三菱製紙、低い初期投資でWeb to Print 〜 ディアリブレポータル
2012年2月5日
印刷分野における市場ニーズが小ロットやオンデマンドへと移行する中、いかにこのニーズを効率良く取り込み、適正な利益を確保するか...。まさに印刷会社にとって共通の課題である。プリプレス工程の合理化が進んだ印刷業界において、これらを実現するための次なるターゲットとして浮上するのがプリプレスの前工程での合理化だ。その即戦力となるツールとして、さまざまなWeb to Printシステムが提案されている。
プリプレスとクライアント・営業・制作・関連会社との関係強化により、納期短縮や営業コスト削減の効果を生み出すWeb to Printだが、その多くのシステムが多機能であるがゆえに高額な初期投資が必要となるため、「興味はあるものの...」といった企業も少なくない。
ユーザーによる聞き取り調査で、これらのニーズを掴んだ三菱製紙(株)は、入稿・校正・承認のサイクルをオンラインでスピーディに行える「校正クラウドサービス」と、自動面付けまで行えるリーズナブルな「受注システム」といった2つのソリューションを融合させた「ディアリブレ ポータル」を昨年のIGAS2011で発表。導入コストを抑えたポータルシステムとして注目を集めた。とくに、これら2つの製品は、自社の環境に応じて、いずれか片方だけでも選択・導入できるという柔軟性も特徴のひとつとしている。
校正クラウドサービス
プリプレスと顧客、営業、制作といったインターネットを介した関係者間のコミュニケーション向上により、入稿・校正・承認のサイクルをスピーディに行える「ソフトウェア利用サービス」。このサービスは、コダックが提供しているポータル製品「インサイト」の機能の一部をSaaS形式で提供するもの。短納期対応や営業コスト削減はもちろん、Webブラウザでサービスを利用できるため、特別なハードやソフトは必要なく、設備コスト低減にも大きな効果を発揮する。
機能としては、オンライン入稿/校正、校正画像プレビュー、自動プリフライト、デジタル検版、校正進捗管理など。対クライアントとしての利用だけでなく、社内各拠点や協力会社との連携ツールとしても活用できる。
契約は、申し込みするとユーザーIDとパスワードが提供され、指定のURLでこれらを入力すると使用できるようになる。このIDは契約者用で、そこからクライアントや営業にIDを発行でき、アカウントは無制限に発行できる。
使用料金は、すべてのアカウントのアップロード容量の積算に応じた従量課金となり、契約は1ヵ月ごとの自動延長方式となっている。
【校正クラウドサービスの主な機能】
▽オンライン校正...修正指示コメントの書き込みや修正依頼、承認を行える。複数の関係者が同時にアクセスでき、修正履歴を残せるため、責任の所在が明確になる。
▽自動プリフライト...入稿されたファイルは自動でプリフライトチェック。印刷に不適切な箇所は、その理由とともにモニター上で確認でき、校正の初期段階から印刷に適したページデータを作成できるように支援する。
▽デジタル検版...初校と2校、2校と3校のように、修正の前後のデータを並べて表示。さらに、その差分を表示できるため、修正漏れを未然に防ぐ。
受注システム
パンフレットや小冊子などの定型ものを営業の負荷をかけずにオンラインで受注し、受注後に自動面付けまで行うことでプリプレスの作業負担を軽減できるシステム。頁物に限定した運用システムとしてリリースされ、PDF/X-1aによる完全データしか受け付けられない仕組みになっている。これは、短納期の仕事の受注を効率よくこなすことを前提としているためで、ネットで受注したらデータはチェックなしでスピーディに自動面付けまで流せるための仕組みだ。
クライアントが仕上がりサイズなどを入力し、コンテンツデータをアップロードするとジョブリストとしてサーバーに格納され、自動的に面付けエンジンに流れ、注文内容に応じたPDFが生成される。もちろん、オンライン受注で必要となる見積金額や送料は、あらかじめ設定したパターンで自動計算され、発注時にクライアントに示すことができる。
【受注システムの主な機能】
▽オンライン発注...Webブラウザから印刷物を発注。再注文も簡単。クライアントのログイン画面はカスタマイズも可能。
▽プレビュー...プレビューで頁物の体裁を確認できる。ページをめくりながら最終商品のイメージを確認した上での発注となるため、発注/入稿ミスを防げる。
▽自動面付け...最終商品の体裁ごとにあらかじめ面付けパターンを設定。受注ジョブの処理を開始すると注文内容に応じて自動面付けを行う。