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視点の行方

新潮流「Webフォント」とは?

印刷ジャーナル 2011年12月5日

 Webデザインの世界に関わる人なら誰もが抱えるジレンマ、それはフォントによるクリエイティブ表現の制約だろう。いくらデザインを意識したフォントをHTMLやCSSで指定してWebサイトを制作しても、閲覧する側のローカル端末にそのフォントがインストールされていなければ、そこではただのテキストとなる。そのため、制作者は一般的なフォントを指定しておくのが原則で、それ以外は画像化することでデザインを維持している。当たり前といえば、当たり前の話だが...。
 そこで登場したのがWebフォントだ。これは、Webページの見栄えを記述するCSS(Cascading Style Sheet)のバージョン3.0で新たに導入された仕様で、2008年頃から一部のブラウザの独自機能として、インターネットを利用したフォントの指定と表示が行えるようになった。また、インターネット上での配信に特化させたWOFF(Web Open Font Format)という規格の策定も2009年から進んでいる。同時期に、アメリカではフォント配信サービスも始まり、主要なブラウザが、OpenTypeやTrueTypeなどの既存のフォーマットに加え、WOFFにも対応し、急速に普及が進んでいる。Googleが提供しているオープンソースのWebフォント配信サービス「Google Web Fonts」もそのひとつだ。
 一方、日本国内においても、これら需要の高まりを受け、シーサーの「デコもじ」(2010年)やソフトバンク・テクノロジーの「FONT+」(2011年)といったサービスが開始されているが、いよいよモリサワも2011年度内にクラウドフォントサービス「TypeSquare(仮称)」を開始することを表明。モリサワフォントだけでなく、国内外の様々なフォントメーカーの協力のもとで書体ラインナップを充実させるなど、Webフォント市場の牽引役として期待されている。
 Webフォントは、自由度の高いWebデザインを実現するとともに、文字を画像化することなく表現することができるため、SEO効果はもちろん、自動翻訳や音声ブラウザといった機能との連携も可能になる。何より、印刷物とWebサイトを連携させた多角的な企画を行う場合、それぞれの媒体で同じ書体を使うことで統一感ある表現が可能となるわけだ。印刷会社のビジネス機会を後押しする技術としておさえておく必要があるだろう。

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Googleが提供しているオープンソースのWebフォント配信サービス「Google Web Fonts