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【寄稿】印刷現場の節電と環境対応 〜 小森コーポレーション 営業技術課 松崎寿久氏

2011年7月25日

 現在の印刷会社に求められているのは、高品質な印刷物を短納期に対応し、資材費や人件費などのコストを最小限に抑え、収益を確保することにあります。
 また、日本の印刷業界ではグリーン基準(日印産連)に準ずる考え方が浸透してきており、新規設備に対し環境配慮型の機械が望まれていると言えます。
 本年4月より出荷を開始いたしましたリスロンG40(以下GL-40)の「オフセットオンデマンド」は、統合管理システム「KHS-AI」と新乾燥システム「ハイブリッドUV」(以下H-UV)を軸として、各種自動化や技術サポートをパッケージ化したソリューションです。

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 「KHS-AI」は刷り出しの基準濃度を即座に立ち上げるシステムで、実稼動における補正値をアップデートして、制御データを最適に維持する自己学習機能を搭載しており「仕事の切替え時間短縮」「損紙の低減」「品質管理の標準化推進」などの効果が見込め、森林資源や化石資源の節減、消費電力の節約とCO2の発生抑制など、環境負荷軽減に寄与します。
 「H-UV」は、専用の高感度インキを、新開発のオゾンレスUVランプ1本で硬化させるKOMORIの革新的なUV乾燥システムです。
 最近の印刷事情として短納期対応や輸入紙、再生紙、特殊紙などの需要増加を背景に、油性印刷での乾燥不良によるトラブルが増えていますが、H-UVはそのような仕事をリスクなく受注し、印刷できる強みをご評価をいただいております。
 速乾、パウダーレスが実現し、印刷直後からのドライダウン、すなわち濃度変化がないため、印刷中に濃度をターゲットに確実に合わせることができ、刷り出し枚数の短縮が可能となり、損紙の削減や濃度変化による印刷事故を大きく減らすことができます。
 ノンVOCというUV印刷のメリットを持ちながら、きれいな発色、エコマーク対応という油性印刷のメリットも併せ持っており、油性・UVどちらの系統の仕事にも対応できます。
 さて、3月11日の東日本大震災の被害で失われた電力供給力に対し、政府からの夏期の15%電力使用制限に向けて各印刷会社様におかれましても、さまざまな取り組みが行われていることと思われますが、今夏はピーク時間帯の電力消費量を削減する必要があります。
 弊社のホームページにも掲載いたしましたが、各印刷会社様が実際に使用している電力量を把握した上で削減目標を定めることが重要です。弊社サービス部でも電力量を把握するデマンド監視装置の取付けに対し協力ができるよう準備しています。
 仕事をピーク時間帯からシフトさせることが可能な場合は、主に昼勤を夜勤に変更する措置となります。

【図1】
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 もうひとつのシフト方法を<図1>に表示しますが、ピーク時間帯に連続運転を実施している場合、電力量を下げるためには回転数を下げるか、一定時間機械稼動の停止で取り組むことになります。この取り組みで電力の削減はできますが、単位時間当りの生産量は減少してしまいます。

【図2】
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 ピーク時間帯に切替え運転を主体にした仕事にシフトできれば、約21%の電力削減が可能になります。本図は5,000部/1JOBを仮定した場合ですが、各切替えロット数別の電力低減率を<図2>に表示します。
 連続運転に対して2,000部から10,000部までの切替え運転の実施で、30%から10%程度の削減が見込めることがわかります。生産量を落すことなく稼動ができ、さらに電力削減が可能になることをご理解いただけると思います。
 2005年に京都議定書が発効され、先進国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力のある数値を各国毎に設定し、2012年までに1990年比、日本:マイナス6%、米国:マイナス7%、EU:マイナス8%で、先進国全体で少なくとも5%削減を目指す必要があります。また、改正省エネ法の制定で事業所毎のエネルギー消費量管理から企業単位のエネルギー消費量管理に変更されたことで、多くの印刷会社様も該当になったと推察いたします。
 毎年1%のエネルギー削減が義務付けされており、継続的な取り組みを余儀なくされることを考えた場合「印刷業の省エネルギー対策」として日本印刷産業連合会や、東京都環境局発行のパンフレットなどに具体的な対策が記載されていますので、これらを参考にできることから取り組みを行うのが大切であると考えます。
 また、省エネルギーセンターや東京都の無料診断を受診して改善策を提示してもらうことも可能です。
 今後求められる印刷機は、第一に環境配慮型に設計された印刷機です。
 今夏の節電は大変重要ですが、CO2削減に向けた継続的な節電への取り組みが必要になると考えられ、前述しましたGL-40の「損紙低減」「切替え時間短縮」を含めて、納期短縮による顧客ニーズを満足させて、オペレーターの負担軽減とスキルレスの推進で印刷会社の皆様をサポートして貢献できる印刷機であると確信いたします。
 また、H-UVを搭載したオフセット輪転機を検証中ですが、乾燥機不要によるガス設備削減、チルスタンド不要による冷却設備の低減などで総合的な電力量の削減でCO2排出量への抑制効果が大きく見込めるため、商品化に向けて取り組み中である事を申し添えたいと思います。

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