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ホリゾン・ジャパン 宮﨑進社長に聞く|新しい時代、新たな挑戦〜箱売りからソリューション提供へ

2019年8月5日

 (株)ホリゾン東テクノと(株)ホリゾン西コンサルは、今年7月21日付けで両社を統合し、ホリゾン・ジャパン(株)(本社/東京都千代田区)として新たなスタートを切った。その新組織の舵取り役として、宮﨑進氏が代表取締役社長に就任した。「新しい時代、新たな挑戦」を経営方針に掲げている宮﨑社長に、東西販売会社の統合の背景や新会社が印刷業界に果たす役割、そして今年11月に京都で開催を予定している各メーカー間の枠を超えた新たなイベント「THINK SMART FACTORY 2019(TSF2019)IN KYOTO」の概要とその展望などについてうかがった。

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 今、情報革命によって、世界や日本の社会や地域、そして、私たちの生活スタイルも大きく変わってきている。イノベーションはさらに加速し、市場や産業、また、クライアントも大きく変化している。印刷業界も変化を続けており、その変化のスピードに対し、どのように対応していくかが、企業として重要だと考えている。

 我々のビジネスは、どちらかと言えば「箱売り」、つまり単品の魅力でこれまで販売を行ってきた。今後は、印刷全体の仕組みやソリューションを提供するような会社に変換していきたいと考えている。

 デジタル印刷による新しい印刷の仕組みが構築されれば、印刷業界も大きく変わっていくはず。昨今、「働き方改革」への取り組みが、すべての産業界で急務となっているが、当社も、お客様の「働き方改革」を支援するという強い想いで、印刷業界の発展に寄与していきたい。


これまでの経験を活かし効率的な印刷の仕組みを提案


 私自身は、キヤノンマーケティングジャパンに28年間、在籍していた。具体的には、営業部門に12年、あとの16年は、マーケティングや商品企画などに携わってきた。とくに最後の12年は、商業印刷分野向けのプロダクションプリンターに特化した業務に従事してきた。この過程でキヤノンのプリンターと後加工機を連携させた印刷生産システムの構築がきっかけとなり、ホリゾンとの関わりを持つようになった。

 印刷業界に携わるという点では同じだが、プリンターメーカーと後加工機器メーカーでは、視点がまったく違っていた。例えば、プリンターメーカーは、印刷品質を中心にお客様に提案していた。とくに当時は、オフセット印刷と品質比較されることが多く、用紙対応力や高画質について、細心の注意を払っていた。

 しかし、後加工機側では印刷品質よりも、いかに効率的に、かつ高精度に上流と連携して最終商品に仕上げるか、といった点に重きを置いている。

 プリンターと後加工機では、お互いに求める視点が異なっていることを改めて痛感している。今回、ホリゾン・ジャパンの社長という大役を担わせて頂く理由の1つが、このプリンターと後加工機のボトルネックを解消し、そして効率よく連動できるような仕組みを開発・構築し、提供していくことにある。


新会社が果たすべき役割


 これまで東西の販売会社に別れ、21年間活動を展開してきたため、人の交流も含めて社員同士が交わる機会が少なかった。

 そこで、新会社として一致団結するために決起集会を開いた。

 そこでは、年間を通しての方針や新会社の概要、そしてビジョンを共有し、同じ方向に向かっていくことを確認した。具体的には、「新しい時代、新たな挑戦」をしていこう、というメッセージを伝えた。

 ホリゾングループとしては73年の長きにわたり、代理店様やお客様とともにビジネスを築いてきた歴史を持っている。その伝統を継承しつつ、時代に合った構造改革を断行し、お客様に喜ばれる、新たなビジネスに挑戦していくことが必要であると考えている。また、組織としてだけではなく社員自身も、困難に立ち向かわなければならない。新たな挑戦の先には成長があると私は確信している。その想いを込めて「新しい時代、新たな挑戦」を私からのメッセージとして伝えさせていただいた。


ホリゾンの強みと課題


 ホリゾンの強みの1つは、商品ラインアップの多彩さにあると改めて実感している。後加工ジャンルを中心に、印刷事業者向けや一般企業内で使用される事務機用など豊富な商品を有している。ここまでラインアップが拡充した背景には、個々のお客様のニーズに対して真摯に耳を傾け、ものづくりを基軸に企業活動をしてきたからに他ならない。個別のカスタム対応を含め、市場と密接な関係を構築してきた歴史こそが、ホリゾンの強みといえる。

 課題については、やはり「単品売り」が主体となっていること。現状の印刷業界は、産業自体が低迷傾向にある中、デジタル化の進展や原価アップ、雇用問題など、これまでにない問題に直面している。そのような環境の中、単品でモノを販売して課題を解決することは難しい。だからこそ、印刷のワークフローを一緒に組めて、そして、お客様の課題を解決できるアライアンスパートナーとともに、ソリューション提供することが重要となる。

 課題解決とは、その一歩先を行くということなのかもしれない。ニーズに応えるだけでなくシーズに対しても、どれだけ新しい提案ができるか、ということが今後、さらに求められていくはず。


東西販売会社を統合した狙い


 地域密着型の営業が実践できたというメリットの反面、別会社として展開してきたことでデメリットも生じていた。その1つとしてサービスの問題がある。これまで日本全国で展開している企業や代理店様の場合、均一の対応がしづらいケースがあった。また、政策制度の不一致が東西で生じることもあった。

 この問題を解消するために、新会社では日本全国統一のサービス、また、代理店様に対しても政策制度を統一していこうと計画している。


印刷業界におけるデジタル化の現状


 デジタル化への取り組みについては、現在、当社は、第2ステップ目に移行したと考えている。第1ステップは、2004年JDF drupaからのデジタルを活用した印刷の仕組みの研究や検証の段階であった。しかし、近年では、各メーカーが自動化をはじめ、連携可能な仕様を搭載した製品が提供できるようになってきた。実用化・実例が多数増えてきており、10数年前と比べ、大きな進歩だと思う。

 また、製本加工機械を取り扱う競合メーカーは多数存在しているが、ホリゾンが当時からデジタル化を見据えた展開をしてきたことが今後の戦略を考える上でも大きい。

 多くの企業が雇用など経営課題をお持ちだが、なかなか良い人材を採用できない。人件費は高騰している。また、外国人労働者が採用できても言語やスキルの問題が生じる。

 究極の目標は、「無人化」であるが、現時点では、「省人化」の実現に向けてアライアンスパートナー各社と真剣に取り組んでいる。各社と協力関係を進めながら、新たなイノベーションや新しいサービスをお客様に提供していきたい。


新イベント「TSF2019」開催の意義


 これまで印刷業界に携わってきた経験から、1社だけで勝ち残っていくことは難しい時代になったと実感している。

 今年11月に開催する「TSF2019」では、市場の課題解決に向けた提案を行っていく。

 昨年開催された「IGAS2018」においても、連携しているアライアンスパートナーとともに印刷の仕組みを提供するソリューションを提案してきた。「IGAS2018」では、セミナーを中心としていたが、「TSF2019」では、実機展示とデモを通して、様々なソリューション提案を行っていく。これにより、より実務に近いソリューション提案ができるはず。

 また、セミナーについても16セッション程度を用意し、国内外の成功事例などを中心に多彩な情報発信を行っていく。

 さらに展示エリアでは、ソフトウェアメーカーからプリンターメーカーなど14社が参加し、実機によるソリューション提案を行っていく。このエリアの最大の特徴は、メーカーの垣根を外して、各ソリューションを紹介していくこと。従来型の展示会では、各メーカーが主張したいことが全面に出てしまうが、今回のイベントでは、出展各社が協力して、様々な提案を行っていく。そのため、見た目は、印刷工場を想定した内容となっている。

 このイベントは、TSF2019実行委員会という14社で構成する委員会主催で開催される。

 来場者数については、国内外から約3,000名を想定している。イベントの詳細については確定次第、随時発表していくので、ぜひ多くの方の来場をお願いしたい。

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