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AJC、印刷機をリノベーションするLED-UVシステム提供

2017年12月5日

既設機への後付けに対応〜枚葉機、オフ輪、シール、フレキソ、IJ機に搭載可能

ajc_seki.jpg 「AMSのLED-UVシステムは印刷機の寿命を延ばし、リノベーションできる画期的なシステムである」。このように語るのは、米国・エアーモーションシステムズ社(AMS)日本総代理店であるAJC(株)(本社/東京都台東区)の関衛社長だ。グロスを損なうことなく速乾印刷できることに加えて、パウダー清掃と部品交換、メンテナンスにより印刷機が生まれ変わって生産性が向上するため、印刷機の台数を減らしても従来と同等の生産性を維持できるなど、設備投資コストの面でも大きな効果を発揮できるという。現在のオフセット枚葉印刷機への設置台数は約70セット。 「リノベーション アンド プリント」をコンセプトに、既設印刷機への後付けで印刷会社の経営をサポートする同社の関社長に話を聞いた。

「グロス」のあるLED-UV印刷を実現

 同社は2012年7月、AMS社の日本総代理店として設立した企業。AJCの社長に就任する以前、LED-UVを扱う某企業に勤めていた関社長は約8年前からAMSのLED-UVの存在を知っていたが、当時はLED-UVのパワーが弱かったため、紙面から1センチ以内の場所にLED-UVを設置しなければならず、従来のUVランプと同じように、最終印刷胴から紙が出てきた直後にUV照射して乾燥させることが一般的な方法であったようだ。
 しかし、この方法ではインキが立ったままの状態で乾燥させることになるため、グロスが損なわれるという問題があった。この問題を解決するため、関社長が考えたのがロングデリバリーでインクをできるだけ長く引っ張り、インクが寝たところで乾燥させることでグロスを出すという方法である。
 「当時はLED-UVのパワーがまだまだ弱かったため、AMSのLED-UVの1号機『XP-3』は、渡し胴の上下にLED-UVを設置することでグロスを出すことに成功した。しかしグロスを出すことには成功したが、まだまだパワーが弱いので、納得してはいなかった。しかしその後、AMSは出力パワーの高いLED-UVの開発を進め、一方でインキメーカーもそのパワーに耐えることができるUVインキを開発し、約5年前に自信を持って日本市場に提供できるLED-UVのノウハウが完成した」(関社長)
 現在は、紙面から12センチ離れていても乾燥できるほどLED-UVの出力パワーは高まっており、デリバリー部への取り付けも可能になっているという。

高出力パワーにより紙面から離れた場所にも設置が可能

 AMSのLED-UVシステムは、コンパクトで内部に駆動部分を持たない革命的な高出力LED-UV硬化を実現している。「XP-9」は、照射窓部17W/平方センチメートル、50ミリの距離で10W/平方センチメートルの高出力を実現。また、多方向からのUV照射を1点に集めて紙面に当てる焦点方式ではなく、UV光を反射鏡に照射してから紙面に当てる方式を採っている。これにより強力なUV照射ができ、かつ照射距離による減衰も小さく、しかも紙がバタついて照射距離がズレても焦点方式ではないため硬化する。
 また、新開発された最高グレードの「XP-11」は、さらに出力パワーを向上させており、関社長は「24Wが国内最大と言われている中で、『XP-11』はスタンダードで37Wを実現している。すでに図書印刷がKBAの高速印刷機に搭載して4台を導入している」とその出力パワーに自信を示している。
 また、AMSのLED-UVモジュールの筐体は、たった9.5センチ×8センチの断面に納まっており、市場のほとんどの印刷機に容易に設置可能なように設計されている。

世界初。オフ輪によるLED-UV印刷の実用化に成功

 同社は2年前、世界初でオフ輪によるLED-UV印刷の実用化に成功。さらに今年には、「薄紙」へのオフ輪によるLED-UV印刷の実用化にも成功した。
 これについて関社長は、「難しい条件であったが、インキロールや版、ブランケットなども改善しながらテストを進めてきた結果、生産性を落とすことなく、ひじわや紙やけ、インクへの影響などのオフ輪における問題も解決することができ、予想以上の成果を得ることができた。品質は枚葉印刷で刷ったのではないかと言われるほどである」と生産性と品質の両面に自信を示している。
 オフ輪にLED-UV印刷を搭載すると、ドライヤーが不要になりガス代の削減、損紙の削減ほか様々なメリットがある。このため、関社長は「枚葉機よりも、オフ輪の方がLED-UVの効果がより高くなるのではないか」と述べ、将来的にはオフ輪への搭載実績が伸びていく可能性が高いとの見解を示している。

既設機への後付けで印刷会社の経営をサポート

 印刷産業がシュリンクする中、新台の設備投資は抑えたいのは、現在の印刷会社の共通の悩みと言える。パウダー清掃と部品交換、メンテナンスを行い、LED-UVを搭載すれば、印刷機は生まれ変わって生産性が新台のように向上する。このため、印刷機の台数を減らしても従来と同等の生産性を維持できるため、設備投資コストを抑えることが可能になる。
 「印刷機のメンテナンスの一番の根源となるのはパウダーである。印刷機を綺麗に掃除し、LED-UVによりパウダーを使用することもなくなったことで10年以上使用した印刷機が新台同様に生まれ変わる事例は数多くある」(関社長)
 同社ではこれまでにオフセット枚葉機の既設機に70セット以上を後付けしているが、昨今ではその導入効果の高さから、ユーザーが新台を増設時にAMSのLED-UVを指名して納入するケースも増えてきているという。
 また、このほどオフ輪だけでなく、フレキソ印刷機への後付けの実績も新たに加わったという。このほか、AMSのLED-UVはシールラベル印刷機やインクジェット印刷機への後付けにも対応している。
 「リノベーション アンド プリント」をコンセプトに、既設印刷機への後付けで印刷会社の経営をサポートする同社の取り組みに注目したい。

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