で顧客に安心感を提供


 また、オンライン校正とは別に顧客からは「EQUIOS Online」のバックアップ機能についても評価を得ているという。同社の主要顧客である金融機関では、過去に作成した校正履歴を官公庁に提出することがある。その対応のため顧客側では、校正履歴を保管しているが、その作業に苦慮していた。しかし「EQUIOS Online」では、過去の校正履歴をデータとして保存できるため、すぐに顧客に提供することができる。

 現在、同社では6クライアントを対象に「EQUIOS Online」による運用を行っている。今後は、クライアント数を増やしていくことも検討している。

 さらに同社では、将来的な構想としてEQUIOSとMISを連携した運用で、さらなる効率化の構築も視野に入れている。

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