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視点の行方

2016年の書店倒産は25件と急増

印刷ジャーナル 2017年3月15日

 東京商工リサーチによると、全体の企業倒産が沈静化する中、2016年の「書店」(書籍・雑誌小売業)の倒産件数は25件(前年比56.2%増、前年16件)と急増。2年連続で前年を上回った。また、負債も52億9,800万円(同55.4%増、同34億800万円)と前年を上回った。このうち、負債1億円未満が13件(構成比52.0%)と小規模事業者が過半数を占めており、小・零細規模の書店の厳しい実態が浮かび上がっている。

出版取次の業績不振も影響

 中堅の出版取次で約300法人・800店舗の書店と取引していた(株)太洋社(東京都、負債43億7,600万円)が2016年3月15日に破産を申請した。この影響を受けた書店は判明分だけで、連鎖倒産が2件、休廃業が17件(個人企業含む)、閉鎖された店舗は19店舗にのぼった。書店経営がいかに取次会社に依存しているかを顕著に示す倒産となった。
 書籍・雑誌の流通は、主に取次会社がどの書店にどの本をどれくらい「配本」するかを決めているケースが多く、取次会社の破綻は書店の命取りにつながりかねない。
 この他、出版取次の倒産では、2015年6月に栗田出版販売(株)(東京都、負債133億8,200万円)が民事再生法の適用を申請した。書店の倒産は単に書店だけの動きにとどまらず、出版社、出版取次を含めた業界全体の低迷につながっている。

原因別、「販売不振」が4割増

 従業員数別では、5人未満が22件(前年比144.4%増、前年9件)と2.4倍増で、家族経営の小規模業者の倒産が際立っている。
 原因別では、「販売不振」が17件(前年比41.6%増、前年12件)と、前年比4割増で業績不振に陥った書店の多さを映し出した。次いで「他社倒産の余波」が3件、「事業上の失敗」が2件の順。「販売不振」が全体の約7割(構成比68.0%)を占め、小規模業者を中心に業績を伸ばす方策を見つけられないまま、経営に行き詰まるケースが多い。

形態別、事業消滅型の破産が約9割

 形態別では、破産が22件(前年比69.2%増、前年13件)と全体の約9割(構成比88.0%)を占めた。一方、再建型の民事再生法は発生がなく(前年ゼロ)、いったん業績不振に陥った企業の経営立て直しは難しいことを浮き彫りにした。