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躍進企業REPORT

富塚製本:勝田断裁機を半世紀以上にわたり活用

印刷ジャーナル 2020年9月5日
JMC4fxの前で富塚社長(左)とオペレーター
30年選手のJMC3をメイン機として活用

「断裁機は、勝田」〜当日対応のアフターサービス評価

 富塚製本(株)(本社/大阪市生野区、富塚宗寛社長)は、天糊製本などを得意とする創業60年の歴史を持つ製本会社。そんな同社が、創業間もない頃から50年以上にわたり使用しているのが勝田製作所製の断裁機だ。現在は導入30年以上のSH330HOP(JMC3)と9年前に導入したSH330HOP(JMC4fx)の2台を活用。富塚社長は「勝田製作所の断裁機は伝票類など細かい作業に適しており当社の製本業務に向いている。このため、昔から『断裁機は、勝田』と認識している」と話しており、2020年で修理対応の終了が見込まれるJMC3の後継機としても勝田製作所製の断裁機を導入する考えだ。

 同社は1957年に先代の富塚直行氏が大阪市生野区の地にて創業。10年前に2代目に就任した富塚社長が家業に従事した頃にはすでに勝田製の断裁機を設備していたため、断裁機に勝田を選択した当初の理由は定かではないようだが、「昔の勝田製作所の営業マンは、とくに優秀な方が揃っていた」と富塚社長は振り返る。そして、その昔の営業マンの姿勢は、今の若手営業マンにも脈々と受け継がれているようで、なかでも当日対応のアフターサービスを富塚社長は高く評価している。

 「当社は様々な後加工機を設備しているが、機械に不具合があった場合、ほとんどのメーカーは連絡した翌日の対応になる。そんな中、勝田製作所だけは、当日対応してくれる。この点は高く評価することができる」(富塚社長)

 また、大阪府製本工業組合の理事長でもある富塚社長は、勝田製作所の組合への貢献姿勢も高く評価している。

 「勝田製作所には以前から、『工場見学』や『断裁機安全技術講習会』などで大変お世話になっている。いつも丁寧な対応をしていただき、各事業所においても有意義な勉強をさせていただいている」(富塚社長)

 勝田断裁機のユーザーは、全国に数千社以上あるが、その中、アフターサービスの良さを評価するユーザーは非常に多い。関西の断裁機メーカーで唯一、勝田製作所が生き残ってきたのは、このようなユーザーからの高い信頼を築いてきたことが一因となっていることは間違いなさそうだ。

30年選手の断裁機を断裁のメイン機として活用

 同社が現在所有する断裁機は、30年以上前に導入したJMC3と9年前に導入したJMC4fxの2台。そして驚かされるのは、同社ではこのうち、30年選手のJMC3を断裁のメイン機として活用していることだ。

 「当社ではテフロン加工した刃物を使って定期物であるタックシールの断裁を行っているが、これがJMC3と非常に相性が良い。また、当社は多品種・小ロット対応を強みの1つとしているが、JMC3で粗裁ちを行い、JMC4fxで仕上げ断裁を行うことで効率的に仕事をこなしている」(富塚社長)

 実際に断裁作業を行っているオペレーターによると、導入から30年以上経過しても、その断裁精度には何ら問題はないようで、その堅牢性の高さは多くのユーザーが評価している。そして「仕上げ断裁に使っている」という9年前に導入したJMC4fxの断裁精度については説明するまでもなく、さらに同断裁機については見当作業時の指詰め怪我を軽減する独自の油圧システムのソフトクランプ機能が標準搭載されているため、安全性をさらに高めた断裁機となっている。そして、JMC3についても「ソフトクランプの機能は搭載されていないが、勝田製の『まもるくん』というコツを使用しているため、安全に作業することができる」と、断裁オペレーター。長年にわたり使用しているが、これまでに断裁作業による事故は皆無ということだ。

「オリジナル便箋工房」で第3の市場に挑戦

 「当社では様々な製本加工品を手掛けているが、商品が完成品となる中での加工賃の割合は非常に低い」(富塚社長)。

 この課題を解決するため、同社が約6年前に開設したのが「天糊製本」を完全オリジナルで制作できる便箋・一筆箋の専門通販サイト「オリジナル便箋工房」(http://tomitsuka-binsen.com)だ。

 「通販サイトを開設するまでは印刷会社の下請仕事のみであったが、このままでは経営が厳しくなると思い、約5〜6年前に開設した。これにより、東京を中心に様々な業界から新規顧客を獲得することができた」(富塚社長)

 業界団体の全製工連が提唱する「製本産業ビジョン2025」では、印刷・出版市場に次ぐ第3の市場への挑戦の必要性が説かれているが、富塚製本は、まさにそれを業界に先駆けて実践しているモデル企業と言うことができるだろう。

 今後の事業展開について富塚社長は、「製本を軸に、10年先を見据えながら業容拡大を目指していきたい。また、紙工・トムソンなどの関連業界との連携も密にしながら製本価値を向上させ、製本加工賃のアップにも取り組んでいきたい」と話す。そして、製本業務に不可欠である断裁機については、今後も勝田製作所をパートナーとして選び続けていきたいということだ。