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視点の行方

震災に伴う労働基準法Q&A

印刷ジャーナル 2011年4月25日

 東北地方太平洋沖地震の被災企業においては、事業の継続が困難、または著しく制限される状況にある。また、被災地以外に所在する企業でも、計画停電の影響や原材料の調達等で支障が生じている。
 このため厚生労働省では、賃金や解雇等の労働者の労働条件について使用者が守らなければならない事項を定めた労働基準法の一般的な考え方などについてQ&Aを取りまとめ、ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017f2k.html)に掲載している。
 今回はその中から震災に伴う休業に関する取り扱いについて一部を紹介する。

Q 今回の地震により、事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていないが、取引先や交通網が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不可能となったことにより労働者を休業させる場合、労働基準法第26条に定める「使用者の責に帰すべき事由」による休業に当たるのか。
A 原則として「使用者の責に帰すべき事由」による休業に該当すると考えられる。ただし、休業について、▽その原因が事業の外部より発生した事故であること、▽事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること--の2つの要件を満たす場合には、例外的に「使用者の責に帰すべき事由」による休業には該当しないと考えられる。具体的には、取引先への依存の程度、輸送経路の状況、他の代替手段の可能性、災害発生からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、判断する必要があると考えられる。
Q 今回の地震に伴って計画停電が実施され、停電の時間中を休業とする場合、労働基準法第26条の休業手当を支払う必要はあるのか。
A 今回の地震に伴って、電力会社において実施することとされている地域ごとの計画停電に関しては、事業場に電力が供給されないことを理由として、計画停電の時間帯、すなわち電力が供給されない時間帯を休業とする場合は、原則として、使用者の責に帰すべき事由による休業には該当せず、休業手当を支払わなくても労働基準法違反にならないと考えられる。

 なお厚生労働省では、「労働基準法上の義務については、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案すべきものであるため、具体的な相談は、各都道府県労働局または労働基準監督署に問い合わせてほしい」と呼びかけている。