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視点の行方

近畿大学が紙の入試願書廃止を決定

印刷ジャーナル 2013年4月25日

 近畿大学(本部/大阪府東大阪市、塩﨑均学長)は平成26年度入試において紙の願書を廃止し、完全にインターネットによる出願に移行することを決定した。出願の完全ネット化は全国初の試みとなる。
 近畿大学は一昨年度、13万部の願書セットを用意。これを積み上げると東京スカイツリー約3本分の高さに匹敵し、重量にすると約100トンにもなる。これらのうち約3万部は使用されることなく廃棄された。
 名称に「環境」の名を含む4つの学科・専攻があるなど、地球環境保護に教育、研究分野で真剣に取り組んでいる近畿大学としては、紙の出願の件数を減少させるべく、4年前よりインターネットを利用した出願方式を導入。しかしながら、受験生の「出願は紙の願書で」という意識の強さからか、一昨年度までのインターネット出願の利用率はわずか数パーセントだった。
 そこで、昨年度入試より、インターネットを利用して出願した受験生に対して検定料を割引き、受験生の経済的な負担を軽減することで、インターネット出願の利用率を一気に70%まで引き上げることを目標にした「近大エコ出願」を実施。その結果、受験生、高等学校、予備校から多くの共感を得て、ネット出願件数は昨年度の3,767件から8万2,030件まで大幅に増加(21.倍)、ネット出願率は全体で64.4%、後期入試では目標としていた70%となり、ネット出願が十分に浸透してきたと判断した。
 河合塾教育情報部長の近藤治氏も、「近畿大学のように志願者数が多い大学が完全ネット化することは、大学入試に与える影響が大きく、今後全国的にも広がることが予想される。受験生、大学双方にメリットが多い仕組みであり、進路指導の場面でもネット出願を推進し、新しい大学入試の形に対応することが必要だろう」と述べている。
 また、昨年度入試では全学部の志願者数が増加。総志願者数は過去最高の12万6,923人となり、推薦入試を含めた志願者数では全国1位。近畿大学では、「全国一の志願者数を誇る当大学の取り組みが呼び水となり、全国の大学に波及すれば、地球環境保護という点からも多大なる貢献ができると考えている」としている。