ジクス、印刷会社ごとにカスタムメイドの検査装置を提供
2013年1月1日
「印刷会社は、印刷するという仕事は同じでも、刷っているものや印刷機械、納入先の要求によって別々の工業製品を生産しているのと同じ。だから検査装置もカスタマイズされないといけない」。検査装置メーカーであるジクス(株)のコンセプトは、印刷会社に合ったカスタムメイドの検査装置を提供することだ。
実際、同社の製品である「Lab-vision」検査装置は、発売開始2年で15台を超える納入実績があるが、異なる印刷会社には、ひとつとして同じものは納入していないという。その理由は前記のような他に、ジクス社の業界に対するコンセプトが伺える。
「印刷業界はここ十数年、ヨーロッパ発の標準化という名前の下にあるかに見えるが、実際にはそれぞれの会社が持つ独自の管理方法、技術、材料の選択等によって差別化し、それを競争力としている。装置メーカーとしてはどの会社にも同じものを提供するのは楽だが、それだと品質管理方法ひとつとっても、印刷会社それぞれの特性を活かせない。結局、お客様である印刷会社の特徴を活かせない検査装置ならば、利益をもたらすことなどできないので装置メーカーとしても成長できない」
このような考えの下、印刷会社それぞれの目的や活かしたい特長に合った検査装置を提供している。
Lab-vision検査装置は、枚葉オフセット印刷の現場から生まれた検査装置。従来の検査装置にありがちであった様々な欠点が解消されている。
特筆すべきは、印刷への影響の少なさと消費電力の低さである。枚葉印刷機での検査安定には、とくにパッケージ印刷のように用紙に腰があれば、通常リングブロワーなどで印刷紙の尻側を吹き付けて安定させるが、リングブロワーの風は常温プラス60度程度の温風が圧胴に吹き付けられる。これは、時間と共に版面温度を上げて、汚れの原因となり、給水の追加を要求するため色むらが発生しがちだ。吹き続けるエアーは他の問題も引き起こしかねない。
一方、Lab-visionの安定化装置は、リングブロワーの1/30のエアー使用量で、かつ温度は常温のエアー。これほど少ない風量で0.8ミリのボール紙でも安定して検査できる。さらに消費電力は1/12.5で、従来50万円かかっていた電気代が4万円までコストダウンできる。
また、カスタマイズの一環として、専用のデリバリー後付け式排出装置「LESA」がある。
検査装置は、「センサー」として単体で使用するケースから、「システム」として品質管理を行うケースまで、印刷会社から来る要求によってさまざまな選択肢があるべきだと言う。この排紙装置「LESA」を使用することで、検出した不良紙をパイル上から排紙分別し、パイル上の印刷物は全数検査品として出荷、または後工程へ送るという検査システムができる。カメラやレンズにも様々な選択肢がある。世界最高クラスのハイエンドモデルからリーズナブルな汎用モデルまでを印刷会社の要求に合わせて作り込むので、印刷会社の仕事や特徴にあった、そして他の印刷会社にはない検査装置を導入できるのである。