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視点の行方

2011年の本社移転企業、過去5年で最多

印刷ジャーナル 2012年4月5日

 東日本大震災から1年が経過した。企業活動にも多大な影響を与えた今回の震災。震災後、リスク分散や電力不足対応などの観点から検討を進め、本社移転を実施した企業も少なくない。
 帝国データバンクはこのほど、自社企画商品「転入転出企業分析」データをもとに、2011年に本社移転が判明した企業<市郡を越えた実質本店の移転(一部移転も含む)、東京特別区含む>を集計。全国及び東北被災3県の状況、業種別、年商規模別に分析を行った。
 これによると、2011年に本社移転が判明した企業は1万621社で、前年比5.8%増。この数値は、2009年の1万534社を上回り、過去5年間で最多となる。
 このうち、東日本から西日本への本社移転判明は111社。東日本大震災による甚大な被害を受けて被災地から移転した企業のほか、震災後の関東圏における電力不足を懸念し、リスク分散の観点から本社機能の一部を移転した企業も散見された。
 岩手、宮城、福島3県の転出超過企業数上位を見ると、福島第一原発のある福島県双葉郡(27社)が最多。次いで宮城県石巻市(14社)が続くなど、太平洋沿岸部の企業が目立っている。
 業種別では、ソフトウェア業(613社)がトップ。警備、人材派遣、コンテンツ事業などを含む「他の事業サービス」(472社、4.44%)が続いた。このほか、「一般貨物自動車運送」(262社、2.47%)、「経営コンサルタント」(248社、2.33%)などが上位に入った。
 上位の業種を見ると、サービス業や建設業を中心に、大規模な工場や施設といった固定設備をそれほど必要としない業種が目立った。
 年商規模別に見ると、「1億円未満」が4,590社(43.2%)でトップ。僅差で続いた「1億円以上10億円未満」(4,429社、41.7%)と合わせ、年商10億円未満の中小企業が9,019社(84.9%)を数え、全体の8割を超えた。
 今回の調査により、毎年1万社前後の企業が本社移転している実態が明らかとなった。あくまで判明ベースの社数であり、実際にはさらに多くの企業が本社移転の動きを活発に行っていると推測される。
 2011年の本社移転は過去5年で最多となったが、帝国データバンクでは、これは震災の直接的な被害の有無にかかわらず、BCP(事業継続計画)の観点から本社機能を他に移す動きが例年以上に高まったためと見ている。