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コダックジャパン、全国47都道府県・450社がSONORAを採用

2019年4月25日

無処理版の課題を克服〜機能性と使いやすさを市場が評価

 コダックジャパン(藤原浩社長)が販売する完全無処理サーマルCTPプレート「SONORA」は昨年10月、47都道府県・450社での採用を達成した。2015年の発売から2度にわたる技術改良を経て、「SONORA」は「視認性」や「耐刷性」の向上など、さらなる進化を続けている。その原動力となっているのが、市場ニーズへの対応だ。そこで今回、中川武志氏(上席常務執行役員プリントシステム営業本部 本部長)、畑信雄氏(上席執行役員 プリントシステム営業本部販売推進統轄部 統括部長 兼 プレート販売推進部 部長)、郡正也氏(執行役員 プリントシステム事業部PSD製品統括部長)の3氏に、導入が加速するSONORAの優位性や今後の技術開発の方向性などを聞いた。

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左から、中川氏、郡氏、畑氏

 SONORAは、海外での4,000社を超える豊富な導入実績をベースに、日本のユーザーニーズに適応すべく、コダックジャパンの群馬事業所の研究開発部門で開発され、2015年6月に日本市場向けに最適化した製品としてリリース。以来、LED-UVやH-UVといった省電力UV印刷機ユーザーはもちろん、オフセット枚葉・輪転印刷機、減感インキを使用するビジネスフォーム印刷機、平台校正機、さらには新聞印刷やパッケージ印刷にいたるまで広範囲で活用されている。2016年秋に視認性を1.5倍にまで高めたSONORAを発表、さらに2018年2月には耐刷性を従来の2倍にまで高め、耐傷性も従来の現像有りプレートと同等のレベルを実現した改良品「SONORA CX」を発表している。SONORA CXは、視認性、耐刷性、耐傷性の向上によって印刷市場における約8割の印刷アプリケーションに柔軟に対応できる。

 このほか、新聞印刷用の「SONORA NX」も、昨年から全国紙をはじめ、多くの新聞社で採用されるなど急速に導入実績を伸ばしている。

 「無処理版は、テストすることにリスクが生じない。簡単に言えば、印刷機に版をセットして印刷するだけでテストが完了する。さらに新たな設備を導入することなく、現状の印刷環境で使用できる。また、現像機が不要となることから、その設置スペースや現像液などの消耗品コストを削減できるなど、これらの点が評価されたと思う」(畑氏)

 同社のCTPプレート出荷量の約3割がSONORAであるという。当初は、2019年から2020年にかけて、CTPプレート全体の出荷量のうち、約3割をSONORAという目標を掲げていたが、この目標を前倒しで達成することができた。この点からみても市場がSONORAの機能性や導入の容易さを高く評価していることがうかがえる。

情報共有で無処理版に最適な印刷環境を構築

 発売から約3年で450社での採用と驚異的な成長を遂げているSONORAであるが、同社が販売開始から徹底して行ってきたのが「情報共有」だ。

 「採用されたユーザーでは、その活用実績を、また、採用に至らなかったユーザーについては、その理由を明確にし、それら情報を営業だけでなく全社的に共有することで、今後の技術改良に役立てていく。この積み重ねが、今日のSONORAを支えている要因といえる」(中川氏)

 また、中川氏は「見える化と言える化」を意識し、共有した情報を部門や役職などの垣根を越え、自由に意見交換できる環境を構築したこともSONORA躍進の原動力になっていると振り返る。

 同社の現像有りプレートを使用しているユーザーはもちろん、発売当初から他社プレートを使用しているユーザーの採用も非常に多かったという。その際も、この「情報の共有」が大きな効果をもたらしている。

 「これまでコダックのプレートを使用したことがないユーザーの場合でも、そのユーザーが抱えている課題などを収集・分析し、情報共有することで、迅速にその解決策を提案できる。47都道府県で450社に採用というのは、それだけの膨大な実績データを蓄積している証しである」(郡氏)

 この取り組みは、同社内だけではなく、販売パートナーである代理店、さらには印刷機械をはじめとする印刷関連資機材メーカーなどとも連携することで、よりユーザーが安心してSONORAを使用できる環境を整備している。

蓄積されたデータの活用で無処理版運用を支援

 無処理版は、新たな設備導入の必要もなく手軽に導入でき、現像機に関わるコストを完全に削減できる。

 有処理版を使用する印刷会社にとって、得られるのはメリットばかりである。しかし、印刷会社によっては、それらメリット以上に気にしていることがある。それは「変化」だ。

 「今まで何の支障もなく運用していた版を、なぜ変える必要があるのか。版を変えることで問題が起きないか、ということを心配するお客様も多い」(畑氏)

 SONORAを評価するも実運用時に何か問題は起きないか、ということを懸念する印刷会社も少なくない。そんな時に役立つのが、全国各地でSONORAを採用したユーザー事例だ。

 「枚葉印刷機やオフ輪、また、省電力UVや油性など、様々な設備で使用されているSONORAの導入事例を紹介することで、採用を検討している印刷会社も安心してもらえる」(郡氏)

 このデータは、単なる成功事例だけではなく、トラブル発生やその解決策など、様々なケースにおけるSONORAの運用方法を蓄積している。これにより何らかのトラブルが生じたときに、このデータから対応策を検索でき、また、これまでにないトラブルであれば、新たな事例としてデータ化し、今後の製品開発に役立てていくことができる。販売開始から約3年で飛躍的に導入が進んだ背景には、SONORA自体の優位性だけではなく、最適運用を支援するための同社のサポートがあったといえる。

人手不足の問題にも貢献

 SONORA導入のメリットは、現像レスによる時間、消耗品コストの削減などが一般的であるが、それ以上に印刷会社が期待しているのが「省人化」だと畑氏は説明する。

 「近年の印刷産業は、他の産業と同様に人材不足という大きな課題に直面している。そのため現有の人員で工場を稼働させることは、印刷会社にとってもはや必須の取り組みだ。あるユーザーでは導入以前、6名の刷版スタッフで作業を行っていた。しかし、SONORA導入後は半分の人員での運用が可能となった。また、最近では印刷機のオペレーターがプリンター感覚でプレートを出力し、印刷を行うといった事例もでてきている。これは無処理版だからできること」

プレス部門の効率化にも着手

 同社では、SONORAを販売するにあたり、その導入メリットとして、現像機やそれに関わる消耗品の削減、人員配置の最適化などを想定していた。もちろん導入企業のすべてが、これらメリットを享受しているのは言うまでもない。導入が進む中で見えてきたのが、現像に関わるすべてのプロセスをなくすことで、見えてくる新たなメリットに気付くことができたという。それは無処理版の採用によるプリプレス部門の効率化という、今までの概念から一歩踏み出し、無処理版の採用によるプレス部門の効率化だ。

 「印刷機の稼働率を高めることは、各印刷会社の売上に直結すること。無処理版と印刷機の稼働率は関係ないと思われるが、現像時に生じる品質のバラツキを抑制できるので、印刷機の停止要因を最小限に留めることができる。これにより、印刷機の稼働率は向上し、結果として売上につながるはず」(郡氏)

 昨今の印刷業界では、用紙やインキなど資材コストの値上げにより経営が圧迫されている。印刷機の停止要因を最小限に留めることは、稼働率を上げるだけでなく、無駄な消耗品コストの発生を未然に防ぐことができる。これがSONORAが実現するプレス部門の効率化といえる。

 印刷は、SONORAをはじめ、様々な資材が組み合わさって生産されるもの。その組み合わせの中で、いかにSONORAの特性を最大限に発揮させるかが同社の使命である。しかし、資材と簡単にいっても、インキや湿し水など、メーカーや製品も様々あり、さらには印刷機もメーカーや機種によって特性がある。そのため印刷というプロセスを細かく分析すると、各印刷会社によって膨大なバリエーションが存在することとなる。そのため、テストの結果、採用を見送るユーザーも少なくない。しかし、同社ではこれら個々のプロセスを検証し、SONORAの運用に最適な手段を導きだすことで課題解決の方法を提案してきた。

 「現時点で、すべてのニーズを満たしているわけではない。しかし、一歩ずつではあるが着実に課題解決に向けた挑戦を続けている。その挑戦がSONORAのさらなる進化へとつながっていく」(中川氏)

 さらなる「視認性」の向上など、SONORAに寄せられる要望は数え切れない。その中で同社は、UV印刷における耐刷性のさらなる向上を第一優先の開発項目として掲げている。

 「UV印刷の市場は拡がりを見せており、さらに発展途上の分野も数多くあることから、それらニーズに対応した製品開発を進めていきたい。また、成長市場と位置付けられているパッケージ印刷業界への特色でも安心して使用できる無処理版を開発・提供することで、当社のさらなる成長が期待できる」(郡氏)

トータルソリューションで効率化・省人化を提案

 短期間で採用実績を着実に伸ばしてきたSONORA。市場における認知度を確立したことから、同社では、次のステージへの移行を検討している。

 そのため同社では、ワークフローをはじめとするトータルソリューションで、さらなる効率化、省人化を提案していく方針だ。その中核となる製品としてSONORAを位置付けている。

 「多くの産業では、RPAなどを活用した自動化・効率化の構築を視野に入れている。印刷産業でも、RPAとワークフローを連動させることで、プリプレスやプレスといった部分的ではなく、全体の最適化を構築できるはず。この全体最適化が実現すれば、働き方改革につながり、さらには、若者からも魅力ある産業として認知してもらえる。導入しやすいSONORAは、その全体最適を実現するための中核となる製品である」(中川氏)

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