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T&K TOKA、進化を続けるパウダーレスインキ「キレイナ」-採用実績250社超

2016年1月1日

開発を継続し機能性の向上目指す

 (株)T&K TOKA(本社/埼玉県入間郡三芳町、増田至克社長)は2014年3月、パウダーレス印刷を実現するインキ「ベストワン キレイナ(以下、キレイナ)」を発売。パウダー散布なしで棒積みを可能とする「キレイナ」は、パウダーに起因するトラブルの解消や清掃作業の負荷低減による生産効率の向上といった特性から、発売開始以来、多くの印刷会社で採用が進んでいる。今回、「キレイナ」の開発メンバーである同社・技術本部研究第一グループ・グループリーダーの遠藤伸一氏に、発表から現在までの成果と課題、そして2016年の展開などについて伺った。

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遠藤 氏

 「キレイナ」は、新たに開発された特殊ビース、特殊樹脂、特殊ワックス、特殊ワニスの4つの新素材を採用したパウダーレスインキ。2014年の発売から現在まで、250社以上の採用実績を誇り、さらに採用検討を含め、400社以上の印刷会社でテスト検証が行われている。とくに「キレイナ」の採用実績で特徴的なのが、新規ユーザーの獲得が多いことだ。
 遠藤氏は、驚異的に販売実績を伸ばしている要因として「油性インキを使用している印刷会社にとって、スプレーパウダーを起因とした様々なトラブルは生産面だけでなく経営面でも大きな問題となっている。この問題を解決する資材として、キレイナが選ばれていると思う」と説明する。
 導入ユーザーでは、「キレイナ」への全面切替や部分的採用など様々だが、「パウダーによる印刷トラブルの防止」「乾燥性も優れているため上がり面印刷の効率化の実現」「清掃時間の大幅短縮」などの特性は各ユーザーで実証されている。
 「完全なノンパウダー化でなくても、パウダー散布量を減らすことができたと満足していただけるお客様が多い。また、両面機での運用については、当社も少量でのパウダー散布を推奨しているが、その場合でも、従来よりも格段にパウダー量を減らすことができたという評価も得ている」(遠藤氏)

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パウダーレスインキ「キレイナ」

水なし印刷分野での活用が加速

 昨年開催されたIGAS2015で同社は、「キレイナ」を全面に打ち出し、パウダーレス印刷の訴求を行い、会期中は多くの来場者が同社ブースを訪れた。印刷業界では、認知度が高いと思われる「キレイナ」であるが、まだ、その存在を知らない、または「キレイナ」は知っているが製品発表以降に追加された多彩なラインアップについては知らなかったという来場者も多く、同社にとっては、改めて製品紹介ができる格好の機会となった。
 現在のラインアップとしては、一般薄紙用(両面機兼用)の「ベストワン キレイナ」、水なし印刷用(両面機兼用)の「ベストワン キレイナ アルポ」、カートン用の「ベスト ワンキレイナ カートン」、中間色の「ベストワン キレイナ GIGA」、蛍光色の「ベストワン キレイナ VIVA」、OPニスの「ベストワン キレイナ OPニス」、ゴールド、シルバーの「ベストワン キレイナ メタリック」の6種が用意されている。
 とくに水なし用については、採用社数こそ水あり用には及ばないが、キレイナ全体の出荷数の約3割を占めているという。
 「水なし印刷の分野では、とくに両面機でのキレイナの運用が進んでいる。水なし両面印刷では、水あり両面印刷と比較してパウダーを多く散布している印刷会社が多い。ですからパウダー量を低減したい、という水なし印刷ユーザーにとっては、その効果がより大きかったようだ」(遠藤氏)

400社を超えるテストデータが開発のカギ

 テスト段階でも、その特性が高く評価されている「キレイナ」ではあるが、実際には、問題が起こっているケースも少なくないと遠藤氏は説明する。
 「問題が起きなければ良い製品は作れない。我々、技術スタッフは、問題を改善することで、良い製品が生まれると考えている。ですから作業環境が異なる400社超のユーザーでテストを実施いただけたことは、当社の財産であり、それらデータは今後の技術改良に役立てていかなければいけない」
 様々な効果をもたらす「キレイナ」であるが、ユーザーからは「印刷物のガサツキ」「重い絵柄や用紙によって裏移りや擦れが発生する」など多くの課題・要望も寄せられている。同社では、これらを隠すことなく公表し、さらなる改善のヒントとして活用している。
 また、用紙対応力については、現在はコート紙・マットコート紙を中心に「キレイナ」の効果を発揮できるようになっているほか、他の用紙についても遠藤氏は「将来的にどの銘柄の用紙でも完全パウダーレス化を実現することが当社の使命」と語る様に、今後も研究・開発を続けていく。

トータルメリットで見える本当の価値

 そして機能性とは別に不採用の要因の1つとなっているのが価格である。発売当初に比べ、価格修正は行われているが、一般油性インキと比較するとコスト高なのが現状だ。
 同社も価格への要望を十分理解しており、生産体制の見直しなどを実施し、より導入しやすい価格の実現を目指している。また、一方でインキの価格だけでなく、「キレイナ」導入によるトータルメリットとしての訴求も行っていく。
 「キレイナによる生産性の向上、また、パウダー量低減やトラブル防止など、トータルコストとして見てもらえれば、インキコストをカバーできると考えている。それが現在の販売実績につながっているはず。もちろん、当社としても価格の問題については、あらゆる角度から見直しを実施して、ユーザーの理解を得られる努力を継続して行っていく」(遠藤氏)
 ここ数年、印刷業界では、LEDや省電力UV乾燥装置が販売実績を伸ばしている。だが、それら装置を導入したくても、コストの問題から設置できない印刷会社も数多く存在する。同社では、これらユーザーを含め、油性印刷でも生産効率の向上を実現する「キレイナ」で貢献していく方針だ。

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