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「無処理化」きっかけに刷版工程見直し進む|FFGS 技術本部副本部長 西川博史氏

2021年1月1日

開発の最優先項目は視認性 〜 コンサルプログラムでトータル支援


 Withコロナ時代を背景に、多くの印刷会社で刷版工程の見直しが進み、その中で工数削減による効率化やそれにともなう資材コスト削減といった効果によって無処理版への関心がより一層高まっている。完全無処理サーマルCTP「SUPERIA ZD」シリーズを中心に、この「刷版工程の無処理化」を推進する富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)(辻重紀社長、以下「FFGS」)では、印刷工程まで体系立てたサポートプログラムで「無処理化による業務改善」をトータル的に支援している。そこで今回、FFGS執行役員技術副本部長の西川博史氏に、刷版工程の今後と同社ソリューションについてうかがった。

ffgs_2021ny_nishikawa.jpg

西川 氏


有処理版に近い性能


 コロナ禍の中、お客様の中でも製造工程における様々な見直しが進んでおり、とくに刷版工程は、上流のデザインや制作と、一方では印刷と一体運用が可能ではとの構想になってきている。いま多くの印刷会社が、刷版の役割を上流/下流のいずれかに帰属させることで効率化を図ろうと考えている。我々はこれらの需要に対してサポートしているわけだが、お客様にどんなことを実現したいのかをヒヤリングすると「プレートをパレットに積んだ状態でCTPに装填できないか」、あるいは「あらかじめ印刷機が分かっていれば、出力時に機械毎のストッカーに仕分けできないか」という声があり、様々なパートナー企業と協業しながら、要望に応じた運用やシステムを提案している。「完成されたシステム」ではなく、お客様の実態や運用状況に沿った形でカスタマイズを行っている。

 一方、刷版周辺で最も課題となっているのが自動現像機のメンテナンスに関わる部分である。液の管理や廃液処理などの様々な課題が、無処理版という技術が普及したことで大きく見直されている。無処理版が発表されてから十数年が経過するが、ここにきて現状の有処理版に近い性能を持つ無処理版が完成しつつある。自動現像機を排除することで、作業工数の削減や、それにともなう資材コストの削減に寄与することを、お客様もすでに実感しており、生産効率、コストの両面で大きなメリットを享受できるシステムとして普及が進んできている。


視認性向上を目指した製品開発


 当社の無処理版「SUPERIA ZD」シリーズの開発コンセプトは「刷りやすさの追求」。印刷に寄り添う形で開発を進めてきた。目指すところは「なるべく印刷機に負荷を掛けず、使い勝手の良いプレート」である。

 これまでは視認性を犠牲にしてきた部分がある。視認性は、お客様の中には「ジョブが判別できて、仕分けさえできればOK」という会社もある一方で、日本の運用として、検版や次工程保証という文化が根付いている。単純に仕事を仕分けるための判別ならば「色玉を見やすくする」「ジョブ表示のフォントを大きくする」などの工夫で良いが、店名差し替えなどの場合は、版数も多く、それを仕分けるための判別も煩雑になり、視認性は重要になる。

 視認性は、プレートを出力した段階だけでなく、さらに経時劣化による視認性の低下を抑制することも重要になる。例えば金曜日の夜に出力して、月曜日に印刷する段階で、視認性を維持できている必要があり、これを実現できる無処理版が必要である。

 次工程保証という面では、「版面を測定する」という要望は少なくなってきている。当社の自動現像機は、自動管理をしていること。また、無処理版によって現像液による疲労や感度の振れがある範囲で生じる有処理版と比べて、露光だけで完結する無処理版の方が安定性は高く、印刷機のメンテナンスをしっかり実施していれば一定の範囲に収まる。網点測定が必要な場合には、当社の無処理版は染色液を使用してコントラストを持たせることができる。

 さらに、耐傷性も生産効率を大きく左右する要素で、もともと「SUPERIA ZD/ZP」はこの耐傷性に強みがあるが、まだまだ高める余地はあると考えている。

 具体的なスケジュールは発表できないが、近々、視認性を強化した無処理版の新製品のリリースを予定している。

 刷版工程の無処理化でひとつの障壁になっていたのは「目視による検版」である。いまではRIPによる演算の信頼性は高まっていること、版に対する露光位置などもRIPで事前に確認とその修正が仕組みで対応できるようになってきていることから、その必要性は薄まりつつある。

 奇しくもコロナ禍が刷版工程の見直しを加速させ、将来に向けた課題の洗い出しが進んでおり、改革ポイントとして刷版工程がクローズアップされつつある。


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FF無処理版の層構造

重要性増すカラーマネージメント


 無処理版が普及したとは言え、全体のおよそ8割が未だに有処理版を使用しているという実態もある。我々は、そこに無処理版のメリットを的確に伝え、無処理版への転換を促すことが最初のステップだと考えている。一方で、無処理版を導入しても、印刷機が管理されていなければ上手くいかない。無処理化をきっかけにして、印刷の安定化や、それにともなうカラーマネージメントを見直すきっかけになっている。コロナ禍でクライアントの立ち会いができなない中、色の安定性、繰り返し再現性は重要で、信頼性のもとに仕事が運用されている。こういった状況下だからこそ、印刷周りの支援も我々の重要な役割だと考えている。

 現在の小ロット多品種への対応には、無処理版によるアナログの印刷と、デジタルプレスの有効活用が必要で、これら両方の流れの最終的な成果物の色が安定し、要求通りの色再現性を維持することは必要不可欠となる。

 FFGSでは、その環境を支援するプログラム「GA Smile Navi」を展開している。これは、印刷現場の品質管理を多角的に支援するサポートプログラムで、以前は、「Eco&Fast Printing」というプログラムによって「印刷の安定化」に重きを置いた活動を行ってきたが、そこにカラーマネージメントやコスト削減の支援という要素を加えている。

 無処理版の場合、まず有処理版との網点カーブのマッチングから始まり、次に複数印刷機のカラーマッチングをしていく。次のステップでは「色は合ったが、立ち上げまでに時間が掛かる」となれば、「Eco&FastPrinting」の知見を生かした印刷機のメンテナンス支援を行い、稼働率を上げていく。

 FFGSでは、「i-ColorQC」をはじめとした色の支援、印刷機のコンディション診断などの実績を組み合わせることで、無処理化においても体系立ったトータルなサポートを提供できる体制を整えている。


本来目指すべき無処理化の効果


 刷版システムの今後として、次にプレート出力後を如何に効率化するかということになる。もともと印刷機毎に違う版サイズであれば、印刷オペレータは目視で判断できるが、印刷機の版サイズがすべて同じである場合には、ひとつのストッカーに溜まった版の中から選別するのは大変な作業になる。そこで印刷機毎にストッカーを振り分けるという発想が生まれる。

 さらに、出力後に自動で版曲げする場合、それを効率良くストックするために曲げた部分が重ならない状態でストッカーに送り込んでやる。FFGSにはそんなシステム構築の実績もある。ハンドリングによる刷版の傷などもなくなりトータル的な効率化にも繋がるわけである。


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刷版自動化フロー図


 コロナ禍でより注目される刷版工程の無処理化。しかし、単純に自動現像機を排除するだけでは改革には繋がらない。無処理化をきっかけに、新たな取り組みや生産工程の見直しを進めることで本来の目指すべき効果が得られる。無処理化が経営や業務改善の第一歩となるわけだ。自動現像機を置いていたスペースに仕分けシステムを導入するというのもひとつの選択肢になるだろう。

 前述の通り、まだまだ有処理版の比率が多くを占める中、FFGSは無処理化による印刷会社の工程改善に寄与するソリューションを今後も展開していく考えである。

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