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富士フイルムグループ、CSR計画「SVP2030」─ 持続可能な世界目指して

グラフィック事業分野で「環境」に貢献

富士フイルムBI|トナー技術と「グリーン電力」

​ 富士フイルムBIでは、プロダクションプリンター「Iridesse Production Press」(以下「Iridesse」)が「第3回エコプロアワード」で「奨励賞」を受賞するなど、プリンタ開発においても環境に貢献している。


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富士フイルムBI・森マネジャー

 「エコプロアワード」は、持続可能な社会づくりに寄与することを目的に、環境配慮に優れた製品やサービスなどを表彰する制度。Iridesseの受賞では、ゴールド・シルバートナーの下刷りが可能な業界初の6色プリントエンジン、メタリックカラーの色再現を向上させた独自のカラーマネジメントシステムと低温定着性を有するトナーの組み合わせで、高画質化と環境負荷低減を両立した点と、その開発が富士フイルムBIのCSR活動「古文書複製活動」を発端としている点が評価されている。

 富士フイルムBIグラフィックコミュニケーション事業本部 営業企画部 特命マネジャーの森浩隆氏は、「2008年から取り組んでいるCSR活動『古文書複製活動』を通じて、金泥を使った甲冑装飾の絵などに含まれる鮮やかなメタリックカラーを表現するためには、ゴールドやシルバーの特殊トナー技術が必要であることが分かった。このような文化伝承活動を発端とした技術開発のユニークさが評価されるのはめずらしいケース」と説明する。

 また、「Iridesse」では、CMYKトナーに業界トップレベルの低温定着性と業界最小クラスのトナー粒径を実現した「Super EA-Ecoトナー」を採用している。同トナーは、温度に対してシャープに粘度が変化する特性をより高めることで、低い温度でもより素早くトナーを溶融し、粘度を低くすることが可能。これにより、最低定着温度をEA-Ecoトナーより約10℃、その前のEA-HGトナーに比べると約30〜35℃下げることができ、低消費電力化の実現に貢献している。

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Super EA-Eco トナーの温度に対する粘度変化

 「従来のトナーと同等の温度で溶融が始まり、一気に定着粘度に達した後、さらに温度が上がっても定着粘度の下限を割り込まない設計が肝になっている。これにより消費電力を低減するとともに、6層印刷や厚紙使用時でもA4換算120ページ/分の生産性を維持できる」(森氏)

 なお、「第3回エコプロアワード」は「Iridesse」で受賞しているが、その後継モデルである「Revoria Press PC1120」もその評価項目を踏襲している。

 富士フイルムBIでは、このようなプリンタおよびトナー技術における環境性能を追求する一方、同社製プロダクションプリンターを対象とした環境負荷低減活動を今年1月から開始している。同活動は、対象のプロダクションプリンター製品に、導入後2年間にわたって対象機器で使用する電力に「グリーン電力」を適用する取り組み。対象機で出力した印刷物には「Green Power」マークを付与して、環境負荷低減に関する取り組みをアピールできる。

 グリーン電力とは、風力・太陽光・バイオマス(生物資源)などの再生可能な自然エネルギーによって発電された電力。この環境負荷低減に関する価値を「グリーン電力証書」として証書化することで、電力そのものの価値とは切り離して取引が可能。企業や自治体は、このグリーン電力証書を購入し、通常使用している電気と組み合わせることで、「グリーン電力」を使用しているとみなすことができる。

 これにより、印刷会社はクライアントの環境への取り組みを間接的に支援できるようになり、例えば官公庁に対しては、グリーン購入法プレミアム基準にある「再生可能エネルギー利用の印刷物」を提供できるようになる。

 最後に森氏は、「当社は、トナー技術や定着技術を背景に、オフィスユースでも業界初の機能を次々と導入してきた。その視点は、『本当に使える機能』。CO2削減においても実効果を追求したアプローチがいまに繋がっている。それがCSRやSDGsでも当社が業界をリードする理由である」とした上で、「FFGSはオフセット印刷分野から枚葉インクジェット、富士フイルムBIは連帳インクジェット、ゼログラフィー、トナー。富士フイルムグループは、小ロットから大ロットまでの印刷物をカバーでき、環境面においてもCO2排出のミニマイズといった視点で優位性がある」と語っている。

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