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視点の行方

再評価されるデータアウトソーシング

印刷ジャーナル 2011年10月25日

 専門調査会社IDC Japan(株)(竹内正人社長)は、このほどデータセンターアウトソーシング(顧客企業の情報システムのサーバーをデータセンターで監視・運用するサービス)市場の最新予測を発表した。これによると2011年の国内データセンターアウトソーシングは、前年比6.8%増の1兆221億円となり、同市場は遂に1兆円市場になるとIDC社では予測している。
▽前年比成長率12.4%上昇(2012年)
 2011年の国内データセンターアウトソーシング市場における東日本大震災の影響は軽微なものにとどまっており、2010年までの同市場では、リーマンショック以降の景気低迷の影響によって、市場成長率が低下傾向にあった。しかし震災とそれに続いた電力供給不足の経験を踏まえて、多くの企業でITの災害対策強化に対する意識が高まってきているという。
 データセンターアウトソーシングは、ITの災害対策強化の有効な手段として再評価されつつあり、2012年には、国内データセンターアウトソーシング市場の前年比成長率は12.4%に上昇するものと予測されている。
▽災害対策強化で需要拡大
 またクラウドサービスの利用拡大が、国内データセンターアウトソーシング市場の動向に大きな影響を与えることも今回の調査で確認。データセンターアウトソーシングには、サーバー設置場所を貸し出す「コロケーション」と呼ばれるサービスと、データセンター事業者が所有するサーバーを顧客に提供する「ホスティング」と呼ばれるサービスがあり、クラウドサービスは、このうちの「ホスティング」に分類されるサービスに該当する。サービスの導入が容易で、利用コストの安価なクラウドサービスが普及することによってコロケーションからホスティングへスイッチする企業が今後増加するものとIDC社ではみている。
 国内市場では今後、景気回復やインターネット企業(ソーシャルアプリプロバイダーなど)によるホスティング利用の拡大を背景として市場成長率が上昇に転じていく傾向にある。
 「大震災後の災害対策需要やクラウドサービス需要の掘り起こし戦略を策定/実施することが、データセンターアウトソーシング事業者の重要課題であり、そのためには複数拠点のデータセンター間のシステム連携や、パートナー戦略の展開が重要となる」(IDC Japan ITサービス リサーチマネージャー・伊藤未明氏)。