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躍進企業REPORT

協和美術:特色両面の生産性向上〜4色反転機でワンパス印刷

印刷ジャーナル 2024年4月22日
田邊社長(左)とRMGT970を扱うオペレータの宇佐美氏.jpg
RMGT970PF-4+LED-UV
社屋

 印刷市場は一般的に縮小していると言われているが、市場全体を詳しく見渡すと、いくつかの分野では依然として成長が見込まれるものもある。また縮小している分野でも、特定の印刷物には高い需要が存在していることもある。(株)協和美術(本社/埼玉県戸田市笹目北町10-24、田邊夏夫社長)は、市場動向に適応した設備投資を継続的に行い、成長が見込まれる領域には、さらなる成長を促す設備を投入してきた。そんな同社が見出した活路が「LED-UVによる小ロットの特色両面印刷」で、それを担う設備として菊全判片面・両面兼用4色印刷機「RMGT970PF-4+LED-UV(以下「RMGT970」)」を2023年3月に導入した。


 今年で52期目を迎える同社は、設立当初から35年程は、制作・製版に特化した会社だった。2000年代に入ってから市場競争が激しくなり、印刷を外注に依存していては戦っていけないと判断。その頃はB4判チラシの需要が高かった。そこで大ロットのものはオフ輪会社に外注し、小ロットの仕事を内製するという意図から、同社として初の印刷機は、B2判油性4色機を導入した。この事業範囲拡大の判断が功を奏し、同社は印刷会社としての基盤が確立された。

 時は流れて2017年、新聞購読者の減少やネット広告へのシフトといった要因から、主力営業分野となっていたチラシの需要が減少。そこで田邊社長は、折り機と中綴じ製本ラインを設備するとともに、印刷分野も全判機へのサイズアップ化を決断し、ランプ方式の高感度UV乾燥システムを搭載したA全判片面4色印刷機を増設。冊子も含めたあらゆる商業印刷物を内製できる体制を敷くと、UV印刷による短納期対応が評価され、近隣のみならず地方の同業者からの受注が増え、印刷事業は成長軌道に乗った。


主営業品目の変化に合わせて、最適で効率的な印刷機に更新


 冊子の仕事を手掛けるようになると、これまでになかった仕事が多いことに気付くとともに、設備構成とのミスマッチを感じるようにもなった。それは、両面2色の本文印刷や表紙などの付物の印刷といった特色を使用した印刷だった。「中綴じ製本ラインを導入したことで、A4判のページ物の仕事が急伸した。冊子の仕事は4色印刷に限らず単色や2色印刷が多くある。それらを高感度UV片面4色機でこなす上で、即乾しているので裏面印刷をすぐにしたり、ベタ刷りの表紙をすぐに積替・出荷もしくは社内で製本できるという点はUVインクや材料費の違いなどをはるかに上回る大きな強みだが、単色や2色印刷では非効率な空き胴ができてしまうし、口絵などカラーページとの色替えで印刷オペレーターに頑張ってもらっても、成果や利益に結びつけられない状況だった」と田邊社長は当時の悩みを振り返る。

 主営業品目の転換によって変化した仕事内容に対応するには、それに適した設備が必要となる。そんな同杜に必要な設備の条件は、▽単色・2色の両面印刷がワンパスでできる▽UV印刷の即乾による短納期対応という強みが継承できる▽入れ替えとなるB2判4色機が設置されていた場所に収まり、ワンマンオペレーションができる全判機。これを満たすのがこのたび導入した、省スペースな菊全ジャストサイズ機のRMGT970だった。

 「当社にとって、RMGT製の印刷機はこれが初めての導入。既設機と同じメーカー・サイズの4色反転機にすれば、材料が統一できてさまざまなメリットが生まれることはわかっていた。しかし、ランプ方式の高感度UV印刷を導入した際、1灯だけであるにもかかわらず、会社全体の電気代が1.5倍に跳ね上がった。加えて両面2灯分を設置するとなると電気代がどれほどに及ぶのか想像もつかないし、昨今の省エネという時流にも即していない。だからこそ、省エネなLED-UVで一日の長があるRMGT機に行き着いた」(田邊社長)。


LED-UV印刷で両面2色印刷〜希少・貴重な能力で仕事が急増


 現在、同社では菊全判の片面4色と表2色/裏2色印刷を兼用できるLED-UV印刷機(RMGT970)とA全判片面専用4色高感度UV印刷機が2台稼働し、小ロットを素早いレスポンスで短納期対応することを得意としている。印刷スケジュールを組むにあたり絵柄や使用する用紙を気にする必要がなく、特殊紙やファンシーペーパーであっても難なく処理できる。そして、RMGT970の導人により、両面2色をUV印刷で即納できるという市場でも希少な存在になったことが、新たな顧客獲得につながった。「両面2色の仕事は、ほぼすべてが特色インキを使った印刷となる。平均ロットが数百~数千通しなので、インキメーカーから特色インキを購入するのではなく社内でインキを調合している。この点でも納期短縮効果が生まれている」(田邊社長)。

 RMGT970は、2023年3月に導入したばかりであるにもかかわらず、すでにその能力が顧客から広く認知され、両面2色印測の仕事が急増しているという。「これまで以上に2色印刷の受注が増えたことで、2台の印刷機のうちRMGT970の方に仕事が偏るという喜ばしい課題も生まれている。また、これまでは単色や2色の仕事も受け持っていたA全判4色機を、4色の仕事に専念させることができるため、工場全体の生産能力が飛躍的に向上した。おかげで印刷オペレーターの残業時間も大幅に削減できている」と田邊社長はRMGT970導人による相乗効果を評価している。

 「UV印刷はドライダウンによる色変化がないので本刷りでの高い色再現性が得られる。またベタ物ではすぐに印刷物に触ることができる。特色を使用するお客様は、往々にして印刷物の仕上がりに強いこだわりを持っている。そのような厳しい仕事、高級志向な仕事が増えており、2色印刷とあわせて2つの新しい営業の柱が生まれつつある」と田邊杜長は語る。そのため同社では、厳しい仕事、高級志向な仕事にも対応できる印刷オペレーターを育成する方針だ。

 「RMGT970を導入してみたら、予想通りに生産性が上がり、そして予想を超える大きな反響が寄せられた。高まった生産性と印刷機が得意とする能力を存分に活かし、日本中にある特色両面2色のUV印刷はすべて当社で受注するというぐらいの気持ちでやっていきたい」