日印産連、電子出版アンケート調査結果を発表〜7割が「重要テーマ」と認識
2011年2月22日
(社)日本印刷産業連合会(猿渡智会長)はこのほど、電子出版に関するアンケート調査結果を発表した。それによると、すでに電子出版に取り組んでいる企業は54%で、全体の約7割が「重要なテーマ」と認識している。一方で、「対応すべきフォーマットの乱立」「業界動向がよくわからない」「人材・スキルの不足」「導入から運用への展望が見えない」といった課題も浮き彫りになり、日印産連へは「業界動向の広報告知」「スタンダードフォーマットへの対応方法の周知徹底」「人材育成・セミナーの実施」といった要望が寄せられている。
同調査は、電子出版交換フォーマット及び各種変換ツールに関するニーズや対応能力を把握し、印刷業界として電子出版市場への参入を検討するための一助とすることを目的に実施されたもの。昨年11月、関連業界団体に対する郵送アンケートにより行われ、63社の回答を得た(回収率46.3%)。
回答社の従業員規模は、「100〜299人」が最も多く31.7%、次いで「50〜99人」20.6%、「300人以上」19%の順。主要業務は「出版印刷」が最も多く58.7%、次いで「商業印刷」54%、「包装関係」11.1%となっている。
電子出版への取り組みの現状は、「取り組んでいる」という回答が54%、「検討中」は27%で、「予定なし」は11.1%。また取り組みの必要性については、約7割が「重要なテーマ」と認識していることがわかった。その分野は書籍、実用書が多く、出版物以外ではカタログ、マニュアルなどの回答が多かった。
一方、電子出版のフォーマットで優先・要望する機能は、「デバイス、閲覧ソフトの普及率」が最も多く76.2%、次いで「可読性」49.2%、「冊子の再現性」33.3%の順。実績のある電子出版フォーマットは、「PDF」66.7%、「EPUB」19%、「ドットブック」17.5%の順となっている。
また、電子出版フォーマット作成の使用アプリケーションは、「Adobe Acrobat」が最も多く66.7%、次いで「ドットブックビルダー」「Sigil」がともに17.5%。今後対応が必要な電子出版フォーマットでは、「iPhone&iPad向けデータ出力」が最も多く71.4%、次いで「Android向けデータ出力」66.7%、「EPUB」60.3%の順。また、対応が必要な電子出版に関するサービスについては、「アプリ申請・配信のサービス対応」が最も多く50.8%、次いで「Android OS対応サービス」49.2%、「システム開発対応サービス」42.9%の順であった。
中間フォーマットの必要性については、「要望・必要性がある」が51%であるのに対し「要望・必要性はない」という回答が27%だった。
一方、メタデータ(書誌情報)の入力業務形態は、「行っていない」が最も多く39.7%、「受託業務として行っている」は27%、「サービス業務として行っている」は15.9%。また、入力業務指示は、「得意先の指示がないと行わない」が38.1%で最も多く、「入稿時のみ得意先の指示。その後、印刷会社の責任に任される」は12.7%、「入稿してから校了まですべて印刷会社に任されている」が6.3%となっている。
また懸念する点については、「対応すべきフォーマットの乱立」が最も多く69.8%、次いで「業界動向がよくわからない」38.1%、「電子出版業務の人材・スキルの不足」36.5%、「導入から運用への展望が見えない」33.3%の順。これら問題点を背景に、日印産連に期待することについては、「業界動向の広報告知」が最も多く57.1%、次いで「スタンダードフォーマットへの対応方法の周知徹底(講習会等)」50.8%、「人材育成・セミナーの実施」36.5%の順となっている。