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視点の行方

紙媒体の人気健在

印刷ジャーナル 2016年1月1日

ビジネスパーソンの紙・デジタル媒体利用に関する意識・実態調査【日本製紙連合会】

書籍・雑誌・漫画は8割今後も「紙で読みたい」
紙媒体の魅力は「さわり心地」

 日本製紙連合会(東京都中央区)は、20代〜50代のビジネスパーソンを対象に、紙媒体及びデジタル媒体の利用に関する意識・実態調査を実施した。
 同調査では、「書籍」「雑誌」「漫画」は約8割もの人が「紙で読みたい」と答えており、一方で「地図」や「簡単なメッセージ」は「デジタル化して使いたい」という人が多いことがわかった。紙媒体の魅力について聞いてみると、「さわり心地」や「目に優しい」、「温かみ」などが上位にあがり、デジタル媒体の魅力については、「持ち運びのしやすさ」や「保存のしやすさ」などが上位になっている。
 また、ビジネスパーソンに2016年のスケジュール管理に使うツールを聞いてみたところ、4割以上もの人が、「手帳」と答えた。世代別で見ると、20代は半数以上が「手帳」を支持している。「手帳」を選ぶ理由は、「慣れ・親しみ」、「書き込みたいから」で、デジタルでスケジュール管理をする人の理由は「アクセスのしやすさ」「修正の容易さ」があがった。

「書籍」はデジタルよりも紙が良いと6割以上が回答

 「デジタルより紙の方がうれしいもの」は何か聞いたところ、「書籍」(60.3%)が最も多く、次に「手紙」(53.7%)、「漫画」(53.3%)という結果になった。とくに「手紙」を見てみると、女性の方が20.7ポイントも男性よりも高くなることがわかった(男性43.3%、女性64.0%)。
 また、この結果を男女別・世代別に見てみると、男性で最も多い回答は全体合計と変わらず「書籍」(55.3%)だったが、次に「漫画」(54.0%)、「雑誌」(46.0%)という結果になった。
 男性1位の「書籍」を世代別に見てみると、「紙の方が良い」と答えている20代男性は63.2%、50代男性が64.9%と多くなっている一方、30代男性は47.4%、40代男性は45.9%となっており、30代男性・40代男性はデジタルで書籍を読むことに抵抗がないことが考えられる。
 また、20代男性は紙で読む「漫画」(68.4%)を多く支持していることがわかった。
 一方女性を見てみると、「書籍」の次に「手紙」(64.0%)があがっており、世代別に見ても全世代で50%を超えていることから、女性はメールやSNSが普及している中でも、手紙の良さを感じていることが考えられる。

今後も「書籍」「雑誌」「漫画」は紙で読みたいと約8割が回答

 次に「今後紙で使いたいもの、デジタル化して使いたいもの」をそれぞれ聞いてみたところ「紙で使いたいもの」は「書籍」(83.3%)が最も多い結果となった。次に「雑誌」(79.0%)、「漫画」(78.7%)となり、紙媒体は未だ根強い人気があることがわかった。
 一方、「デジタル化して使いたいもの」は「地図」(75.3%)が最も多く、次に「簡単なメッセージ」(65.3%)が挙げられた。すぐに手にして使いたいものをデジタル化したいという意向が見られる。

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電子書籍使用経験者は5割強。使用端末は、「電子書籍リーダー」ではなく、「スマートフォン」がトップ

 「電子書籍を使ったことがあるか」を聞いたところ、使用経験者は半数以上の56.3%だった。
 使用経験者のうち、59.8%は「スマートフォン」で閲覧しており、とくに女性は平均より約10ポイント高い69.1%が「スマートフォン」での使用経験ありと応えた。一方で専用端末である「電子書籍リーダー」は最も低く4.1%だった。

電子書籍は持ち運びやすさが魅力と感じているものの、実際の使用場所は「自宅」が最多

 電子書籍を使ったことがある人に「どのようなシチュエーションで電子書籍を使用しているか」と聞いたところ、「自宅」(63.3%)が最も多く、次に挙げられた「外出時・待ち合わせ時」(32.9%)のほぼ2倍となる63.3%となった。
 一方で、「電子書籍の良さ」を聞いてみると、「持ち運びに便利」と答えた人が、2位以下に大きな差をつけて7割以上(76.9%)となり、持ち運びに便利だと思いつつも、実際には自宅で使用していることが多いことがわかった。

紙の魅力は「さわり心地」、紙をデジタル化する魅力は「持ち運びが便利」

 「デジタルにない紙の魅力」を聞くと、「さわり心地」(42.7%)、「目に優しい」(42.3%)、「あたたかみ」(37.7%)が上位3項目として挙げられた。
 男女で比較すると、「書き込んだり、切り貼りができる」で最も差があり、男性が18.7%、女性が39.3%と倍以上の結果となった。手紙や手帳、カレンダーなどに、文字を書くことに魅力を感じている女性が多いことがわかる。
 一方、「紙をデジタル化すること」の魅力を聞いたところ、「持ち運びが便利」(65.0%)、「保存・収納が楽」(54.7%)、に半数以上の回答が集まった。

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書籍や雑誌のデジタル化が約8割は「進む」と思っているが、今後使う頻度が増えると思っている人は約4割

 今後、書籍や雑誌のデジタル化が広く普及していくと思っている人は、77.0%という結果となった一方、電子書籍を使う頻度が「増える」と答えた人は42.7%に留まった。
 使う頻度は「変わらない」と答えた人が53.3%と最も多く、電子書籍の普及が広がると思いつつも、実際に自らが使用するかどうかは別だと考えている人が多い傾向がある。

スケジュール管理は手帳が一番人気。とくに20代は半数以上が手帳を支持という結果に

 「2016年のスケジュール管理をどのように行うか」を聞いたところ、「手帳」が最も多く、43.3%となった。年代別に見ると、「手帳」で管理すると答えた世代の中で、20代が53.1%と最も多く、「スマートフォン」が普及しつつも、スケジュール管理は手帳で、と考えている人が多いようだ。
 また、「手帳」「カレンダー」でスケジュール管理をすると答えた人に、その理由を聞くと「慣れ親しんでいるから」(69.0%)、「書き込みたいから」(55.1%)、「見やすいから」(55.1%)が上位に挙がった。とくに50代は「慣れ親しんでいるから」と答えた人が80%を超え(82.8%)、長らく手帳を使ってスケジュールを管理していることがわかる。また、「書き込みたいから」という、紙でしかできない動作にも魅力を感じている人も多いようだ。
 同様に、「スマートフォン」「タブレット」「パソコン」でスケジュール管理をすると答えた人に、理由を聞くと「どこからでもアクセスできるから」(66.4%)、「修正は簡単だから」(41.6%)、「過去の検索が楽」(32.7%)という順になった。
 手帳を使うと答えた人に、「手帳を選ぶ基準」を聞くと、「サイズ」が76.9%と最も多く、次に「スケジュール欄の形」(53.1%)、「書き込むスペースが多い」(49.2%)となり、実用性を重視している傾向がわかった。
 また、「手帳にスケジュール以外に書くこと」を聞くと、「to doリスト」(40.8%)、「買う予定のもの」(32.3%)があがり、ビジネスの場面・日常生活の場面において手帳を活用していることがわかった。
 その一方、スケジュールのみを書く(「とくに無し」)という答えも23.8%集まり、とくに男性は平均よりも7.8ポイント高い31.6%がスケジュールを書くことのみに使っていることがわかった。また、女性の4人に1人が「欲しいもの」を手帳に記入していることもわかった。