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富士フイルムBI、ショウルーム「グラフィックコミュニケーション東京」をリニューアル

2021年11月25日

新たな価値創造を支援〜コンセプトは「変革」と「共創連携」


 富士フイルムビジネスイノベーション(株)は2021年7月、グラフィックコミュニケーション事業本部の立ち上げにともない、東京・中野坂上のショウルームを「グラフィックコミュニケーション東京(GC東京)」と名称変更するとともに展示内容のリニューアルを実施した。GC東京では、最新機器や印刷物のサンプルにとどまらず、開設コンセプトである「変革」と「共創連携」を体感できる場として、様々な展示コーナーを設置し、来場者の新たな価値創造の支援を行っている。


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渡辺氏(左)と塚本氏


 「グラフィックコミュニケーション東京」は2021年1月、東京・六本木ティーキューブから移設した同社の新たなショウルーム。同年4月に社名を富士フイルムビジネスイノベーションに変更した同社がプロダクション関連商品の新たなブランドとして掲げた「Revoria(レヴォリア)」関連商品をはじめ、印刷物のサンプルなどが多数展示されている。しかし、このGC東京が目指しているのは、単に商品やサービスを紹介することではなく、「変革」と「共創連携」による新たな価値創造の場の提供だ。

 「変革」とは、アイデアや想像性を「試す」「具現化」する場として、機器だけではないソリューション提案の場、を意味している。

 そして「共創連携」は、顧客同士や様々なステークホルダーとの連携促進の場・各拠点連携の場として提供することでコラボレーションを活性化させて、これまでにないアイデアの創出を促していく。


様々な視点からアイデアを生み出す場へ


 同社・グラフィックコミュニケーション事業本部の塚本猛氏は、「多種多様な方たちが集まることで新しいアイデアが生まれてくる。そのためGC東京は、お客様だけでなく、当社のパートナー企業など、多岐にわたる分野の方が集い、今までにない新たな視点から価値を創造していくことを目的としている」とGC東京開設の背景と狙いについて説明する。


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最新機種「Revoria Press PC1120」


 GC東京には、プロダクションプリンターの新たなフラッグシップモデルである「Revoria Press PC1120」をはじめとする最新機器などが多数展示されているほか、用紙メーカーらと協力した展示コーナーやデザイナーとのコラボレーションによって生み出された印刷物を展示するコーナーなど、自社の商品やサービスにとどまらない多彩な展示を行っている。

 「1社だけでは、発想に限りがある。普段は接点を持たないプレイヤー同士が連携して新たな発想につなげていくような活動の場にすることで『変革』と『共創連携』を体感できるショウルームを目指している」(塚本氏)

 また、GC東京では、富士フイルムグループとしてのシナジー効果を、より発揮・訴求していくために「富士フイルムグループ」コーナーを新たに設置している。こうした展示コンテンツの定期的な入れ替えを実施していくことで、来場者に新たな発想と出会う機会を提供していくという。


3社協業で「紙と印刷で多様性を表現」


 GC東京入り口付近には、現在、「見方を変えれば、答えは変わる」をテーマとした作品が展示されている。この作品は、紙の代理店である平和紙業(株)、印刷会社である大和出版印刷(株)、そしてユニバーサルデザインコンサル会社である(株)19の3社による協業によってつくりだされたもので、19社が知見を持つ「視覚障がい者にとっては黒い紙に白い文字が見やすい」という、視覚の違いから着想を得て制作されている。


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印刷物を使う人にも配慮した作品「見方を変えれば、答えは変わる」


 具体的には、平和紙業が提供するモノクロ11階調の用紙に、デジタル印刷機で、シルバーとホワイトの特殊トナーを用いた11色で11本のラインを水平方向に印刷している。それぞれの横ラインは、同じ色で印刷されているが、下地となる用紙や見る角度、照明の具合によって見え方が変化することを体感できる作品となっている。

 この作品は、GC東京のコンセプトである「共創・連携」を具現化するだけでなく、印刷物を受け取る「人」にも配慮した価値提供に挑戦したものとなっている。

 同社・グラフィックコミュニケーション事業本部の渡辺麻希氏は、「これまで当社は、環境対応の用紙やグリーン電力など、環境配慮の側面から印刷物の提案を行ってきた。しかし、印刷物を使うのは『人』である。この作品では、環境にやさしいという側面だけではなく、『人』という観点から、今回は視覚に関して、デジタル印刷および用紙の特性を用いることで多様性をかたちにした」と、同作品に込められた想いについて説明する。


国内外の優れた印刷物を多数展示


 イノベーション・プリント・アワード(IPA)作品コーナーでは、国内外の印刷サンプルを多数展示している。IPAは、同社が主催してデジタル印刷作品を評価するコンテストプログラムで、毎年、日本をはじめアジア・パシフィックの国と地域から200を超える作品が寄せられている。


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国内外のIPA出品作品を展示


 同コーナーでは、入賞作品だけでなく、応募作品も展示しており、海外の多種多様な作品事例を実際に手にとって見ることができる。また、同コーナーは、定期的に展示作品を変更することで、来場者に新たな発想との出会いを提供していく。

 「海外の事例を展示することで新たな発想のヒントをみつけることができ、また、国内の事例でも、他社がどのようなアイデアをカタチにしているか、などを実際に見て、感じることができる。そのため、IPA展示コーナーをはじめ、できるだけ多くの作品をご覧いただける機会を提供するようにしていきたい」(塚本氏)


SDGsへの取り組みを体現


 SDGs展示コーナーでは、(有)ザリガニワークス協力のもと、環境にやさしい「さがみはら津久井産材」を使用した「SDGs障子」を制作して展示。この産材は、相模原市内で生産された針葉樹や広葉樹などの木材で、今回はスギ材が使用されている。障子は実際に開けることができ、中には、SDGsの実現に向けた富士フイルムグループの取り組みなどがパネルで紹介されている。

 また、同コーナーでは、ダンボールで作られたガチャガチャ「ペパポン」も展示している。


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ダンボール製のガチャガチャ「ペパポン」


 この「ペパポン」は、本体およびカプセルをダンボールで作成することで、プラスチックごみの発生を完全に抑制。また、ほぼ100%リサイクル可能なダンボールを使用することで、環境負荷低減にも貢献している。

 さらに、この「ペパポン」は、障がい者施設で組み立てられているほか、カプセルの中身は、障がい者がデザインして描いた文字や絵柄をパターン化した「シブヤフォント」を印刷した缶バッジを景品としている。「シブヤフォント」は、平成28年度渋谷みやげ開発プロジェクトとして、渋谷区内の障がい者支援施設と桑沢デザイン研究所の学生の協力によって生まれたデザインフォント。缶バッチには、この「シブヤフォント」をモチーフとしたデザインをシルバーやゴールドなどの特殊色で印刷されたものを障がい者の方が最終製品として仕上げている。


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缶バッジには「シブヤフォント」を採用


 同社では、「ペパポン」および缶バッジの制作を障がい者施設に依頼することで、施設の収益性向上と障がい者の自立支援につなげていきたいとしている。


2021年12月にハイブリッド形式のイベントを開催


 コロナ禍でのリニューアルではあったが、GC東京は、完全予約制のもと人数を制限した環境下で見学会を日々実施し、多くの来場者に新たな価値創造のヒントを提供している。

 「印刷機のデモでは、多くのお客様の注目が集まっていた。やはり実際に目の前でみるデモとオンライン上で見るデモとでは、感じ方が大きく違うと実感した」(渡辺氏)

 今後の運用について、塚本氏は、紙のバリエーションを増やす検証を拡充していくことを考えているという。

 「紙で出すことの意義、紙で出すことによる付加価値について、改めて考えていく必要がある。そのためには、紙の印刷物として制作することの必然性をストーリー化して訴求していくことが重要である。単に高品質や高生産性といった機能をアピールしていくのではなく、環境や人にやさしいなど、様々な側面から印刷物だから提供できる価値を体感できる場を構築していくことが、このGC東京の使命であると考えている」

 今年12月には、このGC東京をハブとして、サテライト会場とつなぐ、リアルとオンライン併用のハイブリッド方式によるイベントを、富士フイルムグループとして開催することを予定している。同イベントでは、外部講師を招聘したセミナーやパートナー企業と連携した新たなソリューションの提案などが行われる。

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