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視点の行方

学生から見た印刷業界

印刷ジャーナル 2008年3月15日

 卒業シーズンの3月。全国的にサクラの開花を迎える4月からは、印刷業界にも多くの新入社員が夢と期待、そして不安を抱えつつ社会人としての第一歩を踏み出していくことだろう。
 就職先としての「印刷業界」。学生達は、印刷産業に対し、どんなイメージを持っているのか。その実態を把握するため昨年9月、(社)日本印刷産業連合会は、調査機関に委託し「2007印刷業界イメージ調査」を行なっている。調査対象は、就職について情報収集を行なっている18歳~24歳の大学生・専門学校生で、その内訳は男性100名(文系50名/理系50名)、女性100名(同)。今回は、その集計データをもとに、主な項目について抜粋して紹介する。
 調査結果によると、まず「就職先として興味ある業界(第一志望~第三志望)」という設問に対し、「印刷」は24業界中の16番目(8%)と就職先としての評価は、やや薄い感がある。なお印刷業界への関心が高い属性を順に挙げると(1)男性・学生文系(12%)、(2)女性・学生文系(8%)、(3)女性・学生理系(6%)、(4)男性・学生理系(4%)となっている。
 就職をする業界としての「印刷業界」への評価としては、「良い業界だと思う」が32%、「悪い業界だと思う」が25%となっているが、一番多かったのは「どちらとも言えない」の44%で印刷業界がその魅力を伝えるためのPR不足が浮き彫りとなった。また「印刷業」のイメージとしては、「技術力」69%、「重要度」84%と大多数に高く評価されているが、一方では「先進性」28%、「将来性」25%など、その評価者比率が低い結果が出ている。さらに業界イメージ比較における「印刷業界」は、「古くさい」29%、「なじみがある」27%というイメージが3割を占め、また他の業界と比較した相対評価の場合では、「仕事がつらい」というイメージが最も強く、次に「停滞している」と学生から認識されている。なお「古くさい」イメージでは、「鉄鋼・金属」(34%)に次いで24業界中2番目の高率となっている。
 注目する点では、「印刷業」について興味あるテーマという設問への回答として「環境にやさしい印刷への取り組み」が過半数の56%の第1位で第2位の「社会生活を豊かにする印刷」(42%)以降は、「新しい高度な印刷技術の提供」(31%)、「文化に貢献する印刷」(30%)、「分野を超えた印刷技術の応用」(28%)が3割前後で続いており、印刷業界が今後進むべき方向と合致した意見となっている。
 この調査で学生達の多くが第一志望の選択条件を「仕事の内容が面白そう」(88%)、「やりたい仕事ができる」(83%)と仕事をする中での充実感を最重要視していることがわかった。学生に限らず印刷産業は、未だ3K職場としての認識が多く、その結果、学生達は「古くさい」「仕事がつらい」といった旧態依然のイメージを引きずっており、印刷業界が今後、次代の業界を担う若い人材をより多く集めるためには、そういったマイナスイメージを払拭していくことが課題である。そのうえで印刷業界に対し就職先として魅力を感じる「将来性」、「先見性」などをあらゆるメディアを通じて発信していく必要があるのでは。