PJweb news

印刷産業のトレンドを捉える印刷業界専門紙【印刷ジャーナル】のニュース配信サイト:PJ web news|印刷時報株式会社

トップ > 注目コンテンツ > 富士ゼロックス、1パス6色機・Iridesse Production Pressで新たな市場を創出

注目コンテンツ

富士ゼロックス、1パス6色機・Iridesse Production Pressで新たな市場を創出

2018年3月25日

従来にない表現力を実現 〜 ワンランク上の付加価値を演出

 富士ゼロックス(株)(本社/東京都港区、栗原博社長)が昨年11月に発売した、プロダクションカラープリンティングのハイエンドプロ市場向けモデル「Iridesse Production Press(イリデッセ プロダクション プレス)」。ゼログラフィー(乾式電子写真方式)としては、業界初の1パス6色プリントエンジンを採用し、CMYKトナーに加え、ゴールドやシルバー、ホワイト、クリアの中から、最大で色の特殊トナーを搭載できる同機は、従来のプロダクションプリンターを凌駕する多種多様な印刷表現力で、顧客企業の「新たな市場の創出」を支援していく。

xerox_Iridesse_kurita_tubame.jpg

栗田氏(左)と燕氏


 「Iridesse」は、英語の「Iridescence」から造った新たな商品名で、光輝性の高いメタリックカラーをはじめとした多彩かつ高品質の印刷表現の意味が込められている。その名が示すように「Iridesse Production Press」は、新開発の1パス6色プリントエンジンの採用により、CMYKトナーのほか、ゴールド、シルバー、クリア、ホワイトの特殊トナーから最大で2色まで同時に搭載することができる。さらに、従来商品「Color 1000i Press」で採用した、CMYKトナー層の上に特殊トナー層を重ねる「上刷り方式」に加え、ゼログラフィー方式の1パス6色プリントエンジンとしては業界で初めてCMYKトナー層の下に特殊トナーを置く「下刷り方式」を可能としている。これにより、オフセット印刷ではシルバーインキと調合してメタリックインキを作る必要のあった「メタリックカラー」を1パスで印刷することができる。
 用紙は、52g/平米の薄紙から400g/平米までの幅広い用紙坪量に対応。生産性については、厚紙400g/平米でも毎分120ページ(A4ヨコ)のプリントを実現している。

xerox_Iridesse_.jpg

Iridesse Production Press


オフセット印刷の課題をデジタル印刷で解決

 同社・グラフィックコミュニケーションサービス事業本部開発統括第二商品開発部GPM(General Program Manager)の栗田知一氏は、「これまでもCMYKに加え、ゴールドやシルバー、クリアの特殊トナー1色を追加して出力することはできた。今回の1パス6色のエンジン構成では、ゴールドやシルバーといった単色ではなく、CMYK各色と組み合わせたメタリックカラーとして表現できるので、これまでにない新たなアプリケーションが提供できるようになる」と、同機の優位性について説明する。
 同機は、メタリックカラーの色見本である「Pantone+Metallics Coated」「Pantone+Premium Metallics Coated」に対応した色を、色番号を指定することで印刷物上に確実に再現できるようにカラーライブラリーを標準で搭載。これにより色番号を指定してデザインすることで、手軽にPantone社のメタリックカラーに近い色を印刷物上で再現することができる。
 また、オフセット印刷が苦手とする領域をデジタル印刷技術でサポートすることも同機の特徴といえる。
 「オフセット印刷で小ロットのメタリックカラーの仕事を手がけるお客様からよく聞くのは、『小ロットでもメタリックカラーを使うことは可能だが、現実問題として十分な収益を確保できる価格で受注することは非常に難しい』、ということ。しかし、Iridesseでは、メタリックカラー印刷のためのインキ調合などの工程上の作業負荷が大幅に軽減され、また小ロットでも問題なく対応できることから、これまでなら実現し得なかったようなメタリックカラー印刷のジョブも受注できる」(栗田氏)

重要なのはメタリックカラーを活かすデザイン

 同社では、これらメタリックカラーによる多彩な印刷表現を実際のデザインの中で活用したサンプルブックを作成している。このサンプルブックは、表ページに様々なデザインで出力したメタリックカラー印刷を施し、裏ページは、そのトナー構成を解説する内容となっている。
 このサンプルブックの狙いについて同社・グラフィックコミュニケーションサービス事業本部マーケティング部プロダクトマーケティンググループ チーム長の燕博也氏は「実際の印刷サンプルを見てもらうことで、その表現力を確認してもらうこと。もう1つは、メタリックの重ね方によって、多様な表現が実現できることを知ってもらうこと。例えば、下刷りしたシルバーの濃度によっても、見せ方を変えることができる。この『見せ方テクニック』こそが、Iridesseの機能を最大限に活用する上でのポイントになってくる」と説明する。
 実際に、このサンプルブックを見たユーザーからは、メタリックカラーが生きるデザインを教えてほしい、との要望が多く寄せられているという。そのため同社では、メタリックカラーを使用したデザインワークに関するガイドブックを作成し、デザインとメタリックカラーを融合することよって実現する高付加価値表現をサポートする活動も開始している。
 「デザインをより魅力的にするメタリックカラー、メタリックカラーを活かすデザイン。この2つが交わることで相乗効果が生まれ、結果として、これまでにない新しい印刷表現が生まれるはず」(燕氏)

xerox_Iridesse_omote.jpg

表ページは印刷サンプル

xerox_Iridesse_ura.jpg

裏ページでトナー構成を解説

こだわったのは角度によって変化するメタリックカラー表現

 デバイスだけの提供では、新たな価値を創造することはできない。つまり、メタリックカラーという機能を有していても、それを活かすデザインがなければ、真の価値を提供することはできない。そのため同社では、印刷の前段階、つまりデザインという上流からの支援を行うことで、顧客をサポートしていく方針だ。
 「従来は、メーカー視点に立った、自社の技術をアピールするためのサンプル作成を行っていたが、今回のIridesseでは、社内デザイナーにサンプル作成のメンバーに入ってもらっている。開発担当者とデザイナーが緊密に意見交換を行いながらサンプル作成を行うことで、これまでにないアイディアが生まれる」(燕氏)
 このサンプル作成には、最終的にユーザーにも加わってもらい、用紙選定やデザインや印刷表現のブラッシュアップを行っている。企画段階からデザイナーや顧客の様々な意見を汲み取り、開発を行う。ここに同機による「新たな市場の創出」への想いが込められている。
 また、同社がメタリックカラー表現としてこだわったのが、これまでにない「キラキラ感」だ。4色印刷物は、上、あるいは正面から見るのが普通だが、メタリックカラーなどは、角度を変え、斜めから見て、光の反射、などによって変化する見え方を確認する。これが「キラキラ感」であり、同機では、この表現による画像形成できる技術を搭載している。また、特殊トナーだけでなくCMYKトナーについても世界最小クラスを誇るSuper EA Ecoトナーを新たに採用。高生産性と高画質、用紙汎用性を保ちながら、6層のトナーを用紙に定着させることを実現し、さらに光輝性を向上させたゴールド、シルバーなど、種類の異なるトナーを低温定着可能にしたことで、全色ムラのない高精細な出力が可能となる。

新たにホワイトトナーが搭載可能に

 今年1月、同機に搭載できる新たな特殊トナーとして、ホワイトトナーをラインアップに追加。これにより、濃色紙などの特徴ある用紙に映える白色度の高いホワイトを印刷できるほか、ホワイトトナーの下刷りによって、用紙の色に左右されないCMYKの発色を引き出すことが可能となる。
 「今回、発売を開始したホワイトトナーを下刷りし、その上からカラー印刷を行うことができるので、濃色系の用紙に対しても、高精細なカラー印刷を行うことが可能となる。もちろんホワイトトナー単体でも印刷できるので、白をアピールしたいデザインにも活用できる」(栗田氏)
 さらにホワイトトナーを2回刷ることで、ホワイト200%という、より迫力のある濃厚な「白」を演出する印刷表現も可能。これも1パス6色エンジンならではの強みと言える。
 また、これら特殊トナーは、これまで同社のエンジニアによる交換が行われていたが、同機では、導入したユーザー自身が短時間で交換を行うための技術指導サービスを開始している。これにより、ユーザーは、印刷仕様に応じて自由に特殊トナーを選択・搭載することができる。
 また、ホワイトトナーが搭載可能となったことで同社では、フィルム系基材への印刷対応も現在、検討している。
 「今後は、さらなる技術検証を行い、多種多様なメディアに対応できるようにしていく」(燕氏)

xerox_Iridesse_kuma.jpg

ホワイトトナーを下刷りした熊(左)と4色印刷の熊

xerox_iridesse_kuro.jpg

ホワイト+クリアで出力


印刷ビジネス拡大へのさらなる貢献を

 今年3月には、長尺プリント機能をオプションとして正式に発売を開始。これにより長さ488mmを超える長尺用紙への対応が可能となり、ポスターやブックカバーなど新たなアプリケーションやビジネスの可能性が広がることとなる。
 「Iridesseは、お客様とともに創り上げていくことを念頭に置いて開発を進めてきた。長尺プリント機能についても、POPやパッケージといった従来から想定されている用途にとどまることなく、新たなアプリケーションの開発にこれからもお客様とともに取り組んでいく。メディア汎用性や特殊トナー種の拡大に関して、継続してお客様との研究を進めていく」(栗田氏)
 「お客様と対話をしながら創造する」、上流から下流まで、顧客のビジネスを一貫して支援していくことを使命とする同社では、今後もIridesseを通じて、多種多様な表現の可能性を広げ、印刷コミュニケーションの高付加価値化と新たな市場の創出によるビジネス拡大へのさらなる貢献を目指していく。
 今後もデジタルPOD機の可能性をさらに広げ、業界を盛り上げて行くことを期待したい。

特集
drupa 2024 特集
drupa 2024 特集

世界最高峰の印刷・クロスメディアソリューション専門メッセ「drupa2024」の事前情報(見どころなど)を公開!
(2024年4月2日〜)

販促アイテム 2024
販促アイテム 2024

印刷会社が提案する「販促アイテム」
(2024年3月25日)

デジタル印刷特集 2024
デジタル印刷特集 2024

「生産工程の見直し」あるいは「創注」という印刷経営戦略としてのデジタル印刷ソリューションにフォーカス。
(2024年3月25日)

検査システムによる品質管理 2024
検査システムによる品質管理 2024

システマチックな検査工程で品質保証と効率化を目指す。
(2024年3月15日)

page2024特集
page2024特集

「page2024」の事前情報を配信。開催テーマは「連携」。
(2024年1月22日〜)

2024年 ここに注目!
2024年 ここに注目!

独自戦略でアフターコロナ時代を躍進する企業、新製品、注目技術を紹介。
(2024年1月1日)

ダイレクトメール特集 2023秋
ダイレクトメール特集 2023秋

成長市場を追う─DMを新たな事業領域に。
(2023年12月15日)

印刷会社の創注
印刷会社の創注

「注文が来ないなら、創り出さなくてはいけない」というストレートなテーマ「創注」にフォーカス。
(2023年11月25日)

インクジェット特集2023
インクジェット特集2023

インクジェットテクノロジーが印刷ビジネスにもたらす新たな事業領域とは。
(2023年9月5日)

特集一覧へ
印刷関連のブログ
twitter|@PJnews_headline
twitter|@PJnews_headline

https://twitter.com/PJnews_headline

facebook|印刷ジャーナル
facebook|印刷ジャーナル

https://www.facebook.com/printingjournal