全印工連、2020年の印刷市場規模を4兆6,000億円と予測
2010年11月1日
全日本印刷工業組合連合会の産業戦略デザイン室(島村博之委員長)は、「全日本印刷文化典in岐阜」において、これまでの調査・研究に基づいた2020年までの印刷市場規模予測を発表。市場規模は年々減少の一途を辿り、2020年には現在の24%減となる4兆6,000億円(中位予測)まで縮小するとの見方を示した。
今後10年の市場規模を楽観的な上位予測、悲観的な下位予測、中間の中位予測の3つで示した。上位予測でも10年後には現在の8%減の5兆5,000億円、悲観的な下位予測では現在の37%減となる3兆8,000億円にまで落ち込む。
中位予測では、2020年は市場規模が24%減になることに伴い、従業者数は27%減、事業所数は32%減少する。しかし、10年後に生き残った印刷会社は1社あたりの売上高12%増、従業員数8%増、1人あたりの売上高4%増となる見込み。生き残り組に入るには、クライアントや社会が抱える諸問題を、蓄積した技術やノウハウを持って解決する「ソリューション・プロバイダー」への進化が不可欠であると指摘した。
このソリューションは、経営/販売/感性価値/クロスメディア/クリエイティブ/プリント/フルフィルメント/海外ビジネス/地域活性の9分野に分類されており、各分野で成功するための戦略が分析されている。
先頃の印刷文化典の会期中には、水上会長が、「印刷ビジネス これからの10年」の演題で講演したが、その中で水上会長は「今後は個々の企業で解決できない問題も増えてくるが、組合員がお互いに情報と得意技術を持ち寄ることで対応は可能。ただ市場が変化するのに従来の営業スタイルのままでは通用しない」と述べ、新しい企業文化、企業風土を作る必要性を訴えた上で、そのためには、▽営業戦略(顧客の問題解決)▽生産戦略(設備の差別化・独自戦略、丼勘定からの脱却)▽情報戦略(個々の営業マンが持つ外部情報の共有化)がポイントになることを指摘。また、「お客様の抱えている問題や面倒くささを解決する方法をお客様と一緒に考え、提案し、実践し、成果を責任持って保証すれば、パートナーとして高い評価を得ることができる。これは何十年も前から何ら変わらない」とも。