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「Kodak」ブランド復活へ 〜 BtoCビジネス期の資産活用

2017年1月1日

「Sonora XJ」倍増の拡販へ 〜 国産化の体制整え、製品競争力を強化
コダックジャパン 藤原浩社長に聞く


 完全無処理サーマルCTPプレート「Kodak Sonora XJ」の拡販で昨年、大きな成果を挙げたコダック(同)(藤原浩社長)。検版における視認性を高めた新バージョンのリリース、さらには国産化の体制も整い、今年はさらなるシェア獲得を見込んでいる。一方、コンシューマビジネスで培った資産を活用した新たなブランディングのもとで、今年同社は「Kodak」というブランドイメージの「復活」を賭ける。今回、2017年の幕開けに際し、藤原社長にインタビューし、その具体的なソリューション展開について聞いた。


「5倍成長」達成した完全無処理版

kodak_fujiwara17.jpg 2016年の印刷産業における最大のトピックスは「drupa2016」。ここでのコダックブースについて、多くのメディアやユーザーから「ストーリー性のある展示だった」と評価いただいた。コダックが印刷業界に広いポートフォリオでコミットしていることを実際のデモを通じて訴求したことが、業界に大きなインパクトを与えたと思っている。
 さらにdrupaでは、トッパン・フォームズ様に5台目のProsperプレス(日本市場初のProsper6000C)をご成約いただき、世界最大のプロスパーユーザーが日本から誕生したほか、サーマルイメージング技術の発表21周年、CTPの累計販売実績2万1000台達成、さらには、Flexcel NXデジタルフレキソシステム販売実績500台達成といった記念セレモニーも実施した。drupaで発表した数々の新製品も、今年後半ぐらいから日本市場に投入できる見込みである。
 一方、昨年の当社における最大のトピックスは、やはり2015年に発売した完全無処理サーマルCTPプレート「Kodak Sonora XJ」の急伸である。年初から、Sonora XJの拡販に注力していく考えを表明し、「5倍成長」という目標を思い切って公言。結果、顧客数ベースでほぼその目標値を達成できた。
 Sonora XJのユーザー数が増加する中、昨年後半のひとつの傾向として、多くの版を必要とするユーザーでの採用が増えてきたことが挙げられる。ある顧客では月産1万平米を越える使用量も出てきた。これは本格的な生産工程においてプロセスフリープレートが使えるようになった証拠である。
 Sonora XJ好調の要因は、端的に言うと、現像有りプレートと同様の使用感で刷れるという点。現像機が不用なことによって、人、スペース、エネルギー(電気)、ケミカルがいらない。これは「究極の自動化」である。しかも「従来よりも刷り上がりがきれいだ」というフィードバックもいただいている。
 もうひとつの大きな要因は、高いUV適性にある。我々は、世界に比べて省電力UV印刷で先行する日本市場において必須であると考え、発売を遅らせてまでそのUV適性を高めた。
 現在、省電力UV印刷機でのSonora XJの使用比率は、従来品の無処理版であるサーマルダイレクトからの切り替えユーザーを除外した昨年からの新規ユーザーを対象にすると約3割だ。市場の省電力UV印刷機がおよそ1割程度であることを考えると、Sonora XJがUV市場に浸透していると言えるのではないだろうか。
 さらに作業性という面では昨年、視認性を1.5倍に高めた新バージョンをリリース。これまで検版における視認性の面で躊躇されていたユーザーの要求を満たし、これが大きな追い風となっている。
 また、オフ輪での採用も増えている。当社でも実績を積み重ねながらかなりの耐刷力を確認。オフ輪における「刷り出しの早さ」は損紙の削減につながる大きなメリットが享受できる。

「UV適性」技術は世界標準へ

 Sonora XJの国産化の体制づくりはほぼ完了しつつあり、今年からは「Made in Japan」のSonora XJを群馬工場から供給できる。
 国産化のメリットは、やはり「日本製」という安心感だ。実際、コダックのプレート製造工場は世界に4ヵ所あるが、ベンチマークの結果、品質、効率ともに群馬工場がトップである。
 さらに、開発面でも有利になる。日本に中核となる研究開発者がいるため、日本のユーザーの声を素早く製品に反映できる。外資系メーカーでは製販一体のサポートは難しいところがあるが、我々はその環境が日本企業と何ら変わらない。昨年、視認性を高めた新バージョンを発表したが、こういう製品力強化は今後も柔軟に行っていく。drupa2016では、ワールドワイド製品として「Sonora UV」が発表された。これには先行したSonora XJの技術が盛り込まれており、その「UV適性」の技術は世界標準として輸出されていくことになる。その面でも継続的な開発に自信を持っている。

「プリント4.0」実現のために

 drupa2016では「プリント4.0」というメガトレンドが打ち出されたが、実際のところ、まだまだかなり距離があるというのが私の正直な感想である。
 例えばCTPでは、印刷のプロセスにおいて、これが止まってしまうと大変なことになる。ならば、この業界でこのCTPをオンラインで常時モニターしているか?となると、100%ではない。例えば、飛行機のエンジンは常時モニターされており、故障する前に対処できる仕組みが働いている。
 当社のCTPの場合、その仕組みをご採用いただいているのは5〜6割程度。将来のCTPのあるべき姿としては、周辺機器とリンクした上で、機械自身が判断して自己修復するといったものになるだろう。それを考えるとまだまだ道のりは遠い。
 「IoT」や「AI」へのニーズは、全世界・全産業で共通認識として存在する。しかし、これらは「日本発」ではないため、日本産業全体が疑心暗鬼の状況にある。チャンスであるにも関わらず、イニシアティブを取れていないことから進んでいない。
 これらが生活に溶け込んできた場合、あらゆるものが変化する。よく「脳の外部化」と言われているが、これは人間の脳は実際に様々な物に入ってしまっていて、人間が必ずしもすべてを判断する必要がなくなるという世界を意味する。そうなると産業や生活が一変する。そんな流れの中で、印刷業界はこれらにどう関わっていくかを考えておく必要があるだろう。
 私はIT、あるいはヘルスケア業界に身を置いてきた人間だが、そこから見ると、印刷業界の最大の課題は「人件費」である。生産設備(機械)そのものは自動化が進み、生産性が向上しているものの、様々なプロセスの間に多くの人手が介在する業界だということ。
 さらに、私が以前日本法人のCOOもつとめたSAP社のように、ERP(Enterprise Resource Planning)でビジネスプロセスを提供するような業界の目から見ると、スタンダードに当てはまりにくい業界がある。日本の場合、銀行や病院、建設、そして印刷もそれに当てはまる。商品が多岐にわたることと同時に、そういうビジネスプロセスを体質的に受け入れない業界とも言える。「プリント4.0」の実現には、印刷業界がその価値を理解し、認め、投資していく必要がある。

ブランドイメージ再構築へ

 イーストマン・コダック社が米国連邦破産法第11章、いわゆる「チャプター11」に基づき事業再建手続の申し立てを行ったのは2012年。そこからの事業再建の過程でBtoCからBtoBビジネス100%の企業体への転身を図り、ニューヨーク証券取引所に再上場してからは3年近くになる。
 そして昨年後半あたりから、およそ130年間、コンシューマビジネスで培ってきたコダックのブランドイメージをもっと活用していこうという方向性が出てきている。例えば、ブランドライセンスビジネスとして、カメラ機能に特化したスマートフォンをヨーロッパ市場で発売するなど、コンシューマビジネスも見直していく方向性にある。
 それにともない企業ロゴを変更した。コンシューマビジネスで使っていた以前のロゴをベースにデザインされたもので、全世界、全製品的に適応される。コダックブランドの象徴的な資産として今後活用していくことになる。
 一方、昨年から東京・大阪・福岡などの主要拠点において営業人員の強化を図っており、お客様への手厚いサポートを図っていくことによりさらに顧客満足度を高めていきたいと考えている。その成果が今年から出るのを期待したい。

Kodak-2017-newlogo.jpg

幅広いポートフォリオで

 私は2017年の目標として、「Sonora XJ200%、倍増」を掲げ、一気に拡販を狙う。そのためにも今年は内覧会やセミナーなどのイベントを全国各地で開催し、目標達成に向けた施策を講じていきたい。
 今年後半にはdrupa2016発表製品である自動化の進んだCTPを市場投入する予定である。あと、「Prinergyワークフロー8」の進化を体感いただける機会も積極的に設けていきたい。
 一方、Prosper事業も昨年は多くの引き合いをいただき、好調に推移した。トッパン・フォームズ様に納入した5台目のProsperpプレスも順調に立ち上がり、生産機としてフル稼働している。
 さらに、drupa2016でも非常にフォーカスされたパッケージ分野も重要であると位置付けている。多くのメーカーがパッケージ分野へのソリューションを表明する中、当社も注力している分野である。昨年もFLEXCEL NXを中心に機器・消耗品販売ともに目標を上回る実績を達成できたので、今年に繋げていきたい。
 また、コダックジャパンで日本独自のビジネスとして展開している「ビッグデータ」をはじめとしたコンテンツソリューションもさらに強化していく。
 2017年は、新しいブランディングのもと、コダックの存在を改めて認知してもらう活動に注力し、「コダックブランド復活の年」にしたい。

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