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音成印刷(佐賀県)、広報誌で自治体に評価[XMF Remote導入事例]

2021年3月15日

オンライン校正に確かな手応え


 (株)音成印刷(本社/佐賀県小城市小城町253-4、真崎俊夫社長)は、2019年に「XMF」「XMF Remote」を導入し、社内の作業標準化・見える化を実現するとともに、クライアントの業務効率化にも貢献している。また、コロナ禍で社会全体のテレワークへの志向が高まる中、「XMF Remote」を営業ツールとして活用することで、受注拡大も果たしている。具体的な活用戦略や成果などについて、真崎社長、音成信介専務、池田和文生産部部長に聞いた。

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左から、真崎社長、池田部長、音成専務



発注者目線での使いやすさを重視し「XMF Remote」を選択


 音成印刷は、1905年(明治38年)に木版印刷の個人商店として創業した老舗企業。1948年に合資会社音成印刷所として法人化、94年に(株)音成印刷へと改組・改称して現在に至っている。2013年に日之出印刷(株)(佐賀市)、2020年に(株)エーワン(伊万里市)がそれぞれM&Aによってグループ会社となり、現在、この3社の連携で事業を展開している。

 音成印刷の特徴として、佐賀県内の自治体からの仕事が約6割を占めていることが挙げられる。広報誌を中心に、情報発信のためのパンフレットや各種販促物の制作も幅広く行っている。また、同社の強みである企画制作のノウハウを活かし、印刷物だけにとどまらずWebサイトや動画、VR(仮想現実)などのツールも積極的に提案・提供している。

 2010年には、自社独自企画のメディアとして小城市のフリーペーパー「おぎなう」を刊行した。同誌は地域の飲食店や企業などの情報を発信する情報誌で、隔月で5,000部発行。2016年には日本タウン誌・フリーペーパー大賞(主催/社団法人日本地域情報振興協会)の「ライフスタイル部門」で優秀賞を受賞している。

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小城市の情報を発信する「おぎなう」


 2019年9月からは「印刷通販ちょっとプラス」をスタート。まだコロナ禍前ではあったが、非対面でクライアントの業務に貢献できるデジタルプラットフォームをつくること、そして受発注の見える化・効率化を実現することを目的とした取り組みである。

 そんな同社が「XMF Remote」に着目したのは、社内の制作業務の進捗の見える化や標準化を図るとともに、クライアントとの校正のやり取りやデータ受け渡しなどをシステム上で行える環境をつくりたいとの思いからだった。

 「もともと当社は他メーカーのワークフローシステムを使用していたので、Webポータルシステムについても、そのメーカーの製品を選定する方が導入費用を抑えることはできたが、ちょうどその導入を検討している時期にFFGSからXMF Remoteの提案をもらった。国内の導入実績も多いとのことだったので、実際にユーザーがどのように活用しているのか興味を持ち、両システムを比較してみることにした」(真崎社長)

 比較検討の結果、クライアントにとって、より使いやすそうだと感じたのが「XMF Remote」だったと真崎社長は語る。

 「社内の制作や営業が便利に使えることも大事だが、顧客にも使っていただけなければ、このシステムを入れる意味がない。官公庁や一般企業の顧客にとっては、やはりGUIがわかりやすく、操作が簡便なものでなければ、使いたいとは思わないだろう。そんな観点で見たときに、より魅力的に感じたのがXMF Remoteだった」(真崎社長)

 「XMF Remote」についての理解をさらに深めるため、FFGS「経営セミナー」の受講や導入企業の見学などを通じて実践的な情報を収集したという。

 「とくに北海道の東洋の見学では、校正のやり取りのタイムラグや営業活動の時間的ロスを大幅に削減し、営業本来の仕事である企画・提案の強化につなげているところが非常に参考になった。XMF Remoteは単なるWeb校正ツールではないのだと理解した」(真崎社長)

 こうして検討を重ねた末、2019年、ワークフローシステムを「XMF」に移行すると同時に、「XMF Remote」の導入に踏み切った。


面付けや検版など、下版までのフローが劇的に効率化


 「XMF」「XMF Remote」は音成印刷にとってまったく新しいシステムであったため、オペレーターが仕組みを理解したり、使い方に慣れたりするまでは時間がかかったという。

 「最初のうちは、つい使い慣れている既存のシステムを使って下版してしまうということがたびたびあった。しかし、FFGSの技術にトレーニングに来てもらい、リモートで操作方法を教えてもらうことで、徐々に使いこなせるようになっていった」(池田部長)

 センターRIPとして「XMF」の活用が社内に浸透するまでは多少苦労もあったが、効果は非常に大きかった。例えば、大きく効率化できた作業のひとつに「面付け」がある。従来は、すべてのページが揃ってから面付け作業をスタートしていたため、面付け担当者は全ページが揃うまで待つ必要があった。しかし「XMF」導入後は、事前に作成した面付けフォーマットに、完成したページのPDFを順次配置していけるようになり、作業の進捗状況も出力担当者などと共有できるようになった。そのため、最後のページが校了になった、その時点で面付も完了し、すぐに出力することが可能になった。

 検版においては、「XMF Remote」の「あおり表示」や「強調表示」などが可能なデジタル検版機能を有効活用している。

 「校正を出すタイミングで、修正指示がきちんと反映されているか、赤字の入っていない箇所が変わっていないか、といったことを効率的に確認するのにXMF Remoteの自動検版機能がとても役立っている。これによって検版の時間短縮と精度向上が図れ、制作部門の負荷を軽減でき、印刷事故を未然に防げるようになった」(池田部長)

 制作から下版までの作業が大幅に効率化されたことで、同じ時間内にこなせるジョブの量も多くなり、社内全体の生産性向上が実現。さらに、無駄な待ち時間の解消などにより残業時間の削減も図れているという。

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作業効率化だけでなく印刷事故防止にも寄与



自治体の担当者から「これでテレワークできる!」と喜びの声


 クライアントとの「XMF Remote」の運用は、佐賀県内の2つの自治体から始まった。いずれも広報誌の仕事で活用している。

 最初に採用されたのは佐賀県中部にある自治体。同社が提案に行ったところ、その部署の担当者は県内の別の印刷会社との間で既に校正業務に「XMF Remote」を使用していたという。

 「こちらが説明するまでもなく、広報誌での運用もスムーズにスタートすることができた。『自分のスケジュールに合わせて効率よく校正ができるのでとても助かる』と、利便性を実感していただいている」(音成専務)

 同自治体の広報誌を担当する部署は、少人数でありながらWebサイトの運営など多くの仕事を抱えており、担当者はつねに忙しく動き回っているため、XMF Remoteが重宝されているようだ。

 そして、このように顧客でのXMF Remoteの採用が広がることで、音成印刷の営業にとっても移動時間や待ち時間の削減といったメリットが得られている。

 「とにかく担当の方が多忙なので、XMF Remoteが採用される以前は、営業が校正紙を持っていった時間帯に不在のこともしばしば。そんなときは、担当者が帰社されるまで待つことになったり、校正終了後に改めて受け取りに行くようなこともあった。しかしXMF Remoteの導入によって、これらの時間を削減することができ、営業効率がぐっと上がった」(音成専務)

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 2件目の採用も、1件目と同様の県東部の自治体の広報誌。ここではオンライン校正の活用が初めてだったことから、事前にシステムについての説明を行ったところ、「これでテレワークができる!」と広報誌担当の方々から喜びの声が上がったという。

 「例えば、担当者が子育て中の方だったら、お子さまが熱を出した、何か用事ができた、しかし締め切りが迫っている、という時に、XMF Remoteがあれば自宅で校正作業が進められる。運用を開始してからは『原稿の確認や情報共有などが、時間や場所を選ばず行えるので非常に役立つ』と評価いただいている」(音成専務)

 同社は、2019年、「XMF Remote」の導入が決まった段階で自治体への提案を始めていたが、音成専務は「当時からオンライン校正システムに対するニーズは非常に高いと感じた」と振り返る。

 「顧客にXMF Remoteの導入をアナウンスし、仕組みについて説明すると、『早く使いたい』と期待の声をたくさんいただいた。とくに30歳代ぐらいの若手の方は、Webを使ったシステムに馴染みがあり、紙の校正以外の方法にまったく抵抗を感じない方が多いので、オンライン校正には高い関心を示された」(音成専務)

 実際、若手担当者は「XMF Remote」をスムーズに受け入れ、オンライン校正だけでなく、データ送信や情報共有などでも積極的に活用しているという。


新規提案・受注で、自社の強みとして活かす


 現在、同社では全体の約8割、件数にして月に200〜300件ほどのジョブを「XMF」「XMF Remote」に登録して運用している。定型化できない帳票類などの一部のジョブは、従来どおりのフローで進行しているが、これらも今後「XMF」「XMF Remote」運用に切り替える計画だ。池田部長は「年内にはすべての制作データを登録して運用する、『全ジョブ運用』の体制を整えたい」と語る。また、グループ会社である日之出印刷やエーワンとのやり取りについても、「XMF」「XMF Remote」へのシフトを進めているが、これにより所在地の異なる3社の印刷データの出力が、1台の「XMF」「XMF Remote」によって可能になる。

 また、営業面でも「XMF Remote」によるオンラインでのコミュニケーション環境を強みとして活かし、自治体広報誌の新規受注に取り組んでいく考えだ。

 「コロナが収束しても、非対面でのコミュニケーションやテレワークを採り入れる動きは、止まることはないだろう。自治体の入札でも、今後オンライン校正システムが仕様に加えられることは十分に考えられる。そうした中で、XMF Remoteの運用ノウハウは私どもの優位点のひとつとして活かせるのではないかと考えている」(音成専務)

 同社は「XMF Remote」をクライアントの課題解決のための重要なインフラと位置づけ、さらに活用範囲を拡大していく。最後に真崎社長は、「当社は価格では勝負しない。大事なのは、顧客のお役に立てる提案ができるかどうか。XMF Remoteはそのための強力なツールになる」と力強く語る。

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