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シンク・ラボラトリー、水性IJプリンター「FXIJ」でグラビア印刷の効率化支援

2017年4月5日

ベータ版の納入が決定 〜 正式発売に向け技術開発を加速

thinklabo_1.jpg 全自動レーザーグラビア製版システムメーカーである(株)シンク・ラボラトリー(本社/千葉県柏市、重田龍男社長)は昨年3月、世界初のVOCレス設計の水性インク専用インクジェットプリンター「FXIJ」を(株)花王と共同開発したことを発表した。軟包材に対し、水性インクジェットインクでグラビア印刷同等の印刷を実現する「FXIJ」は、環境負荷低減だけでなく、グラビア印刷業界の課題である多品種小ロット化に対応する設備として期待が持たれている。今春には、ベータ版の導入も決定しており、同社では、正式リリースに向け、開発を加速していく。


 環境配慮とユーザーメリットを両立した同社のレーザーグラビア製版システムは現在、世界30数ヵ国以上に納入されている。その国内トップメーカーである同社が、なぜインクジェットプリンターの開発に着手したのか。その点について重田社長は次のように説明する。
 「紙媒体が減少傾向にあるなか、一般商印会社の方から『食品パッケージなどの軟包材印刷は成長分野』といった意見をよく聞く。しかし現実には、確かに全体量は減少していないが、ロット数は年々減っている」
 つまり重田社長の狙いは、多品種小ロット化によって生じるグラビア印刷の課題への対応だ。多品種小ロット化が進むということは、それだけジョブチェンジ回数が多くなり、その結果、機械停止時間とオペレータの作業負荷が増加する。非効率な稼働となるが、ある程度の小ロットでも受注しなければならないのがグラビア印刷業界の現状だ。
 「当社はアルミロールも提供しているが、市場で使用されているのは大半が鉄ロールである。そのためオフセット印刷と異なり、版替えはオペレータにとって過酷な作業といえる」(重田社長)

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水性インク専用インクジェットプリンター「FXIJ」

 現在の市場環境に適した印刷機、つまり多品種小ロットに対応し、さらにオペレータの負荷を低減できる印刷機の開発が急務と考えた重田社長は、3年ほど前に、その手段としてUVインクジェット方式のデジタル印刷の開発に着手した。インクメーカーやインクジェットヘッドメーカーらの協力を得て、試作機が完成したものの、どうしてもクリアできない課題が残ったという。それは、食品包材に絶対的に必要な食品の安全性である。
 「グラビア印刷における軟包材の多くは食品パッケージとして使用される。それまでUVインクジェットを前提とした試作機開発を進めていたが、臭気や内包する食品への影響を考えると、UVインクジェットでは、製品化は難しいと判断した」(重田社長)

花王との協業で実現した水性IJ機開発

 商業印刷分野では、UVインクジェット方式での生産が当たり前のように行われている。しかし、主に食品包装に使われる軟包材は、微量の臭気でも大きな問題とされ、また、場合によっては電子レンジで加熱されるなど、使われ方も様々である。そのような状況を考慮すると、UVインクジェット方式による製品化は無理、そう判断した重田社長は、新たな方式への挑戦を考えた。それは水性インクジェット方式を採用した製品開発だ。重田社長は、改めてインクメーカーを始め、関連企業に協力を要請したものの、やはり軟包材に対する水性インクジェットという発想は、受け入れられなかったという。

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グラビア印刷同等の印刷品質を実現

 現状の技術では、実現不可能なのか、と諦めかけたとき、重田社長の提案に賛同し、開発パートナーとして名乗りをあげたのが(株)花王だった。石鹸をはじめ各種洗剤などのメーカーとしての認識が一般的な花王であるが、実はそれ以外にも化学品などの材料を供給する事業も展開している。花王も水性インクジェットインクの開発に興味を示し、共同開発が始まることとなる。
 そして昨年3月、花王はVOCレス設計で環境負荷を低減した水性インクジェット用顔料インクを開発。あわせて同インクを搭載可能な水性インクジェットプリンター「FXIJ」をシンク・ラボラトリーと共同開発したことを発表した。重田社長の提案から、わずか2年という短期間で製品化を実現したことになる。

今秋には正式リリースを予定

 水性インクジェットプリンター「FXIJ」は、VOCレスの水性インクジェットインクに対応するロールtoロール方式の水性インク専用のインクジェットプリンター。幅540mmのPETなど、従来型の基材にそのまま対応し、これまでグラビア印刷でカバーしにくかった2000m以下の小ロット印刷をタッチパネルによる簡単操作で柔軟に出力することが可能。また、制御パネルには、最新の画像処理ソフト「PACKZ」を標準搭載し、デザインデータから最終データ作成までのプロセスを一貫して処理できるほか、部分修正も本機上で対応可能となっている。さらにデジタル印刷機の特性である個別デザインのバリアブル印刷にも対応している。
 色数は、CMYK+白の5色仕様で、印刷速度は、現時点で5色時に20m/分、4色時で50m/分となっている。また、使用基材は、OPPおよびPETフィルム、またシュリンクPETフィルムへの印刷も確認している。

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グラビア印刷の水性化にも挑戦

 同社では、昨秋から今春にかけて「東京パック」と「コンバーティングテクノロジー総合展」の2つの展示会で実機展示および印刷実演を披露した。各展示会では、その高い印刷品質や印刷幅が異なる絵柄でも継ぎ目なくシームレスに印刷できる機能が、多くの来場者の関心を集めていた。
 そして「コンバーティングテクノロジー総合展」では、ベータ版として大手食品メーカーの食品パッケージや包装資材の企画・印刷を手がける信和産業(株)(千葉県八千代市)に「FXIJ」2台を納入することが決定している。今後は、様々な実機検証を行い、さらなる改良を継続していくこととなる。
 また、花王が開発した水性インクジェットインクがグラビア印刷機にも転用可能であることから、重田社長は、インクジェット印刷、グラビア印刷を融合した高効率生産システムとして、提案していく方針だ。
 すでに多くの予約注文が寄せられていることから重田社長は、今秋頃の正式リリースを予定している。提供方法としては、月額定額制のレンタル提供も検討しており、初期投資額の低減を図っていく。

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