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ショールームを訪ねて|富士ゼロックス、顧客とともに変革に挑戦する「Future Edge」

2020年1月1日

印刷の未来を具現化 〜 最新設備で新ビジネスの検証が可能


 富士ゼロックス(株)(本社/東京都港区、玉井光一社長)が2018年5月、神奈川県海老名市の同社・海老名事業所内に開設した「Future Edge(フューチャー・エッジ)」は、グラフィックコミュニケーションの変革に顧客とともに取り組むオープンイノベーション拠点だ。印刷業務における生産性向上や働き方改革の実証にも取り組み、国内外の同社拠点と連携するハブ&スポーク体制のハブとして、グローバルな視点でグラフィックコミュニケーションビジネスの未来を切り拓く最前線の拠点を目指している。

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Future Edge



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左から新甫氏、磨田氏、高瀬氏、髙橋氏



従来型ショウルームとは異なる開設コンセプト

 印刷コミュニケーションビジネスは、時代とともに変化している。その変化は制作部門だけでなく、上流のコンテンツにおいてもプロフェッショナルが扱うもの以外にSNSなど、個人が取り扱うコンテンツまでもが現在の印刷ビジネスの対象となっている。その激変する市場環境において、印刷ビジネスの付加価値をさらに高めていくには、生産のSmart化(印刷生産プロセスの見える化や自動化・統合化)だけでなく、Diversityへの対応(多様性に富んだ人々や社会に適応した、コンテンツの生成および活用する場へのデリバリー)と、IoT化社会においてより一層重要となる情報セキュリティへの担保が必須となる。
 同社は、そうした上流工程のコンテンツ生成から生産工程を経て下流工程のデリバリーに至るまでが一気通貫で繋がった印刷バリューチェーンを「Smileカーブ」と呼ぶ弧で描く。この「Smileカーブ」の上でより高く、そして多くの付加価値を生み出す新たなビジネスモデルの構築と検証をグローバルレベルで推進し、変革を起こしていくことが「Future Edge」開設のコンセプトだ。
 「Future Edge」は、「Smile Garden」(多様性に富んだ人びとがともに暮らすコミュニティにおいて、より豊かな社会を実現するコミュニケーションのあり方を考え、新しい気付きを得る場)、「Smart Factory」(印刷業務の上流から下流までをIoTの観点から1つの集合と捉え、全体の見える化やシステム連携など、最新デジタル技術を活用した最先端の生産工場のあり方を体験する場)、「Verification Area」(お客様とともに検証を行うエリア)、「Re-Creation Space」(お客様がワーキングや検証を行う合間にリラックスできるリクリエーションスペース)で構成されている。
 1階の「Smart Factory」エリアでは、同社製プロダクションプリンターや印刷関連ソフトウェア、さらにはパートナー企業の多彩な後加工システムが設置されている。様々な機器が展示されている様子は、一見「ショウルーム」を思わせるが、同社・グラフィックコミュニケーションサービス事業本部 Future Edge マネジャーの高瀬恵子氏は「このFuture Edgeは、単に製品をご覧いただくショウルームではなく、体感・体験・実証までを提供する施設となっている。それは、当社がここを新しい価値を創出するために、お客様とともに変革を起こす場として位置付けているからだ」と、同施設が果たす役割について説明する。

「見学」から「活用」する施設へ

 開設から約1年半が経過し、これまで社内外を合わせて約5,000人が来所し、その半数にあたる2,500人超がユーザーだ。開設当初は、Future Edgeをより多くの方に認知してもらうため、団体で来所するユーザー向けに見学会のようなイベントも積極的に実施してきた。
 同社・グラフィックコミュニケーションサービス事業本部 Future Edgeの磨田侑奈氏は、「来所頂いたお客様から寄せられる実際の声を聞きながら、Future Edgeの方向性を絶えず微調整するなど、利便性の向上に取り組んでいる」と、開設から1年半が経過した同施設の運営方針について説明する。
 その取り組みは社内外に浸透し、2度目、3度目とリピートする来所者の目的は、施設見学ではなく技術検証やワークショップなど、実際のビジネスを見据えた利用がほとんどだという。

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様々なワークショップを行えるフロアも完備



 同社・グラフィックコミュニケーションサービス事業本部 Future Edge センター長の新甫雄二郎氏は「Future Edgeの挑戦は、お客様との対話の中から課題の本質へと深堀していくこと。そのためにワークショップでお客様が求めていることや抱えている課題を共有し、解決策を検討していく。そして解決策がまとまれば、実機でテスト検証を行っていく」と、同施設の活用フローを説明する。

大型設備を使用して様々な技術検証が可能

 また、広大な敷地面積を有する海老名事業所という立地条件を活かし、都心部の施設では設置できないような大型設備を使用した検証が行えることも同施設の大きな特徴となっている。
 現在、「Smart Factory」エリアには、同社製の高速ロール紙カラーインクジェットプリンター「11000 Inkjet Press」にフンケラー社とホリゾン社の後加工機器をインラインで接続した印刷・製本生産ラインが設置されており、実機を通じてスマートファクトリーの体験・検証ができる環境を整備している。さらに設置されているプリンターや後加工機は、同社の工程管理システム「Production Cockpit」につながっており、リアルタイムで各設備の稼働状況を確認することができる。

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高速フルカラーインクジェットプリンター「11000 Inkjet Press」



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11000 Inkjet Pressと後加工機をインライン接続



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Production Cockpitで設置設備の稼働状況を可視化



 同社・グラフィックコミュニケーションサービス事業本部 Future Edge マネジャーの高橋昌史氏は「高速ロール紙インクジェットプリンターにインラインで後加工システムを接続した生産ラインを使用したテスト検証が行える場所は、国内では数えるほどだと認識している。そのため、お客様だけでなく、パートナー企業である後加工機メーカーとも、様々な技術検証を行っている」と、同施設の設備面における優位性を強調するとともに、パートナー企業との共同検証では新たな技術開発につながった実績があることを明らかにした。
 つまり、顧客だけでなく、パートナー企業への検証の場の提供もこのFuture Edgeの機能の1つであり、その技術開発は印刷産業に新たな価値をもたらすものとなっていく。

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自動化生産ラインを構築



技術開発拠点で顧客とともに新たな変革を起こす

 従来型の明るく、スタイリッシュな空間に最新設備を設置したショウルームでは、機械やデモンストレーションなど、見せ方すべてが「綺麗」でなければならない。しかし、新甫氏は「それはあくまでも『出力確認』でしかない。Future Edgeでは、実業務を想定した検証や、新たなビジネスの創出に向けた実機によるテストなどを行うことを目的としている」と、その活用目的が従来型の「見せるショウルーム」とはまったく異なることを指摘する。
 実際に顧客から「この紙を使用して印刷したい」「この加工をクライアントに提案したい」といった要望を受け、同施設で頻繁にテスト検証が行われている。新しいことに挑戦するため、当然、稼働中にトラブルが発生することもある。しかし、そのトラブルは、課題検証の材料となり、次へのステップに向けて活用されていく。さらに同社の技術開発拠点である海老名事業所内にあることで、営業やシステムエンジニアだけでなく、開発や生産の担当者も直接、顧客と課題を共有し、議論することができる。新たなビジネスモデルの創出に向け、より迅速な対応が可能となっている。この点も一般的なショウルームにはない、同施設の大きな特徴の1つだ。
 「上流から下流まで、すべての生産工程を体感・体現・実証できることがFuture Edgeの強みである。今後もお客様、そしてパートナー企業と連携・協力し、新たな開発に挑戦していきたい」(高瀬氏)
 現在、多くの印刷会社では、従業員不足という問題を抱えている。さらに「働き方改革」の実施により、労働時間も制限されてしまう。この問題を解決する手段こそ自動化なのだが、自動化を構築するためには、投資コストや様々な設備を配置できるスペースなども必要となる。
 また、場合によっては人的な作業の方が生産効率が上がるといったこともある。この人件費と設備投資の分岐点を検証していくことも同社の使命であると考えており、今後もFuture Edgeを通じて、個々の顧客にとって最適な自動化の検証・提案を行っていく方針だ。

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