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ナビタスグループ、オンリーワンの加飾技術で世界へ〜4月からホールディングス化

2019年4月15日

バックオフィスとして全社を支援 〜 ナビタス 辻谷潤一社長に聞く

 特殊印刷機の総合メーカーとしてグローバル展開するナビタス(株)(本社/大阪府堺市堺区、辻谷潤一社長)は、4月1日付で同社を持株会社とするグループ会社のホールディングス(HD)化を実施した。同社のHD化はグループ会社を管理・運営することを目的としたものではなく、子会社に権限と責任を委譲することでリスクとリターンを明確にし、各社の独立独歩による経営ながらも同じベクトルを向いた方針によるシナジー効果により、海外メーカーとの競争に勝ち残っていくことを目的としたものだ。ナビタスはあくまでもバックオフィスとして、グループ会社を支援していく。そこで今回、ホールディングス化の狙いや今後の事業戦略などについてナビタス・辻谷社長にお話を伺った。

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辻谷 社長


子会社に権限と責任を委譲〜子会社は独立独歩で経営

 一般的なHD化は、持株会社が上で、その下に子会社があり、子会社を管理・運営するというものが多いが、ナビタスグループのホールディングス化はその逆で、子会社に権限と責任を委譲して自由に独立独歩で経営してもらい、それを支援する立場として持株会社のナビタスがある。

 ナビタスは、あくまでもバックオフィスとして、資金面だけでなく経理面、購買関係ほか、グループ各社が苦手なところを支援していく。グループ会社にはナビタスマシナリー、ナビタスニイズ、ナビタスビジョン、ナビタス蘇州、ナビタスベトナム、ナビタスタイランド、タクトピクセルがある。

 持株会社であるナビタスの内部には、CSC本部(カスタマーサポートセンター)、研究開発室、管理本部がある。CSC本部では、海外企業も含めて、グループ会社が販売した製品のユーザーサポートを行っていく。

 研究開発室では、「加飾技術」という観点からグループ全社にまたがる研究開発を行っていく。各社は独立して経営していくが、目標は同じベクトルを向いているため、シナジー効果が出るものと考えている。

 そのような中、当社では加飾技術にも画像検査装置(以下「検査装置」)が必要という見方をしており、様々なシーンで活用できる検査装置をラインアップしている。ナビタスビジョンは検査装置を開発する会社であるが、加飾をしても品質が悪ければお客様に満足していただくことはできないわけで、品質を保つには検査装置がどうしても必要になる。検査装置はさらに力を入れていきたい事業と位置付けている。

 また、管理本部ではグループ全社にまたがる業務支援を行っていく。グループ各社が事業に集中できる仕組みを創りながら、グループ全体の事業最適化、戦略的意思決定とその迅速化、人材の育成、経営幹部候補の養成と経営委任、事業ドメインと事業責任の明確化、間接部門のコスト削減などにより各社を支援していくわけだ。

 日本企業がどんどん海外に負けていく原因のひとつに、会社が大きくなればなるほど社長や経営幹部と現場との間に様々なズレが生じることがあると考えている。このズレをなくすのも今回のHD化の目的であり、ナビタス自体も「小さな持株会社」を目指していく。将来的にはCSC本部なども子会社化する可能性もある。

 なお、タクトピクセルは昨年に設立したばかりのAIの会社であるが、グループ各社で使うことができるシナジー効果のある製品開発とともに、ナビタスの市場にとらわれず、世界市場を視野にした、世界に勝てるAI技術の開発に期待している。

オンリーワン、ファーストワン、ナンバーワンで顧客満足度100%へ

 「オンリーワン加飾技術で世界の製品に彩を与え、生活に豊かさと幸福をもたらす」。これは、4月1日にナビタスグループの新しいミッションとして発表したものだ。

 当社は「ワン」という言葉にこだわりを持っている。他社にはない「オンリーワン」の強みを持つ、特定の業界であっても「ナンバーワン」を目指す、そしてどこよりもスピーディーに「ファーストワン」で行動することである。

 当社が上場した1989年はパッド印刷やホットスタンプはオンリーワン技術であったが、その後、中国製の製品がどんどん出てきて、現在はオンリーワン技術ではなくなっている。そこでもう一度、オンリーワンの製品を作り直していくことを考えている。

 いつも社内で話していることは、バッターボックスに立ったら必ず振って打ってこい、もし打てなくても、空振り三振はOKだが見逃し三振はだめ。また、可能なら一番バッターを選べということだ。そして、特殊印刷、検査装置、特殊フィルムといった特定分野でいいのでNO1を目指していきたい。

 また、新ビジョンとして、「世界NO1のトータル加飾システムを開発し、ものづくり現場の顧客満足度100%を目指す」ことを掲げるとともに、「情熱・信念・謙虚、人を大切にしてビジネスを創る」ことを行動指針にした。

 情熱と信念を持って行動すれば目標は必ず達成できると信じている。また、どのようなお客様に対しても謙虚な姿勢で臨めば、必ずお客様の信頼が得られるはずである。情熱と信念を持ち、謙虚になる。幸福をもたらすべく人を大切にし、その上でビジネスを創る。すなわち、家族、自分、社員、仲間が幸福になれば良い製品を創ることができ、よい製品を提供できればお客様が幸福になる。そうすれば会社にも福がもたらされる。このようなベースでモノづくりを行っていくのがナビタスの原点である。

5月17日に品川で「ナビタスビジョンフェア2019」開催

 検査装置メーカーのナビタスビジョンは5月17日、東京の品川インターシティ(ホール棟)において「ナビタスビジョンフェア2019」を開催する。

 今回は前回の「ナビタスグループフェア2018」とは異なり、ナビタスビジョンの検査装置だけを切り口にしたセミナーになる。また、前回はラベル・シールのユーザーによる講演が中心だったが、今回はビジネスフォームやボトル、パッケージ関係の企業、プリンターやカメラ、周辺機器,印刷機械や搬送装置メーカーの講演も行われる。午前中は、ナビタスビジョンの画像検査技術部門(ラベル検査、カード・ビジネスフォーム検査、ボトル検査)からの発表が行われる。

 現在、すでに昨年を超える参加予約を頂いているが、さらに多くの方々に参加していただきたい。

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全国から多数が参加したナビタスグループフェア2018


自動化・省力化機械開発に注力〜海外展開はヨーロッパ進出が目標

 今手掛けている新技術としては、自動化・省力化がある。人の採用が困難な時代であるため、人がいなくても生産できる省力化機械や目視検査員をなくすための検査装置の開発を第2の柱と掲げている。従来のホットスタンプやパッド印刷機の今後の大きな成長は期待できないので、その分野で培ってきた特殊印刷の技術を省力化機械や検査装置などに転用し、オンリーワン技術をキープしていきたい。

 また、当社はシール・ラベル業界向けの検査装置ではすでにNO1だと自負しているが、将来的にはこれを他業界や海外にも展開していくことをビジョンにしている。アジアでは、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピンなどのアセアン地域と中国・韓国で100台以上の検査装置の導入実績があるが、今後は検査装置をヨーロッパにも展開していきたいと考えている。そのための取り組みとして、今年9月にベルギーで開催されるラベルエキスポ展示会と来年6月にドイツで開催されるdrupa2020に出展(他メーカーとのコラボレーション)する予定である。

 検査装置はワールドワイドで「マシンビジョン」と呼ばれている。ビジョンというのは夢、目標などの意味もあるので、画像処理、画像検査で夢を実現していきたいという思いを込めて、当社の画像検査装置事業の会社名は「ナビタスビジョン」と名付けている。検査装置についてもオンリーワン技術で世界を目指すナビタスビジョンの取り組みに注目していただきたい。

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