PJweb news

印刷産業のトレンドを捉える印刷業界専門紙【印刷ジャーナル】のニュース配信サイト:PJ web news|印刷時報株式会社

トップ > 注目コンテンツ > ニヨド印刷、好みのノートは「買う」から「作る」へ 〜 世界で1つだけのノートを小ロットで作成

注目コンテンツ

ニヨド印刷、好みのノートは「買う」から「作る」へ 〜 世界で1つだけのノートを小ロットで作成

2019年10月9日

充実したテンプレートで人気
Webで話題の「ノートの神様」〜 御庄 康隆 社長に聞く

 「ノートの世界はつまらなくなっている。品種は売れ筋商品に絞られてきており、もはや自分好みのノートは買うのではなく、作らないと見つけることができない時代になっている」。このようにノート業界の現状に警鐘を鳴らすのは、Web上で「ノートの神様」と話題の御庄康隆氏(ニヨド印刷(株)代表取締役社長、本社/高知県いの町)だ。本業は印刷会社の社長であるが、You Tubeの某番組に出演してからは「印刷会社というよりノート屋さん」との呼び声が高いという。そこで今回、世界で1つだけのノートを小ロットで作成できるサービスを展開するなど、ノート業界に新風を吹き込む御庄社長に話を聞いた。

niyodo_pi19_1.jpg

御庄 社長

 ニヨド印刷は、高知県で総合印刷会社として事業展開する一方、世界で1つだけのノートをWeb上で簡単に作成できるサービス「まるまるノート」を運営し、全国に取引先を拡大している。2018年1月に開設したばかりの新しいサイトであるが、様々な紙種や製本加工、定形外サイズのノートを「小ロット」から作成できるなど、充実したテンプレートで人気を集めている。

 多彩なラインアップの中、昨今の売れ筋・人気商品は「ゴム付き」のオリジナルリングノートだ。ゴム付きリングノートは現在のノート業界全体の人気傾向となっているようで、御庄社長は「現在のノートの世界では、華やかな商材の1つがゴム付きリングノートとなっている。カバンの中で開いて、ぐしゃぐしゃになることが防げるというメリットもあるのだが、機能面でいうとあまり意味はないと言っていい。それよりもデザインや手にしたときの楽しさなどが人気の大きな理由となっている」と説明する。同社では、この人気商材にさらに「世界で1つ」という付加価値を持たせているのだから、人気商品となっていることは当然と言えるだろう。

 昨今では、作家やデザイナーが自己表現の手段としてノートや紙文具を作る例も増えているようで、「まるまるノート」でもその種の問い合わせは増えているという。世界初の「だるまアーティスト」として世間の人気を博し、インスタグラムでは2万人のフォロワーがいるという椛澤愛氏もその1人だ。同氏が「ノートでポルシェを買う」ためにオリジナルノートを作成したエピソードをYou Tubeで公開し、その中で御庄社長を「ノートの神様」と絶賛したことは、Web上で大きな話題となった。

 「数社にノートのサンプルを依頼したようだが、当社のサンプルが一番種類や説明が多く、親切さと熱意を感じたということで発注していただけた。はじめは3種類の500冊セットの予定だったが、最終的には3種類の5,000冊セットにまで膨らみ、それらは2日間で完売。本当にノートでポルシェを買うことができたという。矢沢永吉がタオルを作って借金を返したというエピソードがあるらしいが、椛澤さんの中で、それに対峙することに挑戦したという。これは極端な例かも知れないが、個人が物を作って売る時代が来ていることを感じた」(御庄社長)

 そしてノートに限らず、昨今はデザイナーが自社サイトで商品を販売する例もあり、同社でもこのほど、日本画の作家とコラボしてオリジナルの小ロットカレンダーを作成した。そしてこのようなオリジナル製品の小ロット化の流れは、メモや付箋など様々な紙製品に広がってきているという。

niyodo_pi19_2.jpg

世界で1つのノート、カレンダーなどを制作

P・Iショーでノートをはじめ、様々なオリジナル紙製品を紹介

 同社は10月16日から18日まで、東京・池袋のサンシャインシティ文化会館で開催される「プレミアム・インセンティブショー(P・Iショー)」に出展し、タイアップしている企業の商品も含め、小ロットで生産可能な様々なオリジナルノート、メモ、カレンダーなどを紹介する。

 今回は、PAPER MESSEGE(運営:本山印刷(株))で販売している高知県のキャラクター「くろしおくん」の形をした定形外サイズの中綴じノート、高知県で生まれたお菓子のオリジナルノートをはじめ、木製ノベルティ専門サイト「wood+(ウッドプラス)」(運営:フロンティアジャパン(株))で販売する杉の間伐材を表紙と裏表紙に使用した中綴じノート、また、「ぱたぱたメモ」のメモの部分をふせん紙とした「パタパタふせん紙」、さらに注目商品として、アウトドアや災害時に威力を発揮する新商品の「オリジナル防水耐水ノート」などを紹介する。

 同商品は、表紙には園芸用ラベル、ギフトボックス、アルバム台紙、各種カード・POPなどに適したポリプロピレン樹脂ベースの合成紙「アルファユポQJJ500」を使用。また、本文には屋外や水のある環境でも使えるように開発された印刷用撥水紙「OKレインガード」を使用、鉛筆や油性ペンでのスマホやタブレットなどが使いにくい測量や土木建築の現場、厨房(台所)、釣りや登山など水濡れに遭遇することの多いアウトドアシーンでの使用を想定しているという。御庄社長は「小ロットでオリジナルの防水耐水ノートを作れるサービスはおそらく業界初。今後、企業の販促や室外イベントのグッズなどに利用を促進するキャンペーンを行っていきたい」としており、今後の普及に大きく期待している。

小さいモノづくりが毎日動く会社に

 御庄社長は今後の目標として「小さいモノづくりがたえず毎日動いている会社を目指したい」との思いを話す。大ロットだけでなく小ロットの仕事を大切にしながら、取引先に熱意と親切を感じてもらえる努力を続けていく考えだ。

 そして、そんな同社の思いを実現するのが2019年4月に導入したデジタル印刷機「バーサファイアEP」だ。これにより小ロットの商品を印刷から製本加工まで自社で作成することが可能になり、御庄社長は「ノートをはじめ、小ロット紙製品を作成するための『役者』が揃った」と自信を示している。

 また、FSCの認証用紙や間伐材などを使用した商品のラインアップ拡充にも取り組むとともに、SDGsについても賛同し、行動することを早い段階で宣言する計画だ。 ノート業界の明るい未来に向けて挑戦する「ノートの神様」の熱意と行動による今後の活躍に期待したい。

特集
印刷×DX 2024
印刷×DX 2024

印刷業におけるDX戦略の最前線を特集。
(2024年7月15日)

パッケージ印刷ビジネス 2024
パッケージ印刷ビジネス 2024

パッケージ印刷の事業化に向けたソリューションや具体的な取り組み事例を紹介。
(2024年6月15日)

after drupa 2024
after drupa 2024

「drupa2024」出展企業の展示製品やソリューションについてシリーズで紹介。
(2024年6月25日〜)

AI・ロボット活用 2024
AI・ロボット活用 2024

印刷製造工程におけるAI(人工知能)およびロボット技術の活用について、その現状と可能性を探る。
(2024年6月15日)

印刷とサステナブル 2024
印刷とサステナブル 2024

印刷業界における持続可能な社会の実現に向けた取り組みにフォーカス。
(2024年4月25日)

drupa 2024 特集
drupa 2024 特集

世界最高峰の印刷・クロスメディアソリューション専門メッセ「drupa2024」の事前情報(見どころなど)を公開!
(2024年4月2日〜)

販促アイテム 2024
販促アイテム 2024

印刷会社が提案する「販促アイテム」
(2024年3月25日)

デジタル印刷特集 2024
デジタル印刷特集 2024

「生産工程の見直し」あるいは「創注」という印刷経営戦略としてのデジタル印刷ソリューションにフォーカス。
(2024年3月25日)

検査システムによる品質管理 2024
検査システムによる品質管理 2024

システマチックな検査工程で品質保証と効率化を目指す。
(2024年3月15日)

特集一覧へ
印刷関連のブログ
twitter|@PJnews_headline
twitter|@PJnews_headline

https://twitter.com/PJnews_headline

facebook|印刷ジャーナル
facebook|印刷ジャーナル

https://www.facebook.com/printingjournal