「グローバルインクジェット」〜コニカミノルタIJ 大野社長に聞く〜
2011年1月1日
〜グローバルインクジェット〜2011年、コニカミノルタIJ(株)(本社/東京都日野市さくら町1番地、大野彰得社長)が目指すのは、その卓越したインクジェットテクノロジーを駆使して、国内をはじめ全世界のあらゆる産業をターゲットとした展開だ。進化するインクジェット技術をコアに躍進を続けている同社・大野社長に2010年を振り返ってもらうとともにグローバル市場を視野に入れた今年の活動方針などについて語ってもらった。
中国市場でシェア拡大
2010年を振り返るとインクジェットヘッドについては、中国市場における成長が大きな出来事であった。中国市場については前年比で3〜4割増の結果を残すことができた。上海万博の開催によってバナーなどの特需がその要因であったと思われる。当然、出力するプリンターが売れれば、結果として当社のインクジェットヘッドも売れていった。自画自賛かもしれないが中国市場では、トップシェアを占めることができたと実感している。
またインクジェットヘッドの新製品としては、「KM1024」という1024ノズルのヘッドを発売することができた。これまでは、スタンダードモデル「KM512」という512ノズルのインクジェットヘッドを供給し、先程の中国をはじめ国内においても高い評価と実績がある。2011年は国内外を問わず、このピエゾロシェアモードでは、ノズル数で世界一を誇っている新製品が芽を出すことに期待をかけている。
捺染プリンターについては、ようやく普及の兆しが見えてきた。海外では、イタリア、インド、中国、トルコ、南米などの国や地域が挙げられる。イタリアについては、インクジェットによる捺染業が盛んに行われており、より高速化へのニーズが高まっている。そこに当社のテキスタイルプリンティングシステム「NassengerVII(ナッセンジャー)」を投入し、新たな市場開拓につなげていきたい。また中国についても従来の捺染業は、環境配慮への取り組みにあまり関心がなかった。しかし近年、中国国内で環境をはじめとする規制強化の動きが出てきていることや産業自体がマンパワーから機械化にシフトしている傾向があることなどから、その分野においても積極的に展開していきたい。
最新技術をdrupa2012で公開
印刷業界向けの活動については、ラベル業界をターゲットにプレマーケティグを押し進めている。今現在では、詳細について説明できないが、ひとつだけ言えることはdrupa2012には、ぜひ期待してほしい、ということ。インク、ヘッドの両側面から、これまでにない製品を披露する予定なので、楽しみにしてもらいたい。
私自身、インクジェット技術は、オフセットに変わる印刷方式とは考えていない。しかしオフセット印刷または電子写真方式では不可能な印刷について、インクジェット技術が必ず貢献できるはず。その部分にインクジェット技術の活路があると確信している。
またインクジェット技術をカラーフィルターや精密機器の配線などの分野で貢献できないかと考え、現在、取り組みを行っている。しかし現状では、技術自体は応用できても量産体制までのライン構築には、まだ時間がかかると思われる。しかし当社としても、新しい分野で技術を磨くことができ、その経験は必ず当社の将来の糧に成ると思っている。そして最終的には、この生産技術をコニカミノルタグループ内でも活用し、その成果物がビジネスになれば、と大きな希望を持っている
グローバル市場へ活動をさらに加速
2010年は、印刷業界だけでなく他産業の展示会にも積極的に出展してきた。当然、インクジェットヘッド単体を展示しても興味を持ってもらえないので、その業界向けに当社のインクジェット技術が貢献できるソリューションとして提案を行い、少なくともインクジェットの持っている可能性はアピールできたと思う。また印刷業界では「コニカミノルタ」というと電子写真方式のデジタル印刷機を連想される方が多いと思うが、インクジェット方式についても取り組みを行っていることをもっと積極的にアピールしていく。
インクジェットという分野において日本市場は、まだまだ海外と比較して小さい。ですから国内向けに活動を強化していくのは、もちろんだが2011年は世界市場を視野に入れた展開を加速させる。「グローバルインクジェット」、つまり世界標準としての基盤を確保し、世界市場で印刷革命を巻き起こしていきたい。