キングプリンティング、校正室にエコリカLEDランプ採用〜Ra99の蛍光灯と遜色ない色校正の環境を維持
2017年3月15日
演色AAA相当/Ra97を実現
大型印刷のキングプリンティング(株)(本社/大阪市西成区、牛島善夫社長)は、本社工場(堺市堺区)の校正室にエコリカの直管形LEDランプを1年前より採用。演色AAA相当/Ra97を実現する同LEDランプにより、従来の蛍光灯と遜色ない色校正の環境を維持しながらも、地球環境保全と電気料金の削減を実現している。創業以来、「色管理」にこだわり続けた同社がRa99の蛍光灯からLEDランプに切り替えた魅力とは何なのか。本社工場の若林新一工場長に聞いた。
同社は、その社名が示すとおり、大判印刷に特化して事業を拡大してきた印刷会社。創業は1917年で、今年で創業100年を迎える。同社の創業者は元々、絵師であったようで、大判の映画館の看板などを手掛けていたようだ。絵師の腕が良く、手書きでは生産が間にあわなくなったことから大判印刷機を自前で制作したのが歴史の始まりとされている。
看板を上手く描けているかどうかが映画の集客にも影響するため、当時から「色」についてはこだわりを持っており、それは今日の同社の社風にも結び付いているようだ。若林工場長は「当社は大判の印刷会社であるため、実寸ではなく、B2に縮小した校正紙で校正している。数値としては同じでも、サイズが違うと目の錯覚を含めて、校正刷りと本刷りのイメージが違うように感じることはめずらしくない。このため、当社では『色』に関しては人間の目による見え方を含め、どこよりもこだわりを持って取り組んでいる」と話す。
同社では、測色機により色を数値管理することはもちろん、「人間の目による見え方」を非常に重要な要素として捉えている。このため、同社の校正室には、長年の現場経験を持つベテラン社員を品質管理者として置いている。
また、「新技術には、積極的にチャレンジしていくという社風がある」(若林工場長)という同社では、カラーマネージメントにもいち早く取り組み、JapanColor認証についても開設初年度に取得している。そして同社は1年前、堺市の本社工場にエコリカの演色AAA相当/Ra97を実現するLEDランプを業界に先駆けて採用。地球環境保全に取り組みながら、電気料金の削減を実現している。
従来のLEDランプとは違う「自然な明かり」に魅力と評価
演色性とは、対象をどれだけ自然に見せるかを評価する基準。もっとも自然な見え方と感じる太陽光の平均演色評価数のRa100に対して、エコリカの直管形LEDランプはJIS規格で定められた演色AAA基準に相当するRa97を実現し、空間をより自然な光で演出する。
とくに、肌色を美しく見せる赤色(R9)と肌色(R15)などの特殊演色評価数がJIS規格の数値をクリアしているため、非常に高い再現性を誇る。さらに、明るさと演色性の両立が難しいと言われている昼白色タイプで充分な明るさの全光束2,100lm、消費電力18Wを実現。このため、印刷物などの色検査をはじめ、美術館や博物館の照明などの用途に最適な光源と言えるだろう。
1年前まで、同社本社工場の校正室に設置されていた蛍光灯は、Ra99を実現する印刷物の色検査などに適した蛍光管であった。若干であってもRa値を下げてまでLEDランプに切り替えた魅力は何だったのか。その第1の理由として若林工場長は、従来の蛍光灯と遜色ない色校正の環境を維持できることを挙げている。
「日本印刷技術協会では、色を判定する基準値としてRa90以上の蛍光管を推奨している。従来のLEDランプでRa90を越える蛍光管はなかったが、アナライザーで分析したところ、数値としてもメーカースペックと相違なく、Raの差分も人間の目には分からない程度であり、遜色なかったため、採用を決めた」(若林工場長)
実際、本社工場には同じ構造の校正室が2部屋あり、そのうち1部屋にLEDランプを設置したため、従来と同じ環境で色校正が行えていることは明らかだという。また蛍光管の本数は、従来の24本から16本に減らしながらも、遜色ない色校正の環境を維持できているようだ。
さらに、明るさだけでなく、エコリカのLEDランプは従来のLEDのような不自然な明るさではないことにも魅力を感じているようで、その点も大きく評価している。
「新しいショッピングセンターなどではLEDは積極的に採用されているが、LEDは光が直線的であるため、チカチカして人工的、不自然な感じがあった。しかし、エコリカのLEDランプは従来の蛍光灯と同じように、光も自然であり、LEDの不安要素をすべて解決している」(若林工場長)
地球環境の保全や、蛍光管の長寿命化による電気料金の削減など、この1年間でエコリカのLEDを採用するメリットについては十分に実感したという同社。エコリカでは様々な用途に応じたLEDランプをラインアップしているため、将来的には現場や事務所などを含めて、工場全体をLED化する計画だ。
文化財の保護で企業価値向上へ
印刷業界の経営環境が厳しい中、同社では紙媒体以外への印刷にも裾野を広げていくととともに、文化財の保護活動などに取り組み、これによる企業価値の向上で差別化を図っていく。
「京都・奈良の神社や寺などの文化財について、色彩から創建当時のものを蘇らせる修復事業を昨年より開始した。複製したものを展示することにより、本物の文化財をいためることもなく、文化財の保護につながる。これにより企業価値を高めていきたい」(若林工場長)
同社の「色」へのこだわりは、今後は大判印刷以外にも活用されていきそうだ。
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「印刷業界では、Ra99を実現する演色AAAの蛍光管が推奨されている。しかし、AAAの蛍光管は間もなく製造中止になる。そのような中、2,100lmの明るさを保ったままでRa97を実現する当社のLEDランプに注目が集まっている」(エコリカ)