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躍進企業REPORT

滝印刷:白紙の「大裁ち」に活用[勝田断裁機を導入]

印刷ジャーナル 2022年5月15日
「心をつかむ品づくり」で地域に貢献する滝印刷の従業員
滝口 社長
四六全判の断裁機は白紙の大断ちにも活用
20年以上前に導入した菊半断裁機を仕上げ裁ちに活用。長年使用しても断裁精度に劣化はない

断裁精度に信頼、トンボマスターが要
20年以上前の断裁機が仕上げ裁ち用で活躍


 「地元の印刷会社に支えられながら、ここまで成長することができました」。(株)滝印刷(本社/岡山県瀬戸内市邑久町山田庄387、滝口雅子社長)は、岡山県内の印刷会社を主な取引先とする印刷会社。従業員数20名程の小規模ながらも「短納期」を強みとしているため、トムソンやPPなど豊富な後加工機を設備している。そんな同社では、数十年以上にわたり、勝田製作所の断裁機を活用。「オペレーターの強い要望で、勝田断裁機を使い続けています」(滝口社長)という同社を取材した。

 同社は1977年9月に「滝印刷」として創業した。社長名の「滝口印刷」ではない。2代目の滝口雅子社長は、「そのほうが呼びやすいということと、愚痴( 口「グチ」)を言わずに頑張ろう、という思いを込め、滝口から(口)を取り、滝印刷と命名しました」と由来について話す。

 このため、基本的にはどのような仕事でも「愚痴」を言わずに引き受けなければならない。「ですので、他社が嫌がるような仕事が回ってくる傾向にありますが、『早い・美味い(上手い)・安い』をモットーに頑張っています」と滝口社長。どこかの牛丼屋みたいだが、同社ではこの言葉どおり、小回りが効くという小規模経営の利点を生かし、地元・岡山県を中心とした印刷会社の頼りになるパートナーとして地盤を築いている。

 同社では、印刷会社のあらゆる要望に短期間で応えられるように、CTPから印刷、後加工まで豊富な設備を有しているが、「印刷だけ、断裁だけ、トムソンだけ、PPだけなど、どんな仕事でも喜んで引き受けています」(滝口社長)。とくに、全4台のトムソンを活用した抜き加工には自信を持っており、滝口社長は「木型も自社で制作できるようになり、より低コスト、短納期で微細な抜きも実現できようになりました」。キャッチフレーズに掲げる「心をつかむ品づくり」を目指して、地元を愛する従業員とともに日夜、製品作りに努力している。


数十年前から勝田断裁機を活用


 先代社長が創業した当初、どのような断裁機を使用していたのかは滝口社長も分からないということだが、同社の断裁士として28年のキャリアを持つ中尾氏は、「私が入社したときにはすでに、四六全判の勝田断裁機が設置されていた」ということなので、遅くとも30年以上前には勝田断裁機を導入していたのではないだろうか。そして、同社はその断裁機を5年前に同じ四六全判の新型コンピュータ断裁機に入れ替えた。同社では、更新前の断裁機を使用していたころから、つまり数十年前から白紙の大裁ちを、勝田断裁機を使用して自社で行っている。白紙の大裁ちが斜めに切れていたり、サイズが寸法どおりに切れていないと、その後の印刷工程に大きく影響するため、ここからも同社がいかに勝田断裁機を信用しているかを伺い知ることができる。

 そして、5年前に更新した四六全判断裁機を担当している同社の野村氏が高く評価しているのが、オプションの「トンボマスター」機能だ。「この機能により、印刷物がズレて印刷されている場合などでも、バックゲージが前後だけでなく斜めにも動くため、印刷のズレを補正して断裁することができる」(野村氏)

 野村氏は、元々は印刷機のオペレーターで、断裁士としての経験はまだ3〜4年ほどのようだが、トンボマスターの機能により、ベテラン断裁士と遜色ないレベルの断裁精度を実現できているようである。また、この断裁機では、大裁ちの作業終了後、仕上げ裁ちにも活用しているという。


数十年の使用でも断裁精度に「劣化なし」


 勝田断裁機の堅牢性の高さについては、多くのユーザーが評価するところだが、その点については同社もまったく同じのようである。同社では5年前に入れ替えた四六全判の断裁機のほかにもう1台、菊半サイズの断裁機を仕上げ裁ち用のメイン機として活用しているが、ここで驚かされるのは、この断裁機はすでに導入から20年以上が経過しているが、断裁精度にまったく問題がないということだ。古い機種のため、トンボマスターのような機能は付いていないようだが、そこはベテラン断裁士の中尾氏がフリーハンドで職人技術を発揮し、ズレのある印刷物も正確な断裁を実現しているという。

 「この断裁機はシールの断裁も行うので、糊が付かないように加工した刃物を使用しています。当社には数十年の付き合いのある長町研磨という研磨屋さんがあり、勝田断裁機も岡山県で総代理店をしているその研磨会社から購入しました」(滝口社長)

 (株)長町研磨(本社/岡山市南区新福1-8-4、長町拓哉社長)は、数十年間にわたり、勝田断裁機の岡山県の総代理店として、営業からメンテナンスまでを行っているため、勝田断裁機についても豊富な知識を持っているという。中尾氏は「同じ岡山県なので、何かあればすぐに来てもらうことができるし、断裁機についての疑問があれば、的確なアドバイスもしてくれる」と、販売代理店ながらもメーカーと同等レベルの高い製品知識と充実のアフターサービスを提供する長町研磨を高く評価している。

 また、簡単に断裁刃を交換できるところも滝印刷が勝田断裁機を高く評価しているところで、野村氏は「タッチパネルのモニター画面に作業手順が表示されるので、初めての刃交換作業でも、それを確認しながら簡単に行える。また、通常の断裁作業にしても、他メーカーの断裁機を使ったことがないので比較はできないが、勝田断裁機は作業性に優れていることを実感している」と話している。


感謝の気持ちで地元に恩返しを


 「当社の社員は、これまで育ててもらった地元に恩返ししたいという会社の気持ちに応えた仕事をしてくれます。これからも『滝印刷に任せておけば大丈夫』と言われるように、どのようなニーズにも応えていけるようさらなる技術とサービス向上に努めていきたいと思います」(滝口社長)

 取材終了後の集合写真では、滝口社長の「みんな、おいでー」の声かけで、全従業員が仕事の手を止めて集まって来てくれた。そんなところからも、同社のチームワークの良さ、団結力を感じることができた。