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SDGsの取り組み加速[キングコーポレーション 棚橋俊仁 新社長に聞く]

2023年1月1日

トータルサービスで競争力強化


 「SDGs関連商品を製造販売する企業として、自社のSDGsも進めていきたい」。2022年11月に(株)キングコーポレーション(本社/名古屋市中区)の4代目に就任した棚橋俊仁社長はこのように語り、2022年1月にキックオフしたSDGsの取り組みを加速させる。SDGs17の目標のうち、14項目はすでに達成した。今後も1つずつ目標を達成し、将来的にはすべての項目を埋めていきたい考えだ。棚橋社長は「一企業として、SDGsに貢献しながらトータルサービスで差別化を図り、顧客から選ばれ続けるメーカーを目指したい」としており、その実現に向けて挑戦を開始している。

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棚橋 社長


すでに14項目を達成。あらゆる方位からSDGsを推進


 同社は、印刷業界のSDGsに貢献するため、様々なSDGs関連の商品を製造・販売してきたが、「堂々とSDGs関連商品を販売できるようになりたい」(棚橋社長)と、2022年1月に「SDGsポリシー」を作成し、ホームページで公開。SDGsを本格的にキックオフした。

 そして、その取り組みは商品の売上だけでなく、リクルートにも効果がでているようで、「今の学生は社会問題にも敏感なため、興味を持ってもらえる」(棚橋社長)と、有能な人材採用にも有利に働いているようだ。このため、同社ではSDGsリースの利用やカーボンオフセットへの取り組み、そして農園事業への参画など、あらゆる方位からSDGsを推進している。

 「SDGsリース」とは、機材のリース代金の一部を恵まれない子供に寄付できる取り組みで、自社で特別なことをしなくても、SDGsに貢献できるというリース制度。SDGsの目標1「貧困をなくそう」などの項目に該当する。棚橋社長は「当社ではできる限り、社員が仕事に集中できるように、効率的にSDGsを推進することを心がけている」と話す。

 また、環境に配慮したプロセスにより、太陽光発電などクリーンエネルギーを使用した「カーボンオフセット」への取り組みは、目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」などの項目に該当。自分らしく働く「わーくはぴねす農園事業」への参画も、社員ではなく会社・経営者側で取り組めるため、積極的に推進しているという。「春日井ファームと小牧ファームの2ヵ所で、この農園事業に参画している。わーくはぴねす農園では、野菜づくりを通じて、障害のある方々に自分らしく働いてもらうことができる」(棚橋社長)。これは、目標10「人や国の不平等をなくそう」などの項目に該当する。

 さらに、封筒製造過程で発生する裁落などの産業古紙を、圧縮梱包機を使ってベールにし、輸送コストの削減を図り、効率的な資源リサイクルを可能にする取り組みも実施している。これは目標12「つくる責任、つかう責任」などの項目に該当するものである。


「今すぐできるSDGs」としてペーパーホルダーを推奨


 そして、SDGsに取り組みたくても「何から始めれば良いのかわからない」といった印刷会社に向けて、「今すぐできるSDGs」として推奨しているのが「ペーパーホルダー」だ。

 同社の「ペーパーホルダー」は、上質127.9g/平米と紙が厚めで丈夫であり、オフセットやPODとの相性も良く、A4サイズ以上の用紙に対応した複合機にも対応しているため、印刷会社を中心に販売数量が急増しているという。棚橋社長も「一押しの製品」とお薦めする自信作だ。クリアホルダーと同じL字型の紙ファイルとなっており、トレーシングペーパーにより中身が透ける半透明タイプと、FSC認証紙を使用したホワイトCOCの2種類を用意している。

 また、同社はペーパーホルダーを販売するだけでなく、印刷からの受注にも対応している。このサービスも好評で、急増する受注に対応するため、2022年にはキヤノンの「imagePRESS」を2台増設した。棚橋社長は「当社は単に紙製品を販売するだけでなく、トータルサービスで印刷会社に選ばれるメーカーを目指している」と話す。様々なPODでテストした結果、反りもなく、もっとも高品質に印刷できたのが「imagePRESS」であったようだ。

 そして、同社はIGAS2022にも、キヤノンブースに参加。「imagePRESS」と封筒フィーダーを連結させることで、高速に封筒の連続印刷ができるメリットを訴求した。

 棚橋社長は「封筒についても、請求書用は環境にやさしいグラシン窓明封筒を使用し、脱プラスチックの活動に貢献している」。これは目標14「海の豊かさを守ろう」などの項目に該当する。

 さらに、同社では「環境にやさしい印刷」として、FSC認証紙、間伐材クラフト、RC100%クラフトなどの商品を製造。印刷にはバイオマスを材料の一部にしたベジタブルインクや、NONVOCインクなども活用している。これらは目標15「陸の豊かさも守ろう」などの項目に該当する。

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IGAS2022ではキヤノンブースに参加


印刷業界の課題解決を提案し、発展に貢献へ


 棚橋社長は昭和63年に立教大学法学部を卒業後、王子製紙に入社。14年半勤務の後、名古屋に戻り、キングコーポレーションに入社。「紙パ・印刷業界に長年にわたり携わっていたため、名古屋に帰ってきてからも、昔から知っている人も多い。今後も感謝の思いで業界の発展に貢献していきたい」(棚橋社長)と印刷業界への想いは熱い。

 このため、昨今の紙の値上げなどの諸問題についても「もっとも心配なことは、原紙の価格が上がることにより、印刷物の需要が減退することである」(棚橋社長)と懸念する。同社ではこれを阻止するため、用紙の紙質を見直す等、用紙の値上がり分を吸収するための提案を日常的に行っているという。前述の自社工場での印刷も、少しでも安価にペーパーホルダーを提供するためのサービスの1つだ。

 棚橋社長は今後も仕入れ先、顧客と良い関係を築きながら、印刷業界の発展に向けて切磋琢磨していきたい考えで、「これからも業界の方々とのご縁を大切にしていきたい。また、社員とも一致団結しながら、顧客に選ばれ続けるメーカーを目指したい」(棚橋社長)。新社長による今後の取り組みに注目したい。


【プロフィール】棚橋 俊仁(たなはし としひと)

昭和40年6月17日生、愛知県名古屋市出身。 昭和63年3月、立教大学法学部法学科卒業。4月、王子製紙(株)入社。 平成14年7月、王子製紙(株)退職。(株)キングコーポレーション入社、社長室長。同年10月、取締役社長室長。平成17年11月、常務取締役。令和元年11月、専務取締役。令和4年11月、代表取締役社長に就任。
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