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サンメッセ、プリプレス部門の大胆改革でフロー全体を効率化 〜XMF Complete/Remote導入事例

2012年9月15日

 サンメッセ(株)(本社/岐阜県大垣市久瀬川町7-5-1、田中義一社長)は、昨年から取り組んでいる社内構造改革の一環として、富士フイルムの次世代ハイブリッドワークフローシステム「XMF Complete」および「XMF Remote」を導入し、プリプレス部門を中心としたワークフローの大幅な効率化を図っている。XMFによって、具体的にどのような点が改善され、社内的に、そして顧客に対して、どんなメリットがもたらされたのか。同社の取締役執行役員 製造本部長の伊東覚氏と本社工場プリプレス一課課長の酒井康幸氏に話を伺った。


sunmesse_ito.jpg サンメッセは、岐阜県大垣市の本社を中心に全国に5支店、4営業所を構え、大垣市内に3ヵ所の製造拠点を持つ。商業印刷・出版印刷からフォーム印刷、パッケージ製作まで幅広く手がけ、様々な印刷物製作の全工程を自社内でこなせる一貫生産体制を大きな強みとしている。
 同社の「XMF Complete」「XMF Remote」導入の背景には、2つの大きな狙いがあった。1つは、従来、大人数を擁しながら工程ごとの分業体制になっていたプリプレス部門をスリム化し、生産効率アップと人員配置の最適化を図るという、社内の体制の変革。そしてもう1つは「顧客との関係強化」という営業戦略であり、前者について、伊東取締役は「いままでは、各支店や営業所から、様々な入稿データがすべて本社に集まり、不完全データの修復も含めてプリプレス部門で集中的に処理するというやり方だった。そのため本社プリプレス部門は200名という大所帯で、しかもデータ設計・刷版設計・検査など、工程ごとの分業体制になっていたため、柔軟性にも乏しかった。これでは、とくに遠隔地の顧客に対する迅速な対応が難しい。そこで、東京や名古屋など、基幹となる支店については現地で刷版設計まで行ってから本社に入稿するというフローを確立したかった」と語る。
 従来は、同じプリプレス部門でもDTPオペレーターがページ設計を、CTPオペレーターが刷版設計を行い、さらに検査専門のスタッフが1つのジョブにつき2人がかりで検査するという完全な分業体制になっており、そのために各オペレーターが専門職化し、フロー全体を見通した上での作業が難しかったという。
 「工程間で、必要な情報がきちんと正確に伝わればいいが、上手く伝達されずにミスが起こるリスクもあったし、前の工程が終わらないと次工程の作業にかかれず、無駄な待ち時間が発生することもあった。そこで、各拠点のオペレーターがページ設計から刷版設計までを一貫処理できるようにすることで、プリプレスの効率・精度を上げていこうというのが、今回のワークフロー改革の大きな狙い」と酒井課長はいう。

フロー全体が見通せ、オペレーターの意識変化も

sunmesse_sakai.jpg サンメッセでは、もともと他社製RIPをメインに使用していたが、新たなワークフローシステムとして5社の製品を比較検討した末に、富士フイルムのXMFを採用した。開発コンセプトと実績が大きな決め手になったということだ。
 「XMFは、そもそも開発の視点が他社システムと違うなと感じている。機械をいかに効率的に動かすか、だけではなく、クライアントとのやり取りまで含めたワークフロー全体の最適化を追求しており、まさに、プリプレスの無駄を省き、その分、営業などの川上の部門を強化したいという私どもの思惑とぴったり一致している。しかも、国内外で導入実績が豊富にあり、当社にとって非常に参考になる活用事例もあった。また、RIP単体ではなく、前後工程も踏まえたFFGSさんのトータルな提案・サポートも大きな魅力である。将来の展開も含めて考えると、最も安心感が高いのがXMFだった」と、選定理由について伊東取締役はこう語る。
 また酒井課長は「実際の運用でも、その良さは実感できており、XMFと他社RIPの両方の操作を経験している者に聞くと、XMFの方がよく考えられている」と高く評価する。
 XMFワークフローへの切り替えは計画どおり順調に進行しており、現在、名古屋支店では受注する仕事の4割をXMFのフローで処理し、同支店内で刷版設計まで行っている。また、東京支店でも同様にXMFへの移行を始めている。
 本社に一極集中していたプリプレスの機能を各拠点に振り分け、RIPは本社の「XMF Complete」に一本化、この新体制によって具体的にどのような効果が出ているのか。現時点での手応えを酒井課長は「XMFによってジョブの情報共有がしやすくなり、プリプレスのオペレーターがフロー全体を理解した上で作業できるようになったことが大きい。工程間の伝言ゲームがなくなり、ミスの発生要因が大幅に削減できた。当社では印刷機を30台以上持っているため、DTPオペレーターが各印刷機に合わせた刷版設計まで行うことは、いままでは少々ハードルが高かったが、XMFでは、一度テンプレートを作ってしまえば、オペレーターの負荷をあまりかけずにフィニッシュまで進めてしまう。これはとくにリピートの仕事などでは有効で、プリプレス全体としては、作業負荷がかなり軽減できていると思う」と語る。
 また、ワークフロー改革の大きな目的である「人員配置の最適化」についても、着実に効果を上げているということだ。
 「XMFのフローで作業の無駄が大幅に削減できたおかげで、本社プリプレス部門は従来の半分近くの人数にまでスリム化、その分、営業やデザインなどの部門を充実させることができた。また、ワークフロー全体が見通せるようになったことでオペレーターの意識も変化しており、最近は各拠点のDTPオペレーターが営業に同行する機会が増えている。DTPから印刷までを理解したオペレーターが、顧客と直接コミュニケーションをとれるということは、当社の営業活動で大きな強みになっていると思う」(伊東取締役)。

XMF Remoteで顧客とのパイプを太める

 営業力強化という点では入出稿や校正など、顧客とのコミュニケーションにおける新たなインフラとして導入した「XMF Remote」による効果も大きい。同社では現在、本社と東京支店で先行して運用をスタート。確実にメリットを提供できそうな顧客から順次、採用を提案しており、これまでの受注形態や仕事内容などによって対象顧客をある程度絞り込んだ上で、具体的にどのように運用すれば効果的なのか、製造と営業が一緒に検討しながら提案を行っている。結果、提案を受けた顧客の反応も上々。「まさに、こんな仕組みがほしかった」と、すぐに採用が決まるケースも出てきているという。
 「例えば、あるフリーペーパーの出版社がそうだった。フリーペーパーは多くの広告主が絡み、しかも店の営業時間内は校正ができないという広告主も多く、時間的な制約が厳しい。しかしオンライン校正であれば時間も場所も選ばないので、出版社にとっても広告主にとっても大きなメリットになる。直ぐに提案を採用いただいた」と、実際の運用後も好評を得ていると酒井課長はいう。
 このように、データの入出稿や校正をオンライン化することで、顧客に対しては大幅な工数削減・コスト削減というメリットを提供。一方、サンメッセ社内においては、営業マンの移動を最小限に抑えられ、企画提案などの本来の業務に、より多くの時間を費やすことができる。伊東取締役は、「XMF Remoteは営業戦略面でも、社内のワークフロー改革にも非常に有効」と、今後の運用拡大に期待を寄せており「この仕組みを使えば、単にコミュニケーションを効率化するだけでなく、顧客とのパイプをさらに太くしていけると思う。また、窓口がXMF Remoteになれば、完全データでの入稿が前提になるから、当社としても営業やプリプレスの省力化が図れている」と、社内的メリットの大きさを語るとともに「XMF Complete」「XMF Remote」によって、社内だけでなく顧客まで含めたワークフロー改革に取り組むサンメッセ。「XMFは、ソフトとして優れているのはもちろんだが、何といっても、ワークフロー全体を変えられるところに一番の価値があると思う。XMFを導入するということは機械やソフトではなく、ワークフローを買うということ。例えば、新しい印刷機を入れても印刷工程しか変えられないが、XMFは、営業から製版までのフロー全体を変えることができ、またそれによって社員の考え方・意識も変わる。当社が推進している構造改革にはぴったりのシステム」と、現状でのトータルな成果について伊東取締役は「期待どおりのメリットが得られている」と高く評価する。
 同社は経営理念の中で、「First One for Customer」すなわち「顧客満足の最優先」をスローガンに掲げ、それを具現化するためのキーワードの1つに「革新」を挙げている。
 今回のXMFの導入は、まさに「顧客満足を追求したワークフローの革新」である。この取り組みが、これからどんな成果を生み出していくのか、今後の展開が注目される。

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