シノハラ・ジャパン、100年のブランド再生を宣言〜日本工場で印刷機を生産
2013年10月15日
(株)シノハラ・ジャパン(静岡県島田市、増田静夫社長)はJGAS2013会期中に弊紙と懇談し、今後のシノハラグループの方針を明らかにした。同社は来年6月に島田工場を大幅に増築し、日本市場はもとより世界市場に向けて高品質な製品を大量生産していく方針。一方、中国工場では中国市場向けの低価格な製品を提供する。また、新生シノハラでは中国HANS GRONHI社のCTP販売を手掛けるとともに、デジタル印刷機の開発にも着手する。日本が世界に誇るシノハラブランドが完全復帰に向けて動き始めた。
左から 増田社長、Liu社長、荒木副会長(=JGAS2013シノハラ・ジャパンブースにて)
高品質な製品を世界市場へ提供、中国メーカーのCTP販売も
JGAS2013会期中に行われた弊紙との懇談の席には、中国の親会社HANS GRONHI社のLiu XueZhi社長、シノハラグループ中国工場を統括するシノハラ・ジャパンの荒木節夫取締役副会長が増田静夫社長とともに出席した。
シノハラ・ジャパンの親会社HANS GRONHI社は、中国の遼寧省に本社を構える30年の歴史を誇る印刷機メーカー。懇談の冒頭、Liu社長は旧シノハラを買収した経緯について、「私は個人的にもシノハラの印刷機が好きで構造にも詳しかった。2011年に様々な理由から旧シノハラがその歴史に幕を閉じたが、100年の歴史あるブランドがなくなるのは非常に惜しく、当社親会社のHANS LASER社からの要請もあり買収するに至った」と説明し、旧シノハラの技術とサービスを継承しつつ、新たな事業領域にも取り組んでいく新生シノハラの方針を示した。
また、今後の日本工場と中国工場の役割分担について、「島田工場は来年6月の大幅な増築により、大量生産が可能な工場となる。部品から組立までのすべてを島田工場で行い、日本市場はもとより世界に向けて高品質な製品を開発・生産していく。一方、中国工場では主に中国市場向けの低価格な製品を生産していく」との方針を示した。
また、メンテナンスなどのユーザーサポートについて増田社長は、「現在、お客様の声を聞きながら最善の方法を模索している。シノハラテクノサービスとも協力し、最善の形を見つけたい」との考えを示した。
シノハラ・ジャパンはJGAS2013において、オフセット印刷機の他、HANS GRONHI社のCTPの展示も行った。新生シノハラでは印刷機だけでなく、このCTPの販売も手掛けていく。これについて増田社長は「当社はCTPの販売経験はなくとも、旧シノハラの時代からユーザーとしてCTPを使用してきた。このため、ユーザーがどのようなCTPを求めているのかが分かる。その経験を生かし、日本市場に適した安価なCTPを印刷機と同時に販売していく。また、CTPだけでなくHANS LASER社の他の製品についても日本市場に向けて順次提供していく」と話し、日本での販売に自信を示した。
さらに、新生シノハラではデジタル印刷機の開発・生産も行っていく方針で、これについてLiu社長は「日本で開発・部品調達を行い、中国で生産を行うことで、安価で高品質なデジタル印刷機を世界市場に向けて出荷していく」と話しており、日本と中国との協力によりデジタル印刷機市場に参入することで競争力強化を図る方針だ。
最後に両社長は、「今回のJGAS2013には、100年の歴史を誇る『Made inJapan』のシノハラブランドの技術とサービスを継承する企業としての再生を宣言することを目的に出展した。世界中のシノハラユーザーの幸せのため、今後もさらに発展していく」と、今後の展開にも自信を示した。
中国企業と日本企業の協力により、新生シノハラは「世界のシノハラ」に向けて着実に動き始めている。今後の展開が注目されそうだ。