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デコラティブシステム、アフターコロナに「Nyala4」で反転攻勢へ

2023年11月25日

「流れを変える印刷機」として期待、2.5次元の印刷で新市場へ進出


 屋外広告の屋外用印刷業界での揺るぎない歴史に「印刷機が流れを変える」という説があるという。3Mジャパン特約店で車両ラッピング、内外装サインなどを主事業とするデコラティブシステム(株)大阪本社(大阪府吹田市)の杉森健一取締役CEOは、「例えば約30年前に発表された3Mジャパンのスコッチプリントは、日本だけでなく世界中の電車・車両のラッピングに変革を与えた」と説明する。同社はコロナ禍で12年右肩上がりであった業績が15%ダウン。アフターコロナに対応するために新市場に進出し、流れを変えたいという思いがあった。そんな中、事業再構築補助金を活用するという方針を鶴見芳令会長が打ち出した。そして同社の期待を一身に受け、今年5月に導入したのがswissQprintのUVインクジェットフラットベッドプリンタ「Nyala4」である。


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出力機初心者でも簡単操作を実現する「Nyala4」


 同社は創業44年の企業で、屋外広告業を主体に、車のフィルムマーキングや内外装・サインなどを手掛ける。2022年の売上高は24億円。従業員数150名、大阪・東京の二拠点で事業展開している。

 提案から製作・工事までの一貫したサービスと全国施工対応を強みとしており、杉森取締役CEOは、「それを極めるため、会社で『結束』という共通言語を作った」と話す。特にデザイン力・製作生産能力・工事力を高めながらセクション間の連携・結束を強めることに注力しており、工事スタッフは給与を含めた勤怠管理とライフワークバランスを考えた体制を構築しており、この取り組みにより、さらなる人員増を目指している。

 さらに、SDGsにも意識して取り組んでおり、フィルムの端材を活用して万華鏡を作成するワークショップの開催や、幼稚園に配布しているフィルムの端材は動物の形に切り取って画用紙に貼るなどして園児からも喜ばれているという。

 そんな同社は2019年に業績はピークとなり、東京オリンピックを見据えて人員を増加。設備投資し、東京にも生産工場を竣工したが、その矢先にコロナ禍が蔓延。さらに、屋外広告やフィルム業は現在、従来型の仕事の流れでは顧客の多様なニーズを満たすのにも限界がきている。そのような中、「顧客の期待を超える印刷物を製作したい」という思いのもと、大型プリンター9台に加えて、初のフラットベッドプリンターとして戦列に加えたのが、swissQprintのUVインクジェットプリンタ「Nyala4」であった。


高画質と生産性、国内では数少ない導入という差別化戦略で選択


 「Nyala4」は、最大出力範囲3.2×2.0m、最高解像度1,350dpi、最高速度206平米、インクは9色の搭載が可能な次世代型プリンター。従来の印刷機と比較し、高い表現力により提案型の仕事作りをサポートすることが可能になる。

 新市場進出のための戦略機として同機を選択したポイントとして、執行役員の井澤真也西日本営業本部本部長は「UVプリンタの中でも高画質を謳っていてスピードも早い。さらに、国内では導入企業もまだ少ないということで差別化につながると考えた。また、ボード系(板物)に展開していくきっかけとして、メディアにダイレクト出力できるフラットベッドプリンタを見渡したとき、突出していたのがswissQprintであった」と説明する。

 そして、実際に「Nyala4」を運用する中で感じているポイントとして、製作部の高雄政臣課長補佐は「発色の良さが圧倒的」であることを強調している。「他メーカーのUVプリンタと比較しても色域が広い。UV機はたいてい色が沈むイメージがあるが、オレンジのチャンネルを積んでいるため、色褪せることがない」(高雄氏)。


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大阪本社・ショールームにて杉森取締役CEO


 同社ではCMYKに加えて、ライトシアン・ライトマゼンタ・ホワイト、バーニッシュ・オレンジのチャンネルを搭載しているが、井澤本部長も「オレンジとバーニッシュにより色域と表現の幅が広がるため、提案できる領域も広がっている」と付け加える。同社では現在、アクリルやガラスの透明シートに「Nyala4」で出力し、さらにバーニッシュでの装飾、フィルムに出力してガラスに貼るなどして、ポスター作成から店内吊り下げバナーの作成、ディスプレイの作成やアート作品の複製出力などにも活用しているという。


積層による「2.5次元印刷」は圧倒的な綺麗さと質感を表現


 同社はこれまで、ディスプレイ業界や商業施設、文化施設、美術館などの内装を手掛けてきた。そこではディスプレイ業界の設計士やデザイナーなどが顧客の対象になるが、そこに対して、これまでは国内メーカーの溶剤系プリンタで出力して対応してきたが、それを「Nyala4」で出力するようになり、従来と比べて、圧倒的な綺麗さを実現できるようになったという。

 「何層も重ねる積層印刷を当社では『2.5次元印刷』と呼んでいるのだが、写真だけで見ると分からないが、実際に手にしてもらうと顧客の反応は圧倒的に違ってくる。そこがNyala4の最大の魅力で、顧客はより幅の広い表現が可能になる」(井澤本部長)。そして、これによりディスプレイ業界などの元請けに、より近づいて仕事ができるようになったようだ。井澤本部長は「間違いなく完全に差別化できるイメージができあがっている」と強調する。

 そして、同社は「Nyala4」の導入により、すでに「会社の流れを変える」という目標の方向に向かって進んでいるようで、杉森取締役CEOは「お世話になってきた既存顧客に新商材を提案しながら、一緒に課題解決に向けて進んでいきたい。また、Nyala4の導入は、社員に提案型の仕事を行うための意識改革にもつながっている」と話す。

 さらに、製作部の高雄氏は、インキの着弾精度の良さや耐擦過性に優れていること、インクが破れないこと、「知れば知るほど良いところが出てくる」(高雄氏)と長所を話し出すと枚挙に暇がない様子だ。

 また、井澤本部長は「思いをカタチにし、表現できるのがswissQprintのプリンタである」と評価しており、「このため顧客からのウケも良く、今後も色彩、厚盛り、バーニッシュなどをポイントに提案の幅を広げていきたい」と話す。

 さらに、swissQprintがこのたび特許を取得した「ワンタッチバキューム」の利便性についても高く評価している。「マスクをしなくてもメディアがずれることもないし、バキュームの音も静かなため、隔離しなくても他の設備と同じ場所に設置できる」(高雄氏)。また、Nyala4はプリンタの見た目のデザインが格好良いところも、気に入っているようだ。


手厚いサポートで、出力機初心者でも簡単に操作ができるように


 これまで、国内外の様々な製品を使用してきた同社。国内メーカーと比べて、外資系メーカーはアフターが"淡白"というイメージを持っていたという。そんな中、swissQprintの導入後の懇切丁寧なレクチャー、また、アフターサポートの充実には正直驚いているという。
 「質問したことだけ教えてくれるというのではなく、こちらが完全に理解できるまで、何日も付きっきりになって教えてくれた」(井澤本部長)

 そしてこれにより、これまでは手作業の現場が中心で、出力機の操作は初めてという製作部の手島英樹課長代理も「Nyala4」を容易に操作できるようになったという。手島氏は「モニターの画面により、どの画像をどこまで出力しているかの進行状況をパーセンテージで確認できるのは便利だと感じている。また、出力前に間違っていないかどうか、確認のアナウンスがあがってくるので、そこで再度チェックすることで、出力ミスを防ぐことができる」と実際に操作した感想を話している。

 そして、同社では現在様々な出力サンプルを作成しているようだが、杉森取締役CEOは「サンプルについても内容の質が良いため、大きな展開の相談が多い。これまではできなかったことが実現できるため、有名メーカーからサンプルを作って欲しいと相談がきたり、また、決定度も高い」と営業面にも大きな効果をもたらしているようだ。

 井澤本部長は「顧客からの反応にしても、Nyala4は、従来のUVプリンタのように『少し違うな』とか『何か物足りない』といったことがない」としており、当初の"顧客の期待を超える印刷物を製作する"という目的はすでに達成しているようだ。杉森取締役CEOは「屋外広告はこれまで、遠目で見てよければ良いという認識だったが、Nyala4により、間近で見ても綺麗な印刷物の製作が可能になり、その流れを変えることができるようになった」と、新たな領域への展開に期待する。

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出力サンプルを囲んで大阪本社のスタッフ


世の中のボード系印刷の精度を改革。新たな機会創造へ


 同社は今後の方針として、既存顧客に対して社用車・展示会・内外装リニューアル・サインなどの他、Nyala4の活用により顧客の課題を解決できる幅を広げ、新しい機会創造に努め、新市場進出を目指す。

 杉森取締役CEOは「社員の意識の自然改革、顧客接点の質と量を大きく向上させ、顧客と一緒に新商品を開発していきたい」としており、既存設備と技術に「Nyala4」を融合させ、今後も顧客の期待を超える印刷物の製作を実現していく。コロナ禍での落ち込みを回復すべく、「Nyala4」で反転攻勢をかけ、新たな流れを作っていきたい考えだ。11月8日に開催したNyala4のオンライン見学会も好評だったようで、今後の取り組みに注目が集まりそうだ。

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