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昭栄美術、SHOEIベイスタジオに「Nyala3」〜安定した出力品質を評価

2023年10月23日

 敷地面積は、サッカーコート5面分--。2019年1月、千葉県市川市に竣工した(株)昭栄美術(本社/東京都中央区、小林大輝社長)のSHOEIベイスタジオは、サイン・空間ディスプレイ業界最大級の広さと設備を誇る製作拠点だ。同施設開設と合わせ、同社は2018年12月にswissQprintのUVインクジェットフラットベッドプリンタ「Nyala3」を導入。瞬発力が求められる展示会やイベントの出力業務において、ダイレクトに様々なメディアに出力できるUVインクジェットの特性を生かし、生産性の向上や作業負荷軽減に効果を発揮している。さらに、新たな領域の出力にも対応が可能になるなど、無限の可能性を秘めたプリンタとして期待しており、研究開発を進めながら活用の幅を広げていく考えだ。

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2018年12月に導入したNyala3の前で羽山専務

 同社は、展示会・イベントの企画立案から、デザイン、設計、製作、施工までをワンストップで行う「空間ディスプレイ」の総合企業。IGASなどの印刷業界向けの展示会においても、これまでに多くの出展企業のブース製作を手掛けてきた。

 1979年の設立当初は木工製作会社としてスタートしたが、同社の羽山寛幸専務取締役は「モノづくりを行う企業として、高品質で高付加価値なモノを作りたいという思いから、演出照明、映像音響、サイン、表装など製品・設備・技術の幅を広げることで、品質向上とクライアントに安心・安全を自社ワンストップで提供できるビジネスモデルを構築してきた、現在は企画からデザイン設計・運営管理までソフトとハード両面でサービス強化を図っている」と、設立から半世紀足らずで年商83億円、従業員300名規模の企業に業容拡大してきた歴史を振り返る。

 そんな同社が「総合スタジオ」として誇るのがNyala3を設備する千葉県市川市のSHOEIベイスタジオだ。同社ではそれまで、千葉県浦安市にいくつかの製作拠点を構えていたが、それらの敷地面積と製品・設備・スタッフを一箇所に集約した。羽山専務取締役は「これまではブースの仮組みを行う場合など、事前にどこかの倉庫を借りる必要があったが、このスタジオは広いだけでなく、すべての製品・設備が整っているため、各セクションの社員が瞬時集合して検証を実施できる、無駄な時間やコストを削減できるようになり顧客からも喜ばれている」と強みを説明する。

 地方の商工会議所が主催するような小規模の展示会からモーターショーのような大規模なイベントまで、あらゆるイベント、展示会の製作・施工をワンストップで行える総合スタジオとなっている。

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サッカーコート約5面分もの面積を誇る千葉県市川市のSHOEIベイスタジオ


SDGs、人手不足など業界が抱えるクライアントニーズに対応


 会期が1週間以上ある大型イベントや展示会もあるが、その一方で会期は1〜2日というものも少なくない。その特性から、「この業界の会社はブースを作っては壊しの繰り返しで、環境に良くないというイメージを持たれているところがあり、意識の高いクライアントからは、そこを何とかして欲しいというニーズが高まっている」(羽山専務取締役)。

 そのような中、同社では展示会やイベントで使用した部材をリユース・リサイクルできる仕組みに業界に先立ち取り組んでいるほか、サイン製作は廃棄物を多く排出しているため、企業としてもプラゴミ削減の取り組みを進めているという。

 そのほか、SDGsに寄与する様々な取り組みを進め、クライアントからも高く評価されているが、「『冠』になるものが欲しかった」(羽山専務取締役)ことから、同社は2020年にイベントの持続可能性を追求する国際認証規格「ISO20121」の認証を取得した。これは、2020東京オリンピック組織委員会や、2025日本博覧会協会なども組織内に構築している規格のようで、「制作(製作)・施工を行う企業としては日本で初めての取得」(羽山専務取締役)であるという。

 また、展示会やイベントの仕事は1日、2日大急ぎでディスプレイなどを製作してブースを立ち上げ、終了したらその日の夕方にはすぐに撤去するなど、瞬発力が多く求められる。同社ではこれまで、大量のスタッフ投入や残業時間を増やすなど「人海戦術」でこれらに対応してきたが、「昨今は『働き方改革』などもあり、そのような方法をいつまでも続けていける状況ではない。このため、工場の生産性を追求し、できる限り人手を介さず、自動化・スマートファクトリー化を進めていこうという会社の流れになっていた」(羽山専務取締役)。

 そのような中、同社は大量に製作するボードにかかる手間と時間を削減する方法を模索。そして出会ったのが「Nyala3」であった。

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出力サンプルを手に同社オペレーター


ラミネートの削減で製作時間は5分の1に。出力品質も安定


 同社では、イベントや展示会の「基礎工事」を一手に引き受けるなど大規模な仕事も受注しているが、出展各社のブースに貼り付ける「社名版」の出力も数多く手掛けている。そして、この業務には手間と時間がかかるため、何とか効率化を図れないかと悩んでいたことの1つであったようだ。

 羽山専務取締役は「例えば1,000社、出展する展示会の場合、その数をロールプリンタで出力し、ラミネートしたあとでスチレンボードに貼り、カッティングして現場のブースに貼りに行くという流れになる。ぎりぎりまでデータが入稿されないということも珍しくなく、夜なべして作り込んでいた」と当時を振り返る。

 そして、フラットベッドプリンタの優位性を知り、様々な海外メーカーの比較検討を進めた結果、見当精度・品質・スピード・クオリティのすべてにおいて「ワンランク上であることを感じた」(羽山専務取締役)のが、Nyala3であったようだ。羽山専務取締役は「ラミネートのプロセスが不要になったため、手間や時間と材料コストを削減できたほか、環境にもこれまで以上に寄与できるようになった。作業時間は従来の5分の1ほどまで削減できた」とその効果を話す。また、プリンタのデザインも洗練されていて気に入っているようだ。「決して安くはなかったが、どうせ導入するなら最高級の性能のプリンタを導入したいと思い、導入を決断した」(羽山専務取締役)。

 同社では現在、ボード系の出力を中心にNyala3を活用しているが、出力する素材を選ばないため「ゴルフボール、木材などのサイン装飾にも活躍している」(羽山専務取締役)と、その特性を最大限に活用しているようだ。人気アニメのキャラクターの等身大パネル製作などにも、Nyala3が活躍しているという。


両面出力の作業性を最大限に評価。高付加価値印刷の出力品質も安定


 そして、実際にNyala3で作業するオペレーターに聞いたところ、最大限に評価できるポイントは、突き出し看板など両面に同じ画像を出力するときの作業が簡単なことであるという。

 「ボードメディアをひっくり返すのも簡単で、見当も合わせやすいので揃えやすく、失敗も少ない。他のプリンターで両面印刷を繰り返していると、必ずズレてしまう。ここは譲れないポイント」(オペレーター)。工夫すれば絶対にズレないため無駄がなく、現在、両面印刷の出力はほとんどNyala3で行っているということだ。

 また、透明のアクリルにサイン装飾する場合なども、貼りズレや気泡が入るリスクが少なく、技術が必要な透明メディアへの出力貼りがなくなり、重宝しているという。

 同社では通常のCMYKに加えて、ホワイト・バーニッシュ・ライトマゼンタ・ライトシアンのインキを活用し、これによりザラザラした触感や厚盛り、バーニッシュなどの高付加価値印刷物の出力も数多く手掛けているが、オペレーターは「これらの出力品質も安定して行うことができ、失敗は少ない。使い慣れると本当に使いやすいプリンタであると思う」と話していた。

 さらに、他方式と比較してのUVインクジェットプリンタの評価点としては、前述の様々な素材へのダイレクト出力に加えて、伸び縮みの少ない出力精度、擦過性の高さなどを評価していた。


サインセンターの増設に合わせてNyala3の増台を検討


 SDGsやサステナビリティなど、環境対応に力を入れる同社は、現在スチレンボードに代わり、段ボール製のボードを代替品としてPRする取り組みを進めているという。羽山専務取締役は「100%古紙回収できるため、プラゴミ削減にも貢献でき、また価格も抑えることにも成功しているため、これによりシェア拡大を目指したい」としている。

 また、同社は近年中にSHOEIベイスタジオの敷地内にサインセンターの増設を計画しており、羽山専務取締役は「これに合わせ、Nyala3の増台も検討したい」と話している。同社が最終的に目指す工場の形は「スマートファクトリー」であり、それにNyala3を活用していきたいという。

 羽山専務取締役は「プリンタとカッティングマシンを組み合わせて連動させ、スチレンボードの自動セットや出力の自動送り込みにより、これを実現していくことができれば...」との構想を話す。そして、これらを実現できるためのswissQprintの製品開発にも期待しているということだ。

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