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トップインタビュー|ハイデルベルグ・ジャパン、ヨルグ・バウアー社長に聞く

2020年1月1日

技術と創造力で印刷業界を支援 〜 お客様のために最善を


 ハイデルベルグ・ジャパン(株)(本社/東京都品川区)の新たなリーダーとして昨年11月1日、ヨルグ・バウアー氏が新社長に就任した。新しい元号「令和」を迎えた2019年、インダストリアルインクジェット機「プライムファイア106」の国内1号機の導入や、新たなビジネスモデルである「ハイデルベルグ サブスクリプション」の国内初導入など、バウアー社長は、日本の印刷業界に対し、新たな可能性への挑戦を提唱してきた。そこで今回、バウアー社長に、日本の印刷産業の現状や抱えている課題、そしてそれら課題を解決するハイデルベルグの取り組みなどについて聞いた。

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バウアー 社長

──来日当時に感じた日本の印刷産業の印象(欧州をはじめ世界市場との相違など)について。

バウアー 印刷会社とクライアントとの関係、またサプライヤーとの関係も違うと思う。共通点としては、受注してから印刷までの基本的な生産は同じだ。
 相違点としては、日本の印刷会社は、クライアントから生データを受け取っていること。そして、印刷会社が、印刷用のPDFを準備している。大変厳しい価格競争の中では明白な利点と言える。
 通し枚数については、年間を通して、どの機械も低い。欧州では24時間稼働の機械が多い。さらに日本は、営業の人数が多いことも特徴と言える。
 欧州ではMIS(既製品)は標準で、また、MISと生産の間がJDFもしくは、XJDFで統合されている。欧州では、よりプロセスが標準化(より少ない例外、より少ない人依存)されており、自動化が容易だと思う。
 欧州のオーナーやトップマネジメントは、ITや製品の受注から出荷までのワークフローにフォーカスしているのではないか。例えば、ドイツの印刷会社では、オーナー自身がビジターに対し、クライアントと関わる部分から管理、生産、ビジネスモデルまで、自分ですべてを説明することができる。

──現時点における日本の印刷産業の課題、進むべき方向性など。

バウアー まず、最初に言わなければいけないのは、品質とクライアントのビジネスにフォーカスしたいということ。印刷はサービス産業である。日本は、多くの会社が世界規模で、この方面でリードをしている。しかしながら、平均をとると、多くの面でグローバルの平均以下ではないかと思う。
 もちろん、これはすべての印刷会社に当てはまるわけではないが、ちょっとドラスティックな言い方をすると、受注から最終製品の出荷まで、本当のデータの統合、自動化ができていない。ゆえに部数が極端に少なくなり、仕事の数が増えると、余分な手作業が増え、ミスや間違った情報の入力などのリスクが増加する原因になっている。
 さらにオペレータやマネージャーは、習慣にしがみつこうとしている。これはどこの国でも一緒だが、日本はそれがちょっと強いようにも感じる。それゆえに新しいワークフローや機械を導入しても、同じ仕事のやり方をしたがる。結果的に新しい投資から最高の結果を得られていない。

──それら課題に対するハイデルベルグとしての取り組みや提案など。

バウアー 私たちは、お客様が目指す目標とターゲットを理解し、現在の生産性や課題を分析しながら、お客様とともに取り組んでいる。そして、計画が立案されれば、その目標やターゲットを達成するために、お客様を全力でサポートしていく。私たちのPush to Stopソリューション、完全自動運転印刷とナビゲート印刷、同様にワークフローとライフサイクルマネジメントの提案などは、お客様が目標を達成するのに役立っている。そして、これらすべてと印刷必需品を組み合わせた最大のパッケージが、私たちのサブスクリプション提案である。

──サブスクリプションが印刷産業にもたらす効果、日本市場での普及について。

バウアー 昨年9月に発表したサブスクリプションへの日本のお客様からの反応は、非常にポジティブである。私自身、お客様と話す中で、さらに関心は高まるのではないかと思っている。正直、私たちがとても心配していたのは、お客様個人のニーズにフィットしたサブスクリプションを提案し、協力して計画を立てていくために、お客様の現在のコストや課題を私たちと共有していただけるかどうかであった。
 しかし、多くのオーナーは、棚卸などの情報に対して完全にオープンであった。印刷会社に、よりクライアントに集中してもらう、そして私たちが生産のアウトプット、その結果についてのオーナーシップをもつという提案は、本当にウィン・ウィンの関係である。
 私は、サブスクリプションとサース(SaaS)は、長期的に私たちのビジネスの屋台骨となると確信している。なぜならば、繰り返しになるが、本当にウィン・ウィンの関係、さらにクライアントを含めるならば、ウィン・ウィン・ウィンの関係が創造できるからである。そうした状況を獲得するために、私たちは、サブスクリプションのお客様をコンスタントに増やし、スタッフを教育し、求められるだけ、これらのサービスを提供していきたいと考えている。

──昨年、日本導入1号機が稼働を開始した「プライムファイア106」の今後の販売戦略など。

バウアー 2019年にプライムファイア106の日本1号機、そして2020年には2号機の納入ができればと考えている。私たちは少部数のパッケージにおいて、さらなるポテンシャルを感じている。「百聞は一見にしかず」ということで、私たちはパッケージ業界のリーダーの方たちを迎えて日本初の導入ユーザー先でオープンハウスを開催した。インダストリアルインクジェット機であるプライムファイア106は、小ロット印刷が経済的に素早く生産できるので、中大ロット印刷を大変効率的に生産できるオフセット印刷とパーフェクトマッチできる。さらに、プライムファイア106は、超小ロット、もしくは、完全なパーソナライズ印刷といった新しい付加価値を提供できる。

──新社長としての抱負を。

バウアー これまでハイデルベルグが皆様の良きビジネスパートナーとして最善を尽くしてきたように、私もこれから社員とともに皆様のために全力を尽くしていきたい。


【ヨルグ・バウアー社長 略歴】

▽生年月日=1964年5月18日(55歳)
▽国籍=ドイツ
▽出身地=ハイデルベルグ
▽学歴=オッフェンブルグ大学
▽趣味=バイクツーリング、洋楽鑑賞
〈職歴〉
▽1990年 サービスエンジニアとしてドイツハイデルベルグ社入社
▽1993年 ハイデルベルグ・ジャパン 技術サービス本部技術部部長付
▽1997年 同社・販売促進本部営業推進部部長付
▽1998年 同社・管理本部グループリーダー
▽1999年 同社・管理本部 IT部 執行役員
▽2000年 ドイツハイデルベルグ社・プリネクト製品部 部長
▽2008年 ハイデルベルグ・ジャパン 執行役員 プリネクト本部 本部長
▽2010年 同社・執行役員 プリネクト・CtP・コンシューマブル本部 本部長
▽2011年 同社・取締役 プリネクト・CtP・コンシューマブル本部 本部長
 同年 同社・取締役 カスタマーサービス本部 本部長
▽2017年 同社・取締役 営業本部 本部長
▽2019年11月 同社・代表取締役社長就任 現在に至る

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