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印刷通販ベストプリント、デザインプラットフォーム制作ツール「Canva」と提携

2021年9月25日

スムーズにデザイン〜印刷 - 幅広くデザイン制作の機会を提供


 デザインの専門知識がなくても、簡単にWeb上でデザインを作成できるシドニー発のデザイン制作ツール「Canva(キャンバ)」。世界190ヵ国/5,000万人のユーザーが利用しており、昨今は在宅勤務の拡大を追い風に日本でもユーザーが急増している。印刷通販「ベストプリント」は9月27日、Canvaとの提携によるデザインエディター機能を追加した。Canvaの特長であるスキルレスな操作性と豊富なテンプレートにより、ユーザーは誰でも簡単に理想のデザイン制作が可能になった。コモディティ化により差別化が難しくなってきた印刷通販業界において、デザイン制作の機会を広く一般にも提供する新機能として話題となりそうだ。

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シームレスに印刷発注までを行える

日本向けに豊富なテンプレートを用意


 「Canva」は、2017年5月に日本語対応版をリリース。日本語対応のテンプレートは2万7,913点(2021年8月24日現在)あり、このうち2万7,777点は無料で使用できる。また現在、Canvaの日本人のデザインチームには10名以上が在籍しており、日本人デザイナーによる日本のためのテンプレートは3,285点。このうち3,248点は無料で利用できるなど、そのほとんどは無料利用が可能で、サービス精神旺盛なデザイン制作プラットフォームだ。どうしても有料のテンプレートが欲しいという場合も、有料プランにする必要はなく、単品購入が可能である。

 テンプレートには、名刺やチラシ、ポスターなどの商業印刷向けをはじめ、ロゴやプレゼンテーション資料作成用のテンプレート、Zoomの背景画像なども用意している。Canvaジャパンカントリーマネージャーの植山周志氏は「日本には魅力的なユーザーが多くいるため、Canvaの経営陣も日本市場には随分前から興味を持っていたようだ。今後も日本語フォントや日本のためのテンプレート拡充を続け、より日本向けに使いやすいデザインプラットフォーム制作ツールにしていきたい」と話す。現在、年末に向けて年賀状など日本に特化したテンプレートの準備を進めているようだ。

 このように、Canvaが日本市場に注力する理由について、Canva Japan PR Managerの恵古涼夏氏は、「Canvaの日本のユーザー数は昨年から倍近く増以上に成長しており、その背景には日本市場を重視する本国の姿勢がある。現在、Canvaでは非英語圏を成長させることを戦略に組み込んでおり、その中で利用者数と売上のどちらに関しても、伸びしろと可能性が大きいと考えている。日本にとくに注力している」と説明している。


誰でも簡単にデザイン制作が可能に


 印刷通販「ベストプリント」では、データ入稿をいかにスムーズにするかを課題の1つとしていた。ベストプリントではこれまでも、デザイン制作サポートのサービスは行っていたが、ベストプリントを運営する(株)五色の日本事業責任者である南條颯氏は、「ベストプリントでも、『Illustratorでがんばって作ってみたけど、思うようなものができなかった』というユーザーも少なくない。デザイン制作サポートでは、何回もユーザーとやり取りをする必要があるため、手間や時間もかかる。その問題をいかにして解決するかを模索していた」と語る。

 そのような中、この問題を解決できるデザイン制作ツールとして南條氏が注目したのが、世界中でユーザーを増やして注目を集めている「Canva」だ。個人的に使用した経験もあり、その使いやすさは実感していたため、「Canvaの機能をデザインエディターとしてベストプリントに載せれば、デザイン制作が得意でないユーザーもサポートなしでデザインを制作し、完全データでの入稿が可能になるのではないかと感じた」(南條氏)という。


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直感的な操作で編集が可能

 一方、Canvaにとっても、印刷通販「ベストプリント」との提携はお互い利用するユーザー層が異なるため、「日本市場においてCanvaのユーザー層を広げていく上でも、大歓迎の提案であった」(植山氏)ようである。

 印刷通販「ベストプリント」にCanvaの機能を最適化させて搭載したデザインエディター機能は、特別な追加料金なしで利用可能。ユーザーは「Canva」を介さずにデザイン制作を行い、そのままシームレスに印刷発注までを行える。システムとして連携しているため、データ入稿/データチェックなどの工程も省略され、データの不備による進行停止などの心配も無く、ユーザーは注文さえすれば、あとは信頼のベストプリントの製造工場で印刷され、納品までを安心して待つだけとなる。

 「Canvaの豊富なテンプレートを使用すれば、画像やテキストを差し替えるだけでプロ顔負けのデザインを誰でも簡単に作成できる。もちろん、テンプレートを使用せずに、ゼロから制作する場合でもスキルレスで制作が可能。専門スキルがなくてもデザインが制作できるCanvaにより、日本の人たちが活躍し、輝いていけることに貢献していきたい」(植山氏)


クリエイターの仕事効率化にも貢献


 「Canva」はクラウド型プラットフォームであるため、2つ以上の異なるデバイスを使用し、リアルタイムで編集作業を行うことが可能。このため、共同制作者やクライアントと共有しながらデザインを制作することができ、コミュニケーションの負担を軽減することができる。

 さらに、IllustratorやPhotoshopなどのソフトと異なる点は、デザイン制作スキルを持たないクライアントでも操作が可能であるため、修正箇所などがある場合、クライアント自身で訂正もできるということだ。

 「これにより、これまで細かい修正などにとられていた時間を削減でき、デザイナーは本来のクリエイティブな仕事に集中できるようになり、結果として仕事の効率化につながる。コミュニケーションの負担が軽減されるため、クライアントも遠慮せずに理想に近いデザインをリクエストしやすくなる」(恵古氏)

 今のところ、印刷会社がDTP用途として公式に「Canva」を使用している事例は確認できないようだが、クライアントでも容易に操作できる「Canva」を上手に活用すれば、デザインの内容次第では、校正も容易に行えるツールとして、Illustretorなどと同じようにDTPソフトとして使用することもできそうだ。

 南條氏は、「シームレスでスムーズな印刷物制作を実現できるため、今後は『Canva』のデザインエディター機能を介した注文を増やしていけるように周知に努めていきたい」と話す。そして印刷通販「ベストプリント」では、価格や商材などで差別化が難しくなる中、今後も他社の様々な機能やツールを乗せていく戦略で競争力を強化していく考えだ。今後の展開にも注目したい。

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