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アオヤギ、クライアントとサポーターが認めるグッズをIridesseで制作

2020年11月15日

真の高付加価値を具現化〜特殊色と長尺印刷機能をフル活用

 2019年度「PIXI(Printing Innovation with Xerox Imaging)アワード」において、ポスター部門第1位を獲得したアオヤギ(株)(福岡県福岡市、青柳泰一郎社長)の表彰式が10月19日、富士ゼロックス福岡(株)(福岡県福岡市、竹内將人社長)本社において挙行された。受賞作品である「ロアッソ熊本 ロングタペストリー」は、Iridesse Production Pressの特長であるゴールドトナーと長尺印刷のオプション機能を活用して制作されている。

PIXIアワード「ポスター部門」第1位獲得

 PIXIアワードは、アジア・パシフィック地域における富士ゼロックス製プロダクションプリンターのユーザーから応募作品を募るコンテスト。審査は、印刷やグラフィックデザインなど各分野の識者で構成される第三者委員会によって行われ、作品の品質、デジタル印刷技術の活用、革新性、ビジネス性、全体的な美しさといった基準に基づいて受賞作品を決定する。

 12回目を迎えた今回は、248作品が寄せられ、厳正な審査を経て10ヵ国43作品が入賞を果たした。また、入賞43作品のうち、最優秀賞受賞作品を含めた31作品にIridesse Production Pressが活用されていた。

 日本からは6社16作品がエントリーし、アオヤギの作品「ロアッソ熊本 ロングタペストリー」がポスター部門の第1位に、そしてヤマゼンコミュニケイションズ(株)(栃木県宇都宮市)の作品「POCKET MUSEUM(名刺カバー)」がオフィス用品部門で第1位に選出されている。

Iridesseの機能を最大限に活用

 ポスター部門第1位を獲得した「ロアッソ熊本 ロングタペストリー」は、Jリーグクラブ「ロアッソ熊本」グッズとして開発された商材。ナイロン素材である「シータス」に、Iridesse Production Pressの特長であるゴールドの特殊トナーとフルカラープリントを掛け合わせ、長尺105cmのタペストリーとして仕上げられている。サポーターの心を捉えるクラブカラーの赤とゴールドの鮮やかな配色に加え、防水、耐久性に優れた素材を使用することで付加価値を高めるだけでなく、デジタル印刷だからこそ実現できる完全受注生産による在庫レス化を実現している。

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PIXIアワード「ポスター部門」第1位を獲得した「ロアッソ熊本 ロングタペストリー」

 表彰式の席上、富士ゼロックス福岡の竹内社長は「Iridesseを活かす発想やデザインなどがグローバルな観点で評価されたことは、当社にとっても大きな財産である。とくに発注者だけでなく、その先のエンドユーザーにまで喜んでもらえる商品開発力に対して敬意を表する」と述べ、改めてアオヤギの功績を称えるとともに、今後も商材開発を含めた協働関係を築いていきたいとの考えを示した。

 このあと青柳社長のほか、受賞作品の制作プロジェクトチームメンバーであるドキュメントソリューション部の工藤政博部長、印刷ソリューション部の矢壁国博課長と大谷朋也課長代理が登壇し、竹内社長から表彰状と記念トロフィーが授与された。

 青柳社長は壇上で「世界的に栄えある賞をいただけたことで、社員のモチベーションの向上につながったとともに、会社の社格も上がったのではないかと実感している」と喜びを語った。

富士ゼロックスとともに新たな価値創出に挑戦

 同社が富士ゼロックスのIridesse Production Pressを導入したのは昨年3月。既設の他社製デジタル印刷機が更新を迎えることから同社では、既設他社メーカーの新機種を含め、検討を重ねた結果、Iridesseを新たな事業戦略機として選択した。

 機種選定の理由の1つとして青柳社長は、「新たな事業領域の拡大には、特殊色を活用した差別化戦略が必要と判断した」と、ゴールドなどの特殊色を使用できる機能を挙げている。

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左から青柳社長、工藤部長、矢壁課長、大谷課長代理

 また、青柳社長は、メーカーのサポート力も機種選定の大きなポイントであると強調する。青柳社長が語る「メーカーのサポート力」とは、定期メンテナンスや機械トラブル時の対応といった一般的なものだけではなく、新たな市場を共に創出するためのサポート活動だ。ときには同社の営業担当者と富士ゼロックスのスタッフが協働して、クライアントに対してIridesseならではの特性を活かしたより具体的な商品提案を行う。また、特殊な仕様などに関する要求に対しても、メーカー側のスタッフが協働していることによってより迅速な対応が可能になる。これは、Iridesseを導入して間もないアオヤギの担当者にとって心強い支援になった。

「在庫レス」ニーズに完全対応

 「ロアッソ熊本 ロングタペストリー」は、これまでにない差別化が図られた新商品として提案されている。タペストリーという独得の縦長形状に加え、高画質な印刷と全体を引き締めるアクセントとして使用したゴールドによる仕上がり品質は、クライアントの心をすぐに掴んだ。

 「ほかにはない、まったく新しい商品であり、さらに紙ではなくナイロン素材のシータスを用いたことでクライアントからは、すぐにでも商品化したいとの回答を得ることができた」(矢壁氏)

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クラブカラーの赤にゴールドを配色

 さらに耐久性があり、丸めて持ち運べるなどの特徴から、単に飾るだけのグッズではなくスタジアムで使用する応援グッズとしても販売できると判断したクライアントからは、コスト重視ではなく、あくまでもサポーター目線での商品開発を要望されたという。

 そしてクライアントがとくに関心を持ったのは、これだけの高付加価値商品を小ロットで、かつ在庫レスで販売できるという点であった。

 プロスポーツチームにとって、グッズの制作・販売は重要な経営戦略の1つといえる。そのため多種多様なグッズが販売され、収益的な側面のほか、新たなファン層の獲得につなげている。その一方で課題となっているのが「在庫」だ。

 今回のタペストリーでは所属する全選手を1人1点で選手ごとに商品化している。しかし、サポーターが推す選手は様々で、当然、販売数に影響が出てくる。全選手分をラインナップしても、売れ行きは均等にはならず、そこで生じる「在庫」や「売れ残り」がコスト圧迫の要因となってしまう。しかし、デジタル印刷機であれば、受注した商品を受注した数だけ生産し、納品することができる。

「三方よし」のグッズとして完成

 「ワンコインが主流のグッズの中で、このタペストリーは、比較的高価な商品となっている。それでも多くのサポーターが購入してくれているのは、その価値を見出してくれている証しである。今回の場合、クライアントは、高単価なグッズ販売と在庫レスの実現、そしてサポーターは、好みの選手が印刷された価値ある新たなグッズの購入、そして当社にとってはIridesseによる新たなビジネスモデルの構築、とすべてにメリットが生じている。つまり『三方よし』のかたちができたことが成功につながったと思う」(工藤部長)

 「高付加価値印刷物の提供」という言葉は、よく使われているが、高付加価値とは印刷会社ではなく、クライアント、そしてその先のエンドユーザーが感じるものだ。今回のタペストリーは、まさに同社の提案した高付加価値印刷物に対し、クライアントとサポーターが、その商品価値を見出した事例といえる。

 「大量生産ではないので、すぐその場で購入することはできない。しかし、そのプレミア感もあって好きな選手のタペストリーを手に入れたときにサポーターの皆さんには大きな喜びを感じてもらったと確信している」(大谷氏)

商品券・クーポン券印刷にも展開

 このタペストリーの成功によりクライアントからは、在庫レスで高付加価値商品を提供する印刷会社としての認識が定着するようになった。さらに、その実績を聞きつけた他のクライアントからも商品開発への協力依頼が来るようになったという。

 同社では、タペストリーと、ほぼ同時期に、「プレミアム商品券」をIridesse Production Pressで受注している。この商品券には、クリアトナーで偽造防止効果を付加している。

 「Iridesseの導入により、当社からの提案力が強化され、また、クライアントからも様々な要望が寄せられるようになったことで、当社の担当スタッフのモチベーションがさらに高まったと実感している。今後は、この流れを会社全体に波及していければと考えている」(青柳社長)

 同社では、今後もスポーツチームなどの市場に新たな価値の提供を継続していく。また、商品券の実績を踏まえ、現在、政府が推し進めている「Go Toキャンペーン」のクーポン券などへの応用展開も見据えている。

アワード受賞を契機にさらなる飛躍へ

 さらに、世界的に気運が高まっているSDGsへの対応として、環境問題と貧困問題を解決するために、これまで廃棄されてきたバナナ繊維を原料として開発された「バナナペーパー」や、コロナ禍において需要が高まっている「抗菌」への対応として、抗菌・抗ウイルス・消臭効果が実証された機能紙「銀雪」などの機能紙にIridesse Production Pressの機能を融合させた価値のある新商材開発にも着手していく。

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富士ゼロックス福岡・竹内社長(左)と記念撮影

 「これらの用紙にただ印刷するのではなく、いかに価値を付加して提供できるかが重要である。その価値提供の手段として、当社では、Iridesseを活用していく」(工藤部長)

 今回のPIXIアワードへのエントリーについては、富士ゼロックスからのアプローチがきっかけであったが、青柳社長は世界規模のアワードへの挑戦が社員のモチベーションアップにもつながることを期待して参加を決意したという。また、Iridesseを導入して間もない自社の今現在の実力を見定めることも目的の一つであった。栄えある第1位を獲得したことで、その2つの目的は達成できたようだ。

 なお、同社では、名称を新たにして開催される2020年度の「イノベーション・プリント・アワード」にもエントリーしている。

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